『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに参加した結果。
「最後まで生き残れってことよ」
「…真、ですか」
「なぜあえてリスクの高い方を選ぶのかしら...理解不能ね」
「こっちの方がなんか...ドキドキするじゃん?」
「語彙力...」
細かいことは良いんだよ。さて...
「さぁ、寺野。カードを開いてくれ」
「...良いんだな?」
「覚悟は出来てる。そうだろ?」
「...そうだったな。...ガードを開くぞ」
寺野は一つ深呼吸をし、カードをバッと勢い良く開く。
「これは...」
「勝負あり、のようね」
そのカードは見間違えるはずもなく__。
クモのカード。
「...敗者、寺野 剛様。お疲れ様でした」
「ク、モ...?え...?はぁ...?」 
寺野は未だに現実を受け入れられない様子でカードと俺を交互に見ている。
「イカサマだ…イカサマに決まってる…!」
「覚悟は出来てる、だったよな?」
俺は寺野のこめかみに銃を突きつける。
「ヒイッ…!!」
「正真正銘、クモのカードだ。お前の負けなんだよ」
__覚悟が出来てるってのは嘘か。所詮口先だけってことか。
「望月、こいつ殺して良いぞ」
「...あら、怖じ気ついた...って訳じゃないようだけど。良いのかしら」
「あぁ。こいつ殺してもつまらないしな」
「ゲームはもう終わったのに...まだ楽しみを求めるのね」
「...なに言ってんだ?ゲームはまだ終わってないぞ?」
「...終わってない?」
望月は訳の分からない様子で俺のことを二度見する。
「その…どういう事ですか?」
 
亜美もまだ俺の言っていることを理解していないようだ。
「つまり、凛君の言いたいことは...こいつを殺すまでがゲーム、ってことでしょ?」
「ご名答。まだゲームは続いてるんだよ。てことで、望月...このゲームを終わらせてくれ」
望月は一つため息をつく。何回目だろう、望月がため息ついたの。
「__ゲーム依存性、かしら」
「そうかもな」
望月はポケットから拳銃を取り出し、弾が入っているか確認する。
「...ok。それじゃあ...寺野剛さん。さようなら」
銃声と共に、短い悲鳴がこだまする。
...呆気なく、寺野は死んでいった。
俺達は紅く染まった死体をただ無言で眺めていた。
その目は、哀れな人間を見るような...冷たい目だった。
「では、死体はこちらで片付けさせていただきます。では、楽しいゲームを引き続きお楽しみ下さい」
GMはそう言い残し、その場を去って行く。残されたのは俺達4名と死体のみ。
「…ゲームは終わった。さぁ、各々自由に動いて良いのよ」
「そうだね…。それじゃあ僕は他のとこに行こうかな」
「私も…。今回はありがとうございました」
神崎と亜美は俺達へニコッとし、その場をGMに続て去って行った。
「…三浦君」
望月は拳銃をポケットに入れ、俺の方を見る。
「…なんだ?」
「貴方と最後のゲームを楽しみにしているわ」
「…?  つまりは…どういう事だ?」
「はぁ…。馬鹿と天才は紙一重ってね。...つまりは、最後まで生き残れってことよ」
「望月...それって...」
「それじゃあ、また次のゲームで」
望月は足早にその場を離れて行った。
「えっ...望月...」
その場に残された俺は、顔を赤く染めたままただ呆然とその場に立ち尽くしていた...。
コメント