『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに参加した結果。
狂ってる
俺はGMの耳元で答えを囁く。
「......正解です。おめでとうございます」
「こんな問題...いや、ゲームで良いのか?正直言うとクソゲーだぞ」
「そんな事おっしゃらないで下さい。一番最初ですから。このくらいが丁度いいでしょう?」
呆れた...ゲームは一番最初が大事なのに。
  俺は一番最初に正解した女の隣に並ぶ。
「正解おめでとう」
女は俺の顔を見ずに言う。
「...ありがとう」
あまりまじまじ見れないが雰囲気だけだと黒髪のロングヘアーの美人さんと言ったところか。
   ...まな板じゃなければ完璧だった。とか言ったら撃ち殺されるだろうな。
「貴方、名前は?」
「三浦 凜。お前は?」
「望月 七海よ。...貴方とは良いライバルになりそうね」
「嬉しくないな」
こんな命をかけたゲームでライバルなんてもっても他だろ...。
「そう…それで、今回のゲーム、三浦君はどう思った?」
「どうって…一言で言うなら"クソゲー"、だな」
「クソゲー…いい得て妙ね。まぁ、確かに分かるわ」
正直、こんな問題全然楽しくない。誰だ考えたやつ。
「…それで、一つ気になることがあるの」
「気になる事…?」
「そう。ルールその4を覚えてるかしら」
望月は俺の顔を視ながら問いかけてくる。普通に美人だなこの人。
「…聞こえてる?」
「あ、あぁ…ごめん。確か"お互いゲームにかける物は互いの"命"。これは固定である。また、ゲームに敗退した者はその場で死となる"だっけ?」
「そう。私達は今、GMと命をかけたゲームをしていた。お互いにかける物は命。でも矛盾してるわ。私達はGMに勝った。なのに何故GMは殺されないのかしら」
確かに…言われてみれば。
「あれじゃないか?GMは司会進行みたいなもんだろ。殺されちゃまずいんじゃないか?」
「だとしても、よ。これは一方的な殺人よ」
一方的な殺人ねぇ…分からなくもないが…。
「…あ」
二人目の犠牲者が出たようだ。
   血まみれになった遺体を二人かがりで別の部屋へ運んでいる。死んだらあんな扱いになるなんて…火葬もされないんだろ、多分。
可哀想に…他人事だけど。
「運に頼ったのね…哀れ。こんな死に方するなんてまっぴらごめんだわ」
望月は運ばれている遺体から目を逸らしながら言う。
「…じゃあ何でこのデスゲームに参加したんだ?」
「金に決まってるでしょ。10億なんて大金があれば何でも出来る。……それに、大切な人のためにもなる」
「大切な人…?」
「気にしないでちようだい。それに三浦君もお金目的でしょう?」
「金ねぇ…正直、まだ10億って部分も疑ってる。それに、俺は金目的じゃない」
「…なら、何が目的でここに来たの?お金以外で何かあるの?」
望月は不思議そうな顔をして俺の顔を見てくる。
「決まってるだろ。"ゲーム"だよ。これ以上にスリル満点で楽しいゲームなんてないだろ。まぁ、今のはクソゲーだったが」
「…ゲームを楽しみに来たっていうの?命がかかっているこの状況で?」
「デスゲームでもゲームはゲーム、だろ?」
俺は笑顔を作る。望月は目をパチクリさせながら俺を何度も見てくる。
「フッ…フフッ…」
「何かおかしな事言ったか、俺?」
「____貴方、狂ってる」
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