記憶操作

琉翔

絞られる犯人

 男子か女子かも分からないとなると本当に分からない。武内よりも身長が低い奴なんてクラスメイトだけでも21人いるのに、これを世界規模で考えるなんてなんと無謀な挑戦だろうか。あぁ、猫の手も借りたいとはまさにこの事だな。そんな事を思っている時、事件は起きて、俺にヒントを与えてくれた。

 授業中、最近事件の事を考えすぎて寝不足なのもあって調子が悪くなって保健室に行く事にした。その時である。廊下の窓から見えるA棟の屋上でまたあの事件が起きていたのだ。被害者は磯田。そして新たに分かった事は、犯人はこの学校の制服を着ていたのだ。この学校は学校関係者以外は立ち入り禁止だから、この学校の生徒だと推測される。

 いやしかし世の中は残酷なものだな。被害者が出る事によって推理が進むとはなんと辛い事だろう。まぁそうは心の片隅で思いつつ、実際のところ俺は被害者じゃないから心の大部分は辛くはないのだが。しかし妙に俺のクラスメイトが襲われるな。いや、きっと偶然だ。

 保健室に入って休憩をするフリをしながらずっと考える。保健室なのにちっとも休めない。そんな時、長島が来た。
「よー、田西ー、会いに来たぞー。」
コイツはなぜいつも俺が頭を悩ませてる時に来るのだ。もはやタイミングでも見計らってるんじゃねぇかってくらいだ。
「あぁ、大丈夫そう。ありがとな。」
「おうおう、ついに田西の口から俺に感謝の言葉が出るとは。成長したな。」
「俺だってありがとうくらい言うわ。馬鹿にしてんのか。」
コイツの俺を見て微笑する顔が凄く腹立たしい。コイツは昔から本当にどこの頭のネジが外れてるかが分からなすぎて困る。実際この会話だってここ8年間で50回くらいやってる。いい加減飽きろと言いたくなる。

 さて推理の続きだが、流石光の紐を操る超人なだけあって顔を見ようとしたらなんと頭を真っ暗な影が覆ってたのだ。しかも明らかに不自然な覆い方をしていて本当に誰だか分からない。ヒントがもっと欲しいと思ってたところ、事件は起きた。

 下校中の駐車場でまたあの光景を見たのだ。

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