進め!非常識ガールズ!

ルルザムート

第3話 part1 カッチリ王子とあたおか王女

2012年 9月21日 15時30分
謎のトンネル内
(日本時刻 2012年 9月22日 4時30分)


桜「はぁ…」
仕方がなかったとはいえ…これでいいのかな…
いや、これは正しい判断だ、あのままだったらハルちゃんも私もあの眼帯の男に殺されていた…いや、それよりもっと酷いことをーーー

桜「…」
前を歩くハルちゃんを見る
遥「〜♪」
目に見えて上機嫌だ、歩き方を見れば私でなくても分かるくらいに

遥「ん!桜ちゃん桜ちゃん、出口だよ!」
桜「え?あ…うん、そうだね」
この先に何があるか全く分からない…危険な場所かもしれない

ふと、後ろを振り返る
桜「まだ引き返せる…」ボソッ
今なら…まだ引き返せるかもしれない、トンネル内に逃げ込んでからもう10分は経ってる、眼帯の男ももういないだろう

桜「よし…」
今すぐハルちゃんを連れて戻ろう、それがハルちゃんの安全には1番ーーー

『大っ嫌い!』
桜「っ…!」
忘れようとしている記憶が一瞬だけ思考の表に出てくる
私、は…

遥「桜ちゃんどうしたの?」
桜「なんでもないよ、行こう」
遥「うん!」
ハルちゃんに続いて出口へ歩く
桜「ああ…そうか」
私はただ単にーーー


2012年 9月21日 16時00分
生活感のある部屋
(日本時刻 2012年 9月22日 5時00分)


トンネルを抜けるとそこは草原の広がる異世界…ではなく
遥「なーんか変な部屋だなぁ」
香水と鉄の匂いがする、桃色で統一された部屋だった

異世界っていったらまずは草原だと思ってたけど…まぁ異世界ならいいーーーいやそもそも異世界なの?ここ
桜「ハルちゃん、置いてかないで…きゃっ!」
遥「うおいっと」

トンネルと床の段差につまづいて転びかけた桜ちゃんを支える
遥「もードジだなぁ、大丈夫?」
桜「うん、ありがとう」

そう2人で安堵した直後…
桜「え?ちょっと!嘘!」
遥「あーらら」
今通ってきたトンネルが消えてしまい、部屋にはあたし達2人だけが残された

桜「どうしようハルちゃん…」
遥「うーん」
確かに帰る手段が無くなってしまったけど…あれこれ考えるのも得意じゃないし…
遥「まぁ、なんとかなるよ!とりあえず部屋の外に出てみよう!着いてきて!」

早速部屋の外へ飛び出して辺りを確認する
遥「…わーお」
右を見る…うんざりするほどの部屋の数と長くて綺麗な廊下
遥「…」
左を見る…これまたうんざりするほどの部屋の数と綺麗な廊下
内装を見るに洋館かな?

さてと…どっちから行こうか…と考える間もなく左ぃ!
遥「いやっほい!」
ちなみにだが左を選んだ理由は特に無いゾ♪

廊下を全力疾走し、気になる部屋は手当たり次第に入ってみた、が
遥「なーんか似たような部屋ばっかり」
(思ったより長くなかった)廊下の突き当たりを曲がった辺りで言葉が溢れる
でも実際に、まるでホテルの客室を見てる感じでどれも似たような部屋ばかりなのだ、そもそも誰も居ないし

遥「この部屋も…」
細かく言えば置いてある衣服や小物類は違うけど…
遥「引き出しには何が入ってるかな…おっ」

『遥 は ゲーム機 を手に入れた!』
中身は…あ、これ何年か前に流行ったやつ…そういえばやったことないな…いやいや、いくらあたしでも流石に持ってかないよ?泥棒はダメ…だ、けど
遥「…」
ちょっとやるくらいならいいよね…

遥「…」カチカチ
おお…結構面白い…
遥「これ楽しいよ、桜ちゃんもーーー」
…恥ずかしいことにここで初めて気付いた

遥「桜ちゃん?」
桜ちゃんがいるであろう場所に振り向いても桜ちゃんがいない、それはつまり
やばい!はぐれた!

急いでゲームデータをセーブし、部屋を飛び出す
ええと、どっちから来たっけ…?多分こっちだな!
遥「…」ててて…

あたしは全力で、かつ物音を立てず元来た方向(多分)へ向かって走る
桜ちゃんどこ…?おっ?
曲がり角の向こう側から僅かな気配を感じる…
そこか!

少年「え?」
遥「ひょ?」
結論から言うと曲がり角の向こう側にいた人物は桜ちゃんでは無かった、そして…曲がり角を曲がって以外とすぐのところにいた、つまり

少年「んがっ!?」
遥「ぅおいってっー!?」
ゴヅッ!!とギャグとしか思えないような音が鳴る

少年「め、めっちゃ痛い…!」
遥「ぬおおっ…頭が割れそ…う?あ!ごめん!大丈夫?」
面白…独特な声を上げて頭を押さえて転げる少年に手を貸し、起こす
遥「やっと人に会えた!あたし影月 遥!あなたの名前は?」
13…14歳くらい?変わった服装に変わった剣を持って…剣?

遥「…」
この剣…
なんというか選ばれしものしか使えないという空気が凄い…エクス○リバー的な?
少年「ああ、すまない…エレナ?」
遥「ひょ?」

声にハッとしてこっちを凝視する少年を見る…あーいや、よく見ると凝視してるのはあたしじゃないね、もう少し上…頭?
遥「あのー?」
少年「…!ごめんごめん!いきなりぶつかって悪かったね、僕はアーサー・アルコット!ここに住んでる…まぁ住民だよ、見たところ君は人げ…日本人みたいだけど良ければ話を聞かせてくれないかな?」
遥「うん、いいよ!」

ってノリ(+人が居たって喜び)でOKしちゃったけどよかったかな…?知らない人について行ったら行けませんって良く言われーーーいやまぁいいか、年下っぽいし

アーサー「こっちだよ」
こうしてあたしはアーサー君に着いて行った
遥「そういえば…」
何か忘れてるような…


少し前… 2012年 9月21日 16時00分
生活感のある部屋
(日本時刻 2012年 9月22日 5時00分)


遥「まぁ、なんとかなるよ!とりあえず部屋の外に出てみよう!着いてきて!」
桜「危ないよ、ハルちゃん!」
止める間も無くハルちゃんは部屋を飛び出していく

ハルちゃんのいつものクセだ、まずい…グズグズしてると見失う…!
桜「あっ」
部屋を飛び出す寸前に気付く、持ってきたアタッシュケースが無い!
桜「…!あった、良かった…」

どうやらここへ来た時にケースを蹴っ飛ばしてしまったらしく部屋内のベッドの下にあった
後で思ったがケースを蹴っ飛ばした上に音もしてたのに気付かなかったのは私の疲労が溜まっていたからなのだろう

とにかくあっさり見つかって良かった、早く追いかけないと…
だがーーー
桜「ハァ…遅かった…」
…はぐれた、どうしよう?


第3話 part2へ続く



↓用語紹介

青く輝くトンネル
正式名称不明、遥達の前に突如として現れた謎のトンネル(通路)現段階でなんなのかは殆ど不明だが大量の未知のエネルギーを使い、異世界への通路を繋げる物のようだ

コメント

コメントを書く

「冒険」の人気作品

書籍化作品