『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに参加した結果。
イカれた者たち
「はぁっ...!?」
寺野は驚いたように目を開く。
「表情で分かる。あと声のトーンだな。分かりやすいタイプの奴だ」
俺は目の前に伏せられているカードを開く。そのガードにはカメムシではなく、ゴキブリのガード。やはり俺の予想は当たっていたみたいだな。
  これで寺野はネズミ1枚ゴキブリ1枚という不利な情況に立った。こうなれば後はこの寺野のターンを乗り切り集中攻撃で終わるだろう。...が、そんな一方的な勝負で勝っても俺は嬉しくない。互いが同じリスクを負っている情況が俺にとって望ましい。
その為に何をするか...恐らく、望月なら分かってくれているはずだ。
  俺は望月の方をチラッと見る。
望月は一つため息をつき、
「ったく...呆れた」
と小声でで呟いた。まぁ、その言葉は全員に聞こえているわけだが...。
「あの...望月、さん?」
「どうしたのかな、七海さん」
亜美と神崎が首をかしげ、望月の 方を見る。寺野も、どこか不機嫌な様子で望月を睨み付けている。
「GM、少し良いかしら」
「はい。なんでしょうか」
「ルールを変更でしてもらってもかまわないかしら」
「え...?」
亜美が目をパチクリさせながら望月の事を二度見する。当たり前の反応だな。
至って神崎は落ち着いた様子で、ただ望月のことをじっと見ている。
  寺野は、というと...。完全に言葉を失っている様子だ。
「皆様の同意があればルールの変更は可能ですが...。どのようにルールを変更するのでしょうか」
「カエル、ゴキブリ、ハエ、コウモリ、カメムシ、クモ、サソリ、ネズミののガードをそれぞれ三枚ずつ皆の前にセットしてほしいの」
「...へぇ。面白い」
神崎がクスッと笑いながらGMの方へ目を向ける。
「僕も賛成だよ。その勝負の方が確かに平等だね。皆がみんな、同じリスクを背負う。そして、必ず1ターンで決着が着くわけだ」
「今の状況じゃ、寺野のさんが不利になる。もしかしたら、ずっと寺野さんが狙われて一方的な勝負になってしまう。そんなことで一生を終えるのは確かに辛い。私も賛成です」
亜美もGMを見ながら笑顔で頷く。
そして勿論...
「俺も賛成だ。こうじゃなきゃ面白くないからな」
「___寺野様はどういたしますか?」
「......全員が同じリスクを負った状態でのゲームってことだろ?......俺からのスタートなら良いぞ」
「そのことだけれど、ゲームを変更した場合、カードは二週することとするわ。じゃなきゃ、寺野さんが有利になる」
「二週するってことは、もう一回自分にカードが回ってくる可能性があるってことだね。もし一番最後に自分にカードが回ってきたら...」
そういい、神崎はニヤリと笑う。
「楽しみですねっ!!」  
こいつらもどこか頭のネジが外れてるみたいだな。この状況で笑えるとか...こいつらとは気が合いそうだ。
「寺野様、どういたしますか?」
「...おう、いいぜ。やってやろうじゃねぇか。このイカらた野郎たちに一泡吹かせてやるよ」
「フフっ...さて、誰が死ぬのかしら」
「......思った以上に...」
_____楽しめそうだな
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