記憶操作

琉翔

現実離れしている人間

 「今とは、未来である。
未来とは、過去である。
過去とは、記憶である。
記憶とは、脳内で再生されている動画のようなものである。
記憶に絶対の確証は持ってはいけない。」
 そんなことを書いてある本をつい最近読んだ。正直全く意味が分からない。「今とは、未来である。」は辛うじて分かるが、「未来とは、過去である。」については、未来と過去は正反対の言葉であるため分かる訳が無いと思う。

 ここ最近そんなことばかり考えていたから、もしかしたら俺以外の奴らなら分かるかもしれないと思い、聞くことにした。
「おーい長島、お前これどう思う?」
「ん?えーなになに?ほぅ、興味わかねーや」
コイツに聞いた俺が馬鹿だった。常にマイペースで過ごしてる長島が俺に分からないことが分かる訳が無かった。まぁいい、学校には同じクラスの友達だけでも12人はいる。分かる奴1人くらいいるだろう。
そう思ってたのだが、誰一人意味が分かる奴はいなかった。クラスで1番頭がいい上田に関しては
「著者なんて馬鹿な発想をする人が大量にいるからその人も多分馬鹿な発想をしてるだけだろ。」
なんて知ったような口調で話していた。

 放課後、部活が終わって教室に明日までの宿題を忘れたのを思い出し、教室に取りに行く。電気のついていない廊下は薄暗く、何かを感じさせる様であった。しかしそんな事は全く無く、普通に忘れ物を取って学校を出た。そこまでは良かったのだ。俺は下校中にある駐車場で見てしまったのだ。人の頭から光る紐状のものを出す『現実離れしている人間』を。

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