九尾の妖狐は学生と洋食が好き

ルルザムート

第3話 父と娘 part1

2012年 9月21日 16時00分
アメリカ国内 とある屋敷
(日本時刻 9月22日 5時00分)


全員「ごちそうさまでした!」
かなり早めの夕食を食べ終わり全員で食後の挨拶をする

神奈「やはり食とは洋食に限る!幸せじゃあ〜!」
ぬへへ、と笑って自分のお腹をさするご主人
神楽「…なんだか申し訳ないです」
男性「妻と娘の命の恩人だ、これくらい当然さ!」
笑ってそう言ってくれるこの家の主であり、ラフリアちゃんの父上のガイモさん
そう、僕とご主人はあの飛行機から脱出後、一緒に脱出したラフリアちゃんの家でもてなしを受けていた
神楽「はぁ…」

そう言ってくれるとありがたいけど…でもーーー
回想神奈「…」ぐぎゅるるるる…
回想神楽「…ご主人?」
回想神奈「ガイモどの」ぎゅるるるる…
回想ガイモ「どうされました?」
回想神奈「別に夜まで待てぬ訳ではない、断じて待てぬわけではないが…」ぎゅるるるる…
回想ガイモ「…」
回想神楽「…」
回想神奈「…」ぎゅるるるる…

そして夕食には早すぎる時間に僕らは夕食をいただいているわけだけど…
神楽「…」がっくし
九尾の妖狐としてなんてはしたない…

ガイモ「まあそんな気を使わないで、自分の家だと思ってくつろいでくれ。それとラフリア、今日はお父さん会社からお休み貰えたからいっぱい遊べるぞー!」
ラフリア「ごめんねお父さん、私神奈お姉ちゃんと遊ぶ予定なの、後でねー!」
神奈「わたたっ!こりゃ、引っ張るでない!」

ラフリアちゃんに引っ張られ、部屋から出て行く
ガイモ「ハハ、振られてしまったよ」
神楽「あの〜」
ガイモ「ん?いやあ、確かに少し残念だけどラフリアのあの嬉しそうな顔を見れば…」
神楽「あ、えっと…そうでは無くてですね…」
ガイモ「?」

この部屋に来る途中の事を思い出す
うん、やっぱり異常だ
神楽「なんで…家の中に動物園や植物園があるんですか?」
ガイモ「あーそれね、子供達のために作らせたんだよ」

微笑みながらさらっととんでもない事を言うガイモさん
神楽「作らせたって…ええっ!?」
ガイモ「この辺りは子供の好きな物こういうものが少なくてね、まあ実のところ作った当初は娘だけのためだったんだが…」

神楽「こんなにすごいのを…失礼ですがお仕事は何を?」
ガイモ「イノウエグループ傘下企業の…一応社長かな?」
神楽「社長…なるほど」

それならこの屋敷のことも納得だ
神楽「若そうなのに凄いですね…」
ガイモ「はは、そういえばあなたも見た目通りの年齢では無かった事を忘れていましたよ、なんだか不思議な気分だ」

…?イノウエグループ…イノウエ?どこかで聞いたようなーーー
ラフリア「お父さん見て見て〜」
ガイモ「んー?」
見るといつの間にかラフリアちゃんとご主人が戻ってきていた

ラフリア「むむ〜、へんげっ!」
ボフンと煙に包まれるラフリアちゃん、そして…
神奈?「じゃじゃーん!」
神楽&ガイモ「!?」
煙が消えるとそこには2人のご主人が…!

神奈「…」ヒラヒラ
神楽「あ」
奥側に立っているご主人が札を持ってこっちに手を振っているのを見てすぐ理解した

ああ、変化の札…ご主人が奥、変化したラフリアちゃんが手前ってことね
札は妖術と違って作った人の妖力が最初から込められているから誰でも使うことが出来る。まぁどんな姿に変化するかは製作者側にしか決められないんだけど…ん

ガイモ「…!?…!?」
ガイモさんの方を見ると予想通りというかやはりというか混乱していた
普通はそうなりますよね

神楽「ガイモさん、あれは道具を使って化けてるだけで中身はちゃんとラフリアちゃんですよ」
ガイモ「そ、そうなのか?よく出来ているな…」
多分ご主人がラフリアちゃんと遊ぶために食事の前に作っていたんだろう

神奈?「お父さん!ここで問題!ラフリアはどっちだと思う?」
ガイモ「おお、どっちだろうな〜」
ラフリアちゃんの出す問題に少し考えるフリをするガイモさん、そしてーーー

ガイモ「こっちかな〜」
神奈?「私?ほんとにそれでいい?ふぁいなるあんさー?」
ガイモ「うん、ファイナルアンサー!」
神奈?「…」
ガイモ「…」
神奈「…」ニヤニヤ
神楽「…?」

奥のご主人、なんでにやけ顔なんだ…?
神奈?「残念!外れじゃ!」
神楽&ガイモ「えっ」
神奈改めラフリア「引っかかった〜!」
神楽&ガイモ「ええええーっ!?」
そ、そんなバカな…

ラフリア「話し方を交換したの!えっへへ、大成功!」
神奈「むはははは!その様子では神楽も騙されておったな?」
ぎくっ

神楽「…はい、すみません」
よりによってご主人を間違えるなんて…
神奈「謝らずとも良い、この変化は儂の妖力も付いておる、見分けがつかぬのも無理は無い」
神楽「…」
確かに妖力は全く見分けが付かなかった

ガイモ「見事に引っかかっちゃったな〜」
ラフリア「フフフ…不正解の罰ゲームだよ、お父さん!」
椅子に座ったガイモさんにそのまま抱きつくラフリアちゃん
あ、先に変化を解いた方がいいんじゃ…

ガイモ「ハハ、仕方なーーーおふっ!?」
ラフリアちゃんに押し倒される形で椅子ごと倒れるガイモさん
たしかご主人の札変化って体重とかも似せるハズだから…

ラフリア「くすぐりの刑だ〜」
ガイモ「お、重た!ちょっと待って!」
ラフリア「待ったナシ!こちょこちょこちょ…」
お構い無しにくすぐり始めるラフリアちゃん…ご主人の姿のままで

ガイモ「あっははは!ラフッ、うひゃひゃひゃ!つっ潰れっ、はははは!」
ラフリア「あはは〜」
神楽「…」
まぁ楽しそうだしいいか


ガイモの屋敷いえ、廊下


神奈「儂らの部屋はどこじゃったか…」
神楽「さっきのところ左だったんじゃないですか?」
先程ラフリアちゃんにもらった屋敷内の地図を頼りに僕達用に用意された部屋を探して歩く

神楽「戻ってこっちの通路へ…あ、こんにちは」ぺこり
廊下で窓を拭いていた使用人がいたので挨拶をする
使用人「そんにちは、旦那様からお話は伺っております。何かあればなんなりとお申し付けください」ペコ
一瞬作業を中断して僕らに頭を下げる使用人

神奈「…」ペコ
ご主人も頭を下げてから歩き始める
神奈「…35人目じゃったか?」
神楽「いえ36人目です」
神奈「そうか」

この家(というか屋敷)やっぱり使用人が多いような気がする…あんまり歩いてないのにここに来た時から大勢の使用人と会ってるけど2回以上同じ人と会ってないから…
神楽「…」
これは普段家事をやっているから分かることだけど家事+ラフリアちゃん達の身の回りの事をこなすだけならもっと少人数でも問題ないと思うんだけど…動植物園には使用人でなく飼育員や菜園家?(って言うのかな?)の方々がいらっしゃったし…あ

神楽「…!こんにちは」
執事長「こんにちは神楽様、神奈様」
そういえば執事長とは何度も会ってたね
執事長「旦那様からお話は伺っております。何かあればなんなりと…神楽様、もしや何か疑問に感じたことがおありですか?もしございましたらどうぞ遠慮なく…」

神楽「!」
何も言ってないのに…どうして分かるんだ?
執事長「職業柄ですね、長らく旦那様の元で働かせていただいているのである程度ーーー」
神楽「!?」
神奈「?」
執事長「…!失礼いたしました」ペコ
…まるで超能力者だ、妖怪でも相手の心が読める人なんて1人しかいない

神奈「?…??」チラッチラッ
訳がわからないといった様子で僕と執事長を交互に見るご主人
ま、まあいいか質問しよう

神楽「えっと、使用人さんのことなんですけど…屋敷がいくら広いといえ大人数だなぁと思いまして…」
執事長「はい、確かに今日は常時より多くの者が屋敷に働きに来ております。もちろんお2人がいらしているのも要因の1つですが何より大旦那様…イノウエグループ最高責任者の令嬢がこの辺りにいらしているのが最大の要因ですね」
神楽「令嬢…」
何歳くらいだろう?日本から勉強しにアメリカまで来るなんて熱心だなぁ

執事長「いえ、今回は勉学ではなく人探しだと聞きました」
ま、また心を…
神楽「えっと人探し…?というかお嬢様の事を部外者の僕らに話してもいいのでしょうか?」
執事長「旦那様が機会があれば話しても良いとおっしゃられたのでお話させていただきました」
それだけ信頼されてるってことかな…ふふ、そうだといいな

執事長「話を戻します、令嬢は友人と共にこのアメリカに来ておられるそうでもし何かあれば協力して欲しいとの連絡が令嬢護衛隊長から入り、本日の人員増加となったわけです」
神奈「ふむ…して令嬢殿は誰を探しておるのじゃ?地球を半周してまで探しに来るとは余程大切な人間と思うが」
確かに…

執事長「それについては個人情報となりますので流石に申し上げられません…申し上げられる範囲で言えば探しているのは歴史…日本史の教師だそうです、なんでも理由をほとんど言わずにアメリカに行ってしまったようで…」
神奈「へ」
神楽「え」
理由を言わずにアメリカに消えた日本史の教師って…というかイノウエグループの『イノウエ』って…

神奈「…つかぬことを聞くが」
執事長「はい、なんでしょう」
神奈「その教師は…桜丘高等学校に勤務している者では…?」
お願いだから外れていますように…!
そう願ったがーーー
執事長「…!?あの、どうしてそれを?」
神奈&神楽「」ポカーン

予想は…当たった


第3話 part2へ続く



↓プロフィール

井上   桜(いのうえ さくら)
性別 女
年齢 17歳
身長 151㎝
体重 45㎏
血液型 A
髪の色 茶
目の色 黒
胸 C
武器 ???
好きなもの ???
嫌いなもの ギャング

神奈が勤務していた桜丘高等学校に通う2年生であり、日本の大物…井上グループの令嬢
井上グループ令嬢の名に恥じない非の打ちどころがない模範的生徒で神奈は彼女のクラスの担任であることに誇りをもっている
よく影月 遥と行動を共にしており、面倒見の良い一面も見え、神奈ともよく会話をしていたようだ、どうやら『友人』と共に神奈を探しにアメリカへやってきたようだが…

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