ニートによる異世界活動

蓬莱の人

第二話『王国の致命的な欠陥』

私はユリアナ・スィチョフ、お姫様ですがニートです、もしここでゲームができるのならニート子と言うユーザーネームを使おうと考えています、そうできればですが。

私が何故この世界に来てまでも引き籠りを続けているのか、きっと皆さんは

幼女なんだから少尉見たいに空飛んでギラついた微笑みを浮かべて撃ちに行けば良いのに

とか

白髪に産まれ直してお兄ちゃんと一緒にゲームで勝ちまくれば良いのに

とか

スライムに転生してドラゴン食べてオークロード食べて国造っちゃえば良いのに

とか思ってるでしょう、だが此処には存在エックスなる神も遊戯の神も最強レベルのドラゴンもいないから、マジで何もないから。

と、おぉメタいメタい....話は置いといて、語りましょう。


あれは私が産まれてから四年と8ヶ月経過した日の事だった、国王は非常におっとりとした性格の人物で、よくRPGゲームとかでふんぞり返って王座に座ってるような王さまだ、王妃はその真逆でテキパキと仕事をこなす現代のOLのような人物だった、しかし王妃も王様も私に大しては過保護だったのだ。


「お父様、お外へ行ってみたい!」


私はそう願い、外に行きたい胸を伝えた、しかし


「外は危険な事がたくさんあるからまだ、行っては行けないよ」


確かに四歳の子供にとっては危険だろう、ましてや王族の娘だ、何が起きるかわかった物ではない、そう理解していてもこのファンタジーな世界に来て外を見れないと言うのは生殺しだ、私はその胸の高鳴る衝動を抑えきれずにメイドを出し抜き、騎士を騙して外へと抜けた、しかしそこに待っていたのは――


「え......」


唖然とする私の頬を風がなぜる、国と言うにはそれはあまりにお粗末な物で、まるで集落をただ広く拡げただけのようにしか見えないほどの、『文明の低さだった』。


「うそ.....4年と8ヶ月、4年と8ヶ月!我慢して見たのがこれか!木と岩で作られた建造物!道なんか草抜いただけじゃねえか!」


あまりの文明の無さで希望を失い掛けた、しかし私は諦めない、何故ならばそこには燦然と輝く希望の星、亜人と言う存在がいるのだから、エルフ、オーク、獣人、この際ならばゾンビっ娘でもスライムっ娘でも良い!
否、それが見たい!


私は妄想を今までの頭の回転を10倍速で行いながら真っ直ぐと市場へと向かった、だが現実は上手く行く筈もなく、そこにいるのはところ畝ましと蠢く人ばかり、あれ?何かとの錯覚かな?実は尻尾が隠れてるとか変装してるとかかな?とか思いながらその幼子の身を人ごみへと投じる、そこではスカートを捲り、服を捲り、帽子を取り、後ろから抱きつく、そんな完全にお縄になる事を平然とやってのけた、当然私の顔を見て王族の娘だと言う者は一人としていなかった。

そう、皆人間だったのだ、トボトボと城に帰る以外の選択肢は無く、私は来たときの4倍の時間を掛けて家に帰った、市場では林檎などの果実の他、パンやこの地独特の手頃に作れる数々の品物がおかれていたのを私は、食卓に並べられた綺麗に飾り付けられた皿を見ながら思い起こしていた。

それだけでは私は諦めない、ならば胸が熱くなるような冒険をしようと思い立ち、1ヶ月間に渡り町中を身分を隠しながら出回り、落ちている物から売っている物まで、様々な部品を集めて漸くの思いで双眼鏡を作り上げた、まだこの国にはこう言った物は1つも無い、糸電話すらないと来たのだからここの文明の低さが判るだろうか、唯一の救いは布に関する物は文明がかなり発展していると言う事だけだ、近くには山脈があるとの事もあり金や銀などの鉱石が豊富に取れるのだろう、ただそれらは硬貨の製造ではなく、鎧や剣、アクセサリーに使われていた。

現代社会のような競争率もなく、情報網も無い、外部の国との交易を行っている訳もない、だから文明がかなり発展してい無いのだろう、暇で暇で仕方無いので最早旧日本人の真似事をするしか無いのかなぁと思っていたところ、気がつけばこの有り様である。

現在私は7歳と2ヶ月である、この情報も西暦も時間の正確な概念もない時代ではあまり意味がない、身長は92cm体重は秘密、今現在この国で最も賢いニートです。

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