『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに参加した結果。

豚の人。

ゲームセット



「狂ってる、か...褒め言葉ってことで良いんだな?」

「...えぇ、そういう事にしといてちょうだい」

望月は呆れたように答える。

  俺のガラスの心に少しヒビが入ったのは気にしないで行こう。ポジティブ思考大事だからな。

「...あら?」

望月はGMの方へ目を向ける。

「どうかしたのか?」

「三人目の正解者が出たみたいよ。良かったわね」

「良かったって...どこがだよ」

「ゲームを楽しみたいのでしょう?三浦君にとって人数が増えるのは嬉しいことじゃない」

......正論で何も言い返せない。

「君達が正解者かな?」

三人目の正解者か__。なんていうか、世間的に言う"イケメン"が俺たちの元へ歩み寄ってくる。

「えぇ、そうよ。それで、貴方名前は?」

「俺か?俺は神崎 透哉かんざき とうや。君達は?」

「望月 七海よ」 

「三浦 凛...」

「七海さんに凛君、よろしくね。まぁ、これから殺りあう仲になっちゃうけどさ」

いきなり下の名前で呼ぶタイプかこの人…。正直苦手だなぁ、このタイプの人間...。

「...三浦君の気持ち分かるわよ」

「同じ事考えてたな...」

「え?何?俺も気になるんだけど!」

「神崎君は気にしなくて良いわ」

薄々気付いてたけど望月俺とどこか似てるわ。陽キャタイプの人苦手なタイプだな。

「にしても、今回のゲームの答えがまさかトランプ・・・・なんてね。正直がっかりしたよ」

神崎は小声で話しかけてくる。

「あら、三浦君と同じ事言ってる。でもまぁ、分かるわよ。確かにがっかりね」

...答えはトランプ・・・・。そう、トランプ・・・・である。

  なぜならGMは、引いた"カード"を当てろと言っただけだったからだ。

  問題の意図を探ってはいけない。頭を空っぽにして考えるのが正解ってわけだ。
ほんとクソゲー。

「トランプという言葉に縛られてはいけない。まぁ、結局答えはトランプだったわけだけど」

「今後のゲームに期待だな」

と言っても、俺の予想からするにこの後は勝手に殺りあって下さいみたいなフリーな時間になると思うけど。
  
  そっちの方が何倍もマシだな。

「…さて、そろそろ15分になりそうだけど」

望月が腕時計をチラ見する。

  おいおい、三人だけとかやめてくれよ。それなら自害するぞ。

「皆さん!!聞いてください!!!」

「...何だ?」

全員の目線が一斉に中心に集まる。
中心には茶髪に染めた髪のショートヘアー女子。雰囲気的に俺と同い年...より一つ下位の年齢の女性である。

「んだよ。こっちは時間がねぇんだよ!!」

「答はトランプです!!」

は?

俺含めて全員がそう思っただろう。

「GMは、"カード"を当てろと言っただけだった。カードを当てるだけなんです!」

「...本当に当ってんだろうなぁ?」

「勿論です!そうでしょう?」

そう言い、謎の女性は俺達の方へ顔を向ける。

  何て答えれば良いんだよこれ。

「えぇ、そうよ。答はトランプで間違いないわ」

「うん、そうだよ。間違いない」

何このノリ?俺も乗った方が良いの?

「…ほら、三浦君も」

「え…あ、あぁ。当ってる、ぞ…?」

少し疑問系になったけど…セーフセーフ。

「答はトランプで間違いありません!さぁ皆さん!早くGMに答えを!」

そう言うと、大量の人の群れがGMの方へ行く。この事態は想定してなかったのか少しGMも焦っているように思えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…......15分経ちました。脱落者は3名。これにてゲームセットとなります。それでは皆様には弾丸を一人18個お配りします」

____3名?確か二人のはずじゃ...

「ほら、三浦君。弾丸よ」

「ん、ありがと」

きっちり弾丸は18個。拳銃に込められる弾は6発ってことか。結構たんまりあるんだな。

「...配り終えましたね。それでは代償を皆様に支払いたいと思います」

そう言うと、GMは手で作った拳銃ではなく、"本物"の拳銃を頭に当てる。
  
それと同時に、ピエロの仮面も剥がされる。めちゃくちゃ美人...。

「皆様のご無事を願っております」

GMは小粒の涙を一つ流し、引き金を引いた。
   

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