九尾の妖狐は学生と洋食が好き

ルルザムート

第2話 ハイジャック part2

アメリカ領海内上空 旅客機『398便』内 操縦室内


神奈「終わりじゃ!観念せい!」
操縦室に入り、ルドルフとルドルフの仲間の女と相対する
大人しそうな女「…!」
ルドルフ「やってくれるな…ルトル、退がってろ」

ルドルフは拳銃をこちらに向け、仲間の女、ルトルに注意を促す。無表情だが目には憤怒の色があるのがはっきりと見て取れた、おそらく儂がヘンリー達を殺したのを監視映像か何かで見たのだろう
…腹の虫が治まらんのは儂の方じゃと言うのに

だが先に、どうしても聞いておかなければならないことがある
神奈「ルドルフよ、1つ聞きたい」
ルドルフ「なんだ?」
神奈「…ヘンリーが乗客達を殺したのは貴様の指示か?」

できることなら違っていて欲しい、ヘンリー1人の暴走だと…人間を殺すような、殺させるような、そんな人間は見たくない…
そう思っていた、だが現実はーーー

ルドルフ「…ああ、俺がヘンリーに指示を出した、そうすれば犯行的な乗客は出ないーーーいや出てこないと思ったからな」
神奈「…っ!!!」

答えを聞いた瞬間、儂はルドルフへと突撃していた
神奈「貴様ぁっ!」
ルドルフ「…!」パンッ

撃ってきた銃弾を弾き飛ばしながら魂昏をルドルフに叩き込む…自分で言うのもなんだがかなりあっさりと命中した
神奈「はぁっ!」
ルドルフ「ぐっ…」フラッ

神奈「…」
ふらりと倒れそうになるルドルフから右手を引くーーーその瞬間、何故あっさりと魂昏が命中したかが分かった

ルドルフ「っ」ガシッ
神奈「!?」
ルドルフの左手が神奈の右腕をがっしりと掴む
ルドルフ「ただじゃ…死なねぇっ…てめぇらも道連れにしてやるーーー」

神奈&神楽&ルトル「!?」
そう言ったルドルフの左手には…
っ!!!
神楽「手榴弾…!?ご主人っ!」

神奈「くっ!」
力任せにルドルフの手を振り払い、魂昏を発動させるが…
ピンッ
人間の兵器に疎い儂でもはっきりと分かる『嫌な音』がすぐ近くで鳴る

爆発するーーー
神楽「『絶空ぜっくう』っ!」
ドーン、と喧しい音と共に目の前で爆発が起こる

神奈「…?」
ルトル「え…!」
だが爆発こそすれど、その爆風が広がることは無かった
神楽「あ、危なかった…」
神奈「!神楽…」

目の前の、ルドルフが立っていた場所で金色に輝く正六面体の結界…『絶空』を見たところで神楽が爆風を防いでくれたと理解した
神楽「ご無事ですか!ご主人!」
神奈「ああ!よくやったぞ!」

結界が解かれ、ルドルフだった肉片が見えた時少しだけ心が痛んだが、儂は素早くそれを振り払った
奴らは人殺しじゃ…これは仕方がないことなんじゃ…

儂と神楽はルトルの方に向き直り、身構える
神奈「もう無駄な悪足掻わるあがきはよして降伏せい!」
こう言ったところで恐らくこやつは向かってくるのじゃろうが…

ルトル「ルド…ルフさん」クラッ
神楽「大人しく降参ーーーへ?」
だが予想に反し、ルトルはバッタリと倒れた

ルトル「」
神奈「…?気絶したフリか?」
まさか近付いてきたところをグサリとでも考えておるのか?そんか陳腐なーーー
神楽「いや…この人本当に気絶してますよ」

倒れたルトルの元へいつの間に近づいた神楽が首を振りながら言う
神奈「む?そうか…しかしなんでじゃろう?血も涙もない奴らの仲間であるはずのコイツが仲間の死に動揺したとはーーーっ!?」

そこで儂は1つの気付きたくない事実に気付いた、それは…
神楽「とりあえずこのまま寝かせておきましょう…えーと監視映像を見る機械はどれだろう…」
ルドルフだった肉片に半分埋もれた小さな指輪と…ルトルの左手薬指に付いていた指輪、それはまるで、いや紛れもなくーーー
神奈「…結婚指輪?」
神楽「ご主人?」

ビクッ
神楽の声に我に返る
神奈「お、おお、なんじゃ?」
神楽「今監視映像を見ましたがハイジャック犯はこの女性で最後のようです、乗務員にハイジャック犯撃退の報告をしましょう!」


神奈「…ああ、そうじゃな」
指輪のことを頭の隅に追いやり、操縦室を出ようとしてーーー
プルルルルッ…
神楽「電話?飛行機に?」
室内で電話が鳴った、どうやら飛行機内に取り付けられた電話が鳴っているようだ

神奈「神楽、悪いが電話に出ておいてくれ、このような事態への対応方法を知っている人間かもしれん…儂は乗務員にハイジャック犯撃退のことを伝えてくる」
神楽「かしこまりましたご主人」

ペコリと頭を下げ、受話器を取る神楽
神楽「もしもし…え?ウルフルズ?いえ、違います、ハイジャック犯達はもうやっつけて…」
電話を神楽に任せ、今度こそ儂は操縦室から出て、乗客達の元へと戻った


2012年 9月21日 12時30分
(日本時刻 9月22日 1時30分)
アメリカ領海内上空 旅客機『398便』内


ラフリア「あ!神奈ちゃん!」
乗客達が居る場所へと戻るとラフリアが嬉しそうに儂の方へと走ってきた、遅れてラフリアの母親であろう人間もこっちへ来る

ラフリアの母親「あなたはさっきの…無事でしたか!あの操縦室へ向かったハイジャック犯達は?」
神奈「成敗してやったわい、ところでこのことを乗務員に伝えて対応方法を知りたいのじゃが…どこにおるか知らんか?」

操縦室に行く時もそうだったが戻る時も乗務員を1人として見なかったしの…
ラフリアの母親「…それなんですが」
神奈「?」


神奈「なんと…」
ラフリアの母親の話ではどうやら乗務員は既に全員殺害されていたらしい、ハイジャックが発覚してから4人の誰も動きが無かったのを見るに乗務員を殺害してからハイジャックに移ったのだろう

ラフリアの母親「はい…残念ながら」
神奈「むう…」
非道な奴らめ…しかしどうするか?

ラフリア「あれ?神奈ちゃん、神楽くんは?」
神奈「神楽は今操縦室で機外の人間と電話をしておるよ…乗務員が居ないのであれば仕方がない、儂は1度操縦室へ戻る」
ラフリア「あ!待って神奈ちゃん!これ持って行って!」

ラフリアに引き止められ、手のひら程の大きさの機械を2つ、手渡される
神奈「これは?」
ラフリア「神奈ちゃんがやっつけた悪い人達が持ってた通信機だよ!何かの役に立つかも知れないから持ってって!」
神奈「む、そうか」

ラフリアに一言礼を言ってから操縦室へと戻る
神楽の方は何か分かったのじゃろうか?
神奈「神楽!神楽?」

操縦室に戻ってきたはいいが神楽が居ない、どこにーーーのわっ!
妙な匂いがすると思ってその方を見ると頭部に拳銃で風穴を開けられた死体が2つ、操縦室に入ってすぐのところに横たわっていた

神奈「これは一体…というかこの服装はもしや乗務員か?」
神楽「ご主人!私はここです!」

声の方を見ると頭部に妙な機械をつけた神楽が前方の操縦席から手を振っていた

神奈「か、神楽?これは一体どうしたというのじゃ!?対応措置は分かったのか?いやそれより何故操縦席に座っておる!?」
神楽「申し訳ありませんが時間が無いので簡単に説明します!ハイジャック犯達に飛行機を操縦できる人間が殺害されていたので私が代わりに操縦しています!…もしもし?次の指示を下さい!」

頭部の機械に向かって叫ぶ神楽、その間儂はどうしていいか分からなかった


第2話 part3へ続く



↓プロフィール

鬼銅きどう   蓮
性別 男
年齢 ?(見た目は20なりたて?)
身長 171㎝
体重 91㎏
血液型 A
髪の色 金
目の色 赤
武器 ?
好きなもの ?
嫌いなもの ?

鈴と呼ばれた女性と一緒に羽田空港内にいた青年
鈴と同じく種族、目的等は不明
軍人のような体格の割に臆病のようでそれが原因かは分からないが彼よりも鈴の方が立場は上なようだ
彼も神奈の父親と面識があるようだがあまり会いたく無いように見えるような…

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