魔法少年の自由奇行

パルパス・パンプルドア

005

 「えーと、魔法とは人それぞれの属性に魔力を通すことにより…。」

 三十路の男のやる気の無い。ただ教科書を読んでいるだけでしかない授業をしている教師。…担任の先生の事は頭の隅に追いやる。
 
 どうせまたエリカ先生を怒らせたのだろう。

 はぁー、つまらない授業だなぁ。

 これは担任の先生の事は関係なくアルフォートが思っている事だ。

 今更そんなことを教わっても殆ど意味がないと思っているからでもある。

 人や物の中に属性因子とよばれるものがある。この属性因子と魔力。この二つが合わさって始めて魔法といえる。属性因子だけでは何かを成すことはできない。だが、魔力はそれ単体でも物理的な影響を与えることができる。

 例えば魔力障壁だ。これは純粋な魔力を操り密度を高めて擬似的な壁を作り出すというものだ。習熟すればすぐ様作ることのできる盾がわりが生まれるが。欠点としてはあまり長く持たないというものだ。それは人それぞれの魔力にも色がありその色が身体の中にあるうちは制御が簡単だが、外に出すと少しずつ自分の魔力の色が抜けていくからだ。どんな達人でも障壁の維持は1時間も持たないと言われている。話が戻るが、何故魔力と属性因子を合わせるのかというとそれが最も効率が良いからだ。より厳密にいえば、その属性因子に向いている属性であれば効率よく、より強力に発動することができるのだ。この合わせた魔力を属性魔力と呼ぶ。

 だが、逆に言うと向いてない。反転属性などだと効率は著しく落ちる。例えば破壊属性の魔力を使って治癒魔法を使うと怪我がひどくなる場合もある。これは僅かながらも回復効果が発生していると思われるが、しかし、それ以上に破壊属性の魔力がダメージを与えることにより怪我がひどくなると言う結果が生じたのだ。

 あれはひどい事件だった。何せ破壊するだけではなく変に直そうとした部分とがぐっちゃぐっちゃに混ざり合っていたのだ。これなら何もしない方が安全だとおもったほどである。

 見ていたたげなのに背筋がぞっとする。本当に怖かった。新手の拷問かと思うほどだ。いくら出血量が多いからと行っても正式に直す難易度が跳ね上がるだけなので傷口を焼いた方が痛みも後遺症も少なかっただろうとと思う。

 僕の属性因子はかなり独特の癖があるのであまり細かいコントロールは向いていない。お陰でかなり魔力操作が上達したのだが。

 他にも魔力の使い道としてはマジックアイテムなどがある。マジックアイテムは千差万別であり、特定の属性因子をより活性化させる効果や、若返り、はたまた、蘇生まであると言われている。マジックアイテム単体でも効力を発揮するがさらに魔力を注ぐ事によりさらに効果を高めることもできる。

 他にも魔力操作を極めることにより魔術と呼ばれる技術を扱うことができる。魔術は魔力そのものに独特な変化を与えることで一つの現象を生み出す技術だ。同じ結果だとしても手法は人それぞれであり、一定以上に魔力操作を極めることにより始めて理解出来る高度な技術である。この魔術をサポートするのが魔術具と呼ばれる道具だ。

 上位結界はこの魔術具がなければ維持が難しい。特に長時間の結界の維持はほぼ不可能と言ってもいい。何故なら特性を持たせる為に余りにも細かく、精巧に作らなければ結界は魔力障壁と何も変わらない。いや、それ以下であると言える。

 何故魔術具を使うと良いかと言うと。マジックアイテムが完成した一つの絵だとしたら、魔術具は何も描かれていないキャンパスであり、発動ごとに書いては消してを繰り返すある意味黒板の様なものと言った方が良い。魔力が尽きるか術者が解かなければ同じ魔術を維持することができる。

 …実は授業を聞いてなくても怒られないために途中から認識阻害の結界を弱く、そして秘匿の結界も途中から張っていた。

 認識阻害の結界は効果が強ければ相手が目の前にいてもまず気付くことができない。という強力なものであり、効果が弱ければその場にいるという事は認識していても意識することが余りなくなるというものだ。

 秘匿の結界は主に魔力を隠すという効果がある。

 なのでバレない様に結界を張った今の彼は机にうつ伏せになりながらも魔力操作の練習をしていた。

 彼はよくこの認識阻害や秘匿の魔術を使いこっそり魔法や魔術の練習をしているのだった。

 あー、早く学校終わらないかなぁいー。

 ラドニア魔法学園中等部。一年Sクラス。の教室では今日も授業は全く聴いていないが何かしらの練習をするという。いつも通りの光景があった。

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