魔法少年の自由奇行

パルパス・パンプルドア

008

 あーあ、今日は全く研究は進まなかったなぁ。

 まぁそんなに簡単に研究が終わってしまったら詰まらないからいいか。

 しかし、目標レベルが500なのは意外と低いのかも知れない。最低でもあの師匠のレベル以上に成らないと僕のなけなしのプライドが傷ついてしまうかも知れない。

 よし、夢はでっかくレベル999だな。

 どうすればそこまでのレベルに到達することが出来るのだろうか?メタル種ばかり狩って来た僕だからこそこれ以上は本当に地道にやるしか無いことをよく知っている。何故ならば多くのメタル種はレベル300以上にとってはそんなに美味しくない獲物なんだよなぁ。確かに根源は多いんだけどそれは適正レベル帯においてであってメタル種の多くはレベル100未満の魔物が多いので流石にメタル種をメインで狩っても探す手間を考えると効率が悪いんだよ。まあ、見かけたらラッキーくらいの認識かな?

 あっ、そうだ。思い付いた。適正レベルより少し下。出来れば魔法に弱いのを沢山倒せばいいんじゃないかなぁ。

 例えばモンスターハウスの様なものを意図的に作って範囲攻撃で倒す。それを繰り返せば。或いは師匠以上のレベルに至ることが出来るかもしれない。

 となると。攻撃力。範囲。魔力効率。何よりも狙った魔物をいっぱい召喚出来る手段を手に入れないと意味が無いなぁ。

 明日にでも師匠に聞いてみるか。







 【あるぞ。】

 聞いてみるものだ。まさか本当にあるとは思わなかった。

 【これは儂の時代にはもう忘れ去られかけていた禁呪なんじゃがなぁ。名を“大災厄”と言ってのぅ、何万もの魔物を召喚してしまい幾つもの国を滅ぼしてたことで禁呪認定された魔法じゃよ。】

 禁呪かぁ。使えるかなぁ。

 【儂も昔レベル上げに良く使っておったからあまり強く言えんがこの魔法を使うときは最新の注意を払って使いなさい。でなければ教える事は出来ん。】

 うわぁ、師匠がこんなに注意すると言う事はかなり危険な魔法なんだろうな。うん、気おつけて使おう。

 【はぁー。こういう所は魔導師や研究者として間違っているとは言えんが子供としてはかなりまずいのぅ。まぁ良い。教えよう。】

 





 魔法は思ったより簡単だった。いや、使用条件とかかなり面倒くさい方なんだけど僕の場合全ての条件を満たしていたのだから問題はないだろう。それに上手くいけばこの魔法を定期的に使う限りダンジョンから魔物が溢れてくる事はまず無くなるのだから使い様によってはかなり世のため人のためになると思う。…まぁ1番は僕の為だけど。

 早速今度の休みの日に使おう









 さて、この魔法は何回か使うと暫くは使えなくなる。厳密に言えばそのダンジョンでは使えなくなるのでそんなに時間はかからない。

 ダンジョンの五十階層のモンスターハウスの扉の前に僕は今いる。

 この魔法はモンスターハウスの魔物を生み出す効果を弄る事によって自分の思うように魔物を選ぶことが出来る。

 今回選んだのはブラッドオーガ適正レベル250の大物だ。数は100。

 よし準備オッケイ!発動!

 ん?数の調整が意外と難しいなぁ。あ、やばい。ちょっと多くなっちゃた。

 まぁ良いか。僕としては誤差みたいなものだし。

 そんなことを考えながら僕は扉を開いた。

 扉の先には沢山の血走った眼があった。

 うわあー。ドン引きするなぁ。

 ブラッドオーガ達が一斉に僕に襲いかかってくる。

 僕は冷静にに一つの魔法を解き放った。

 「混沌冥王!」

 僕的に必殺技と言っても良い。僕の属性因子を現したかの様な、本当に混沌とした色んなものが混ざり合っていて元がなんだったのかがさっぱりわからない。そんな球状の力の塊を放ち僕は全力で扉を閉めた。そして予め待機させていた魔法を唱えた。短距離転移発動!

 一瞬で視界が変わった。大体直線で百メートルほど離れたところに移動した。

 ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、…!!!

 うん、相変わらずめちゃくちゃ強力だなぁ。滅多に使えないんだよね。この魔法。普通壊すことのできないダンジョンを明確に削り取ってしまうくらい威力が高い。正に全てを冥府に連れ去ってしまう王が如し?

 師匠曰く闇属性を極めた者が使うブラックホールと呼ばれるものに近いらしい。

 あ、なんかすごいレベルアップしてる。

 人によってレベルアップ時に感じるものが違うらしい僕の場合は心臓からどんどん熱く。まるで力が循環しているように感じるんだ。

 〜3分後〜

 うん。もう大丈夫だね。さて戻るか。

 






 うわぁー。扉の内側めちゃくちゃ削れてる。部屋も中も…あ、ドロップアイテム落ちてる。こんな状態でもちゃんと残るんだ。ん?あれこれ鬼皇帝の金棒じゃん。オーガエンペラーのレアドロ…。

 あれー。可笑しいなぁー(笑)ブラッドオーガしか呼んでないつもりだったんだけど。適正レベル500の国が崩壊してもおかしくない領域の魔物だね…。

 倒せたんだから問題ないねぇ!

 そんな事よりどれ位レベルが上がったかなぁ。

 僕はレベルチェッカーと呼ばれる人口のマジックアイテムを使って調べた。

 はは、流石に驚いた。レベル425。まさかの100以上あがっているとは思ってなかった。

 もしかしたらオーガエンペラーは一体だけでは無かったのかな?なんかそんな気がする。鬼皇帝の金棒はレアドロらしいし。

 ふぅー。僕も強くなったものだ。

 僕はそれ以上考えないことにした。

 もう一回行っとくか。

 僕は全く懲りていないなぁ。と自分でも思いながら先ほどと同じ様に今度は最初からオーガエンペラーだけで100体。あっ、また失敗した。

 





 また先ほどの様にモンスターハウス…後とでも言うべき場所に戻って来ていた。流石に2度目はダメだったのか扉すら無くなっていた。あ、また鬼皇帝の金棒が落ちてる。あれ?なんかギリギリ息のある人型のオーガ?の様な物体がある。

 「き、貴様がこれをやったのか。カッハァッ、鬼神たるこの俺様の命をたった一撃でほぼほぼ削りきるとはな。ハァー、ハァー。もう、指一本動かすことができないがせめて、クッ。鬼神殺しの称号と俺様の権能の一部をくれてやろう。」

 そう言うと自称鬼神は灰と成り消えていった。

 なんだったんだろうあれ?

 そんなことを考えていたその瞬間。

 ガッ。声にならない声を上げながら僕は倒れた。凄まじい痛みが僕を襲ったのだ。それはまるで全身を作り変えていく様な、普通では考えられない様な痛みであった。








 どれほどの時間が過ぎていっただろうか。だんだんと痛みが減って来てようやく何かを考える余裕が生まれてきた。

 なんなんだ一体。まるで原因が分からない。いや恐らくはあの鬼神を名乗る存在を殺したのが原因だと思う。

 今はそれよりも。早く家に帰らなくては行けない。

 俺は家族に怒られることが心配だった。

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