5話 絵本を読もう

よし、アビリティの確認は済んだ。この後は魔法だ！異世界に来たらこれだろう。まずはなんにも知識がないので、書斎にでも行ってみるか。まぁどうせ文字が読めないから絵本辺りからにしておくか。

そう決意し、席を立つ。

「では私はこれから本でも読んでいますね。」

「え？レンにはまだ早いんじゃないかな？」

やはり、この質問がきたな。予想通りの質問をくれた父上にはこう返すと決めている。

「いえ、絵本ですので大丈夫です！」

何が大丈夫なのだろう？自分でもそう思う。初めてみる文字なのに、絵本だから大丈夫というのは些か説得力に欠ける。

「何故ならマリーに読んでもらうからです！」

ということで、ずっと俺に付いてくれているメイドのマリーに読んでもらうことにする。
マリーは小柄で、可愛らしい女の子だ。年齢は12個も上だが、ギリギリ成人はしていないので、『女の子』でいいのだ。特徴としては、身長150㎝ほどで、オレンジ色の髪に茶色の瞳。うん、可愛いなぁ。

「というわけで、頼むよマリー。」

「はい、レン様。では皆様失礼致します。」

軽く挨拶を済ませると、レンはマリーを伴って図書室に向かう。











さてと、図書室に着いたのはいいが、いったいどの絵本がいいのだろう？

「マリー、何か面白そうな絵本取ってー。」

いつもとは打って変わり、砕けた口調でお願いをする。メイドに敬語なのはおかしなことらしい。

「はい、レン様。.........こちらはいかがでしょうか？」

そうやってマリーが持ってきたのは『勇者とドラゴン』というタイトルの絵本らしい。タイトルからして勇者とドラゴンが戦うのかな？

「うん、それでいいよ。よろしくね。」

「では、お読み致しますね。...昔々、ある村に勇者として生まれてきた男の子がおりました。勇者が居る村は大層喜びました。そして、勇者は王様の命令で、聖女や賢者、戦士と共に魔王討伐に向かいました。」

あれ？ドラゴン出てこないぞ？

「そして、魔王討伐に向かった勇者達の前に、古代龍エンシェントドラゴンと呼ばれる、最強の龍が姿を現し、共に魔王を討ち滅ぼさん。と仲間になり、見事魔王を討ち滅ぼしたのです。...以上となります。」

仲間になるパターンなんかい！まぁそうでもしないと魔王なんてのは倒せないんだね。
うーん、しかし文字が結構難しいなぁ。覚えるのにも苦労しそうだ。