ニートによる異世界活動

蓬莱の人

第一話『名はユリアナ・スィチョフ』

ここは王都ルイセント、20万の国民からなる立憲君主制の王国で、かくいう私もこの国に産まれたのだ。

国王と王妃は私が産まれた頃はとても喜んでいた、今でもそれは変わらない、多分。


少女は目を覚ます、その黄金色の長い髪はボサボサに跳ねていて、キャミソールは右の肩紐がずれ落ちていてだらしなさが見ているだけで判るだろう、もう何ヶ月自室から出ていない事だろう、それは私の部屋全体に落ちているゴミの山を見れば想定できる、そう私はニートである。

ふぁぁ~~っ

この幼女の姿に慣れるのには随分と苦労した、あの女神から言われた死因の悲しさからも、この状況下に置かれれば流石のニート男改め私、ニート子でも驚愕のあまりに忘れてしまうと言うものだ、まさか転生するとは....それも意識があそこまでハッキリしているまま.....さすがに出産時はグロテスクだと思ったが、産まれてみれば悪くない生活だ、何せ国のトップの王族だ、このままだらだらと過ごせて行ければ幸いです。

その時、この部屋の唯一の出入り口である扉を2度ノックする音が聞こえた、また何時ものだろう。


「ユリアナ姫様、メイド長のベルカーです、どうか入る事をお許し願いませんか?」


私は3食昼寝とおやつとメイド付き、更には大抵の好きな物は揃えてもらえると言う最高に幸せな状態にいる、最初はコスプレメイドのような可愛さがない古風なメイドの姿を見てあまりの酷さに4歳にして

なんだこれは、可愛さの欠片もなく華もない、地味な色合いにあまりに実務に特化している服装で眼福にならない

とまで言い、父である国王とメイド10名からドン引きされると言う事件を引き起こした、だが今だからこそ言えるがこれはこれで良いものだ、実務に特化しているから長いスカートに長い袖だがその仕草の1つ1つに惹かれるものがある、暖炉の掃除をしている時のメイドの姿を見ていた時は40分くらいはソファに座って眺めていただろうか、思わずお持ち帰りしたくなってしまった。


「入っても良い、だが前と条件は同様、この部屋にある私以外の私の私物に触れてはならない、これを破った際には今後私の顔が2度と外で見れるとは思わないことだ、入れ」


いつもの様に唯一の外との出入り口が開く、殆どの光が射し込まないこの部屋に外の光が射し込むのは見ていて何とも爽快だと言わざる終えない、目には少し刺激の強い物だから時時痛くはなるがそれでも見る価値がある。


「おはようございます、ユリアナ姫さ...まぁあああ!?」


「どうした、そんなに騒いで、ティッシュなら慰めに使った訳じゃないから、それと後でジュース持ってきてよ」


一応は言っておいた、がおそらくこのメイド長であるベルカーが驚いているのはティッシュ単体ではなく、それを含めた床に散乱している遊び道具とゴミの数々だろう、私も光が入って漸く気がついたがこんなに酷いとは....汚れていないところを歩けと言われたらかなり難しいだろう。


「ひ、姫様.....これは、二日前に来たときはこんなことには....」


「いえ、それはですね、私の汗と涙の結晶なのです」


青褪めるメイドを見ていると流石にこれは不味いかと反省してしまう、暫くベッドから降りていなかったので床なんてものの感触も忘れた位だ、いや絨毯か。


「と、兎に角今は姫様の身なりを整えましょう、その後国王様と対面して...」


「やだ、出たくない」


そ、そうですよね、と今日も諦めるメイド長、この諦めた時にしょんぼりする顔がとても好きでたまらない、内心にやにやと笑っている位には好きだ、当然馬鹿にしているのではない、愛でているのから。

渋々櫛で私の髪を丁寧に梳かす、この時はなんとも言えないほどに心地よく、ついうとうととしてしまう、背後から香る華のような優しい香りと暖かい手に触れられていると心の腐っている部分が浄化されている様にも感じる、私は時々彼女が神官か何かで私がアンデットなのではないかと思ってしまう、だから日の光に当たりたくはないのかもしれない。

そんなパッと思い付いては暫くすれば忘れてしまいそうな事をふわふわとした夢心地の感覚の中で考えているといつの間にか至福の時は終わってしまう、キャミソールから新しい服に着替えてほしいと言うのも断っている、何故ならば外に出ないから、そしてベルカー以外の人間に見られる事も無いからだ、当然男なら金的をする覚悟だ、男は野獣だと私はよく知っている、私がそうなのだから間違いない。

と考えながらベルカーの放漫な果実を下から上へと持ち上げるように触る、それで赤面するベルカーの顔を見れ今日のノルマは達成である。


「女同士なのだから...大丈夫だ、問題ない」


いいや、大有りである、本来の世界で、私が男のままであれば即、警察が悪即斬をしてくれるところであろう。

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