記憶操作

琉翔

新たな可能性

 学校に武内が来ない様では事情聴取なんか出来る訳が無い。仕方がないから仮にこのクラスの奴だと仮定して推理してみることにした。

 犯人は武内より身長が低かった。つまり伊藤、中田、山下、木曽、三浦は無い。そして犯人の可能性があるのは、長島、上田、安藤、佐藤、浜松、菊田、川口、磯田、大杉だ。クラスメイトで絞ると以外と人数は少ないが、そうと限らないから検討を付けるのはかなり難しい。
クラスメイトを変に疑えば、もし他の誰かが見ていた時に俺が疑われる。そして何より信頼を失うから、今のところどうしようも無いという結論に至る。

 「おーい、田西ー、起きてるかー?」
「ん?あぁ、ごめん。なんだっけ?」
「いや、別になんにもねーけど。
田西ずっと難しい顔してんだもん。ほら、そろそろHR始まんぞー。」
「俺そんな難しい顔してた?
まぁいいか、ありがと。」
長島はこうゆう事に関してはなぜか凄く察しがいい。いざとなったらコイツを頼りにしようと、俺はHR中に考えていた。

 HRが終わって長島が来た。そしてコイツが放った第一声が
「女子って腕とか脚が細いよなー。」だった。
だからコイツはよく馬鹿に見えるのだ。あまりに唐突でくだらない感想にポカンとしている俺に対してコイツは
「あれ?俺変な事言った?」と言ってくる。一体コイツの思考回路はどういうルートを通ってきてるのだろうか。確かに女子の腕や脚は細いからコイツの言ってる事は間違ってない。けど言う順番っていうやつがあるだろうが、と思った。
「そだな。」と適当に返しておき、推理を再開しようとするが、長島のせいで全然集中出来なかった。

 しかし長島は俺にヒントを与えてくれた、と同時に俺を更なる迷宮におとしいれた。今さっき気付いたが、ずっと犯人は男子だけで考えていたが、犯人は男子の限らず女子の可能性もあるのだ。そしてクラスの女子の9割は武内より身長が低い。だめだ、謎は深まるばかりだ。

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