ディフェレアル(仮)
始動前《ローディング》-06
果たして何故駅に行くのかがさっぱりわからない。
スタスタと歩いているがなにか思い当たる節があるのだろうか。
・・・・・・はっ。
先ほどの受付のお姉さんとの会話・・・・・・あれでなにかメッセージのやりとりを・・・・・・
いや、そんなテンプレ展開なんてあるはずがない。断じてない。いくら異世界だからってそんなことない。
・・・・・・駅に着く頃には自信がなくなってきた。異世界だからこりゃあるかもな。小説の読み過ぎだ?知らん。俺は自信がなくなってきてるんだ。こんな異世界に来て正気でいられるかっての。お前ら、マジだからな。
駅構内に入る。予想はしていたが改札なんてない。センサーで人間を感知してどうにかしてるようだ。入り口が広いのでスムーズに通れる。因みに駅員は非常時の対応のために居る。
やはり近代的な駅構内。
そこのエレベーターに飛び乗る彼女。俺も慌ててついていき、中へ入る。そして、いつの間にか「5階」ーー最上階のボタンが押されていた。移動が速い。さすが異世界。ってか、今さらだけどなんか話の展開速すぎない?こんなにトントン拍子で進むもんじゃねぇだろ、普通・・・・・・しかも、それについていける俺、順応力すげぇ。まぁ、どうせ夢だからこんなこともあるだろう・・・・・・
「着いたよ」
エレベーターのドアが開いた。
そこには人が居た。なにやらスーツを着ている。雰囲気的には偉そう。だってスーツでスタイルいいんだよ。まぁ後ろを向いているので性別は不明だが・・・・・・。
ドラマやアニメでよく見る。エレベーターを降りるとガラス張りの天井高い部屋。そこに後ろを向いて外を眺めてるスーツの男。ふり返って、「こんにちは。私は代表の・・・・・・」とか言い始めるんだ。そうだ。異世界だもん、ありえるよ。
さすがになかった。普通に振り返って「待ってたよ。」って言っただけだった。いや、これも十分テンプレか・・・・・・?いやいや、そこは触れない様にしよう。
「そちらの方は・・・・・・?」
男が訊く。
「ああ、こちらは私が通りかかった時に私が見つけたんです。自室にいらしたので声をおかけしました。」
彼女が答える。
「ほう、そうなのですね・・・・・・」
「あ、あの」
「「?」」
俺が口を挟む。二人がこちらを向く。
「彼女の名前って・・・・・・なんていうんですか?」
「ああ、彼女はーー」
「リドウィン。それが私の名前よ。」
俺の質問に、答えようとした男に被さる様にして彼女ーーリドウィンが答える。
「そうか、ありがとう。・・・・・・えっと、呼び捨てでいいかな?」
「大丈夫よ」
「それで、私を呼び寄せた理由はなに、フェザルさん?」
「ああ、そういえばまだ話してなかったね。」
彼はフェザルというらしい。と、彼の紹介をまだしていなかった。彼の年齢は60代といったところか。短めの白髪で白い髭を少し生やしている。がたいが良く背が高いので昔兵士でもしていたのだろうか。スーツを見事に着こなしていて”できる人”感が漂っている。
彼が口を開く。
「新しい飛行装置ができたので、検査をしてもらおうかと思ってね。電気工学に長けている君を呼んだのさ。」
「新しい飛行装置・・・・・・ですか。今までとは何が違うんですか?」
「動力装置の動線を変えている。今までは万が一のことを考えて、出力してから一度漏電防止装置を通して
いたんだが、技術の進歩で感電・漏電の心配がなくなり、漏電しても飛行装置本体から避雷装置に移動し、動力の方に使う回路に変更した。」
「ふむ・・・・・・では、さっそく見せて頂きますか?」
「分かった。こっちに。」
リドウィンは電気工学に長けているのか・・・・・・いや、今の話はなんとなく分かったが・・・・・・飛行装置って案外単純な構造してるのか?
別の部屋へ向かう二人についていく。これで俺もこの世界の飛行装置が見れるわけだ。現在の俺のイメージではバックパック式を予想している。
そういえばリドウィン、さっき自室にいたっていってたよな。俺自室に居たっけ?俺の記憶ではいつの間にかリドウィンに話しかけられてるんですがそれは。
まぁいいや。
エレベーターから見て右側にある部屋。そこに入っていく。自動ドアが空いて、薄暗い部屋に入る。壁は真っ黒で、地面から1mほどのところに水色に発光するファイバーが通っている。六角形の広い部屋。その中心で異様な存在感を放っているそれが、飛行装置なのだろう。
予想はまったく外れた。
バックパック式なんかではなく、六角形の、上に乗るものだ。異様に薄く、異様に小さい。縦と横の長さは75cmとほど。厚さは3~4cmほど。側面には穴が何個も空いているので、そこから火とか電力のなんかとかが出てくるのだろう。
「これが新飛行装置、《スマロート》だ。」
「《スマロート》・・・・・・。今までのより3cmくらい薄くなってるんですね」
「ああ。より高性能で、火力は変わっていない。」
「では、見させていただきますね」
会話を終えると、リドウィンがスマロートの横にある小型デバイスを起動した。例によってホログラフィが表示される。
窓を何個も開いて色々と回路などを見ているようだ。ここから見ると少しだけプログラムの文字列が見えた。そこに俺は疑問を覚え、フェザルに話しかける。
「あの、ここintとiの間にスペースって入れなくていいんですか?」
「お・・・・・・?おお、忘れてたよ。ありがとう」
そう言うとフェザルはデバイスの所へ行き、リドウィンに声を掛けてプログラムの編集をした。すぐに終えて戻ってくると、
「君、良く気づいてくれたね。プログラムでもやっていたのかい?」
「ええ、まぁ前の世界では・・・・・・」
「前の世界?・・・・・・なんの話だかよく分からないが、ありがとう。」
うっかりリアルとか言ってしまった・・・・・・これはあとで掘り返されたら終わりだな・・・・・・
後でーーかなり後で聞いた話だが、そんなことを考える俺を、リドウィンが見つめていたらしい。
スタスタと歩いているがなにか思い当たる節があるのだろうか。
・・・・・・はっ。
先ほどの受付のお姉さんとの会話・・・・・・あれでなにかメッセージのやりとりを・・・・・・
いや、そんなテンプレ展開なんてあるはずがない。断じてない。いくら異世界だからってそんなことない。
・・・・・・駅に着く頃には自信がなくなってきた。異世界だからこりゃあるかもな。小説の読み過ぎだ?知らん。俺は自信がなくなってきてるんだ。こんな異世界に来て正気でいられるかっての。お前ら、マジだからな。
駅構内に入る。予想はしていたが改札なんてない。センサーで人間を感知してどうにかしてるようだ。入り口が広いのでスムーズに通れる。因みに駅員は非常時の対応のために居る。
やはり近代的な駅構内。
そこのエレベーターに飛び乗る彼女。俺も慌ててついていき、中へ入る。そして、いつの間にか「5階」ーー最上階のボタンが押されていた。移動が速い。さすが異世界。ってか、今さらだけどなんか話の展開速すぎない?こんなにトントン拍子で進むもんじゃねぇだろ、普通・・・・・・しかも、それについていける俺、順応力すげぇ。まぁ、どうせ夢だからこんなこともあるだろう・・・・・・
「着いたよ」
エレベーターのドアが開いた。
そこには人が居た。なにやらスーツを着ている。雰囲気的には偉そう。だってスーツでスタイルいいんだよ。まぁ後ろを向いているので性別は不明だが・・・・・・。
ドラマやアニメでよく見る。エレベーターを降りるとガラス張りの天井高い部屋。そこに後ろを向いて外を眺めてるスーツの男。ふり返って、「こんにちは。私は代表の・・・・・・」とか言い始めるんだ。そうだ。異世界だもん、ありえるよ。
さすがになかった。普通に振り返って「待ってたよ。」って言っただけだった。いや、これも十分テンプレか・・・・・・?いやいや、そこは触れない様にしよう。
「そちらの方は・・・・・・?」
男が訊く。
「ああ、こちらは私が通りかかった時に私が見つけたんです。自室にいらしたので声をおかけしました。」
彼女が答える。
「ほう、そうなのですね・・・・・・」
「あ、あの」
「「?」」
俺が口を挟む。二人がこちらを向く。
「彼女の名前って・・・・・・なんていうんですか?」
「ああ、彼女はーー」
「リドウィン。それが私の名前よ。」
俺の質問に、答えようとした男に被さる様にして彼女ーーリドウィンが答える。
「そうか、ありがとう。・・・・・・えっと、呼び捨てでいいかな?」
「大丈夫よ」
「それで、私を呼び寄せた理由はなに、フェザルさん?」
「ああ、そういえばまだ話してなかったね。」
彼はフェザルというらしい。と、彼の紹介をまだしていなかった。彼の年齢は60代といったところか。短めの白髪で白い髭を少し生やしている。がたいが良く背が高いので昔兵士でもしていたのだろうか。スーツを見事に着こなしていて”できる人”感が漂っている。
彼が口を開く。
「新しい飛行装置ができたので、検査をしてもらおうかと思ってね。電気工学に長けている君を呼んだのさ。」
「新しい飛行装置・・・・・・ですか。今までとは何が違うんですか?」
「動力装置の動線を変えている。今までは万が一のことを考えて、出力してから一度漏電防止装置を通して
いたんだが、技術の進歩で感電・漏電の心配がなくなり、漏電しても飛行装置本体から避雷装置に移動し、動力の方に使う回路に変更した。」
「ふむ・・・・・・では、さっそく見せて頂きますか?」
「分かった。こっちに。」
リドウィンは電気工学に長けているのか・・・・・・いや、今の話はなんとなく分かったが・・・・・・飛行装置って案外単純な構造してるのか?
別の部屋へ向かう二人についていく。これで俺もこの世界の飛行装置が見れるわけだ。現在の俺のイメージではバックパック式を予想している。
そういえばリドウィン、さっき自室にいたっていってたよな。俺自室に居たっけ?俺の記憶ではいつの間にかリドウィンに話しかけられてるんですがそれは。
まぁいいや。
エレベーターから見て右側にある部屋。そこに入っていく。自動ドアが空いて、薄暗い部屋に入る。壁は真っ黒で、地面から1mほどのところに水色に発光するファイバーが通っている。六角形の広い部屋。その中心で異様な存在感を放っているそれが、飛行装置なのだろう。
予想はまったく外れた。
バックパック式なんかではなく、六角形の、上に乗るものだ。異様に薄く、異様に小さい。縦と横の長さは75cmとほど。厚さは3~4cmほど。側面には穴が何個も空いているので、そこから火とか電力のなんかとかが出てくるのだろう。
「これが新飛行装置、《スマロート》だ。」
「《スマロート》・・・・・・。今までのより3cmくらい薄くなってるんですね」
「ああ。より高性能で、火力は変わっていない。」
「では、見させていただきますね」
会話を終えると、リドウィンがスマロートの横にある小型デバイスを起動した。例によってホログラフィが表示される。
窓を何個も開いて色々と回路などを見ているようだ。ここから見ると少しだけプログラムの文字列が見えた。そこに俺は疑問を覚え、フェザルに話しかける。
「あの、ここintとiの間にスペースって入れなくていいんですか?」
「お・・・・・・?おお、忘れてたよ。ありがとう」
そう言うとフェザルはデバイスの所へ行き、リドウィンに声を掛けてプログラムの編集をした。すぐに終えて戻ってくると、
「君、良く気づいてくれたね。プログラムでもやっていたのかい?」
「ええ、まぁ前の世界では・・・・・・」
「前の世界?・・・・・・なんの話だかよく分からないが、ありがとう。」
うっかりリアルとか言ってしまった・・・・・・これはあとで掘り返されたら終わりだな・・・・・・
後でーーかなり後で聞いた話だが、そんなことを考える俺を、リドウィンが見つめていたらしい。
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