仮面ライダーエレメント
第二話「異世界『ザード』」その二
悲鳴は屋敷の中からだ。勝手口から入り、騒ぎの元、厨房へ急行する。
「何があった!大丈夫か!」
「あわわわわ、どうしましょうクレア。お鍋が吹きこぼれてしまうわ。」
「エレオノール様、火です、火を落としてください。」
何かと思えば、いい歳こいた女性二人が教育番組のクッキンアイドルのようなことをやっていた。
「火を消せばいいのね。わかったわ。」
エレオノールと呼ばれた女性は目を閉じ、スーッと息を吸い何かに集中し始めた。
「水よ、ここに集いて我が意を果たせ。『水球』!」
バッシャーン!!カランカラン…
そうだ、この人は俺の母親、エレオノール・フォン・クウガリア。記憶によると、とんでもないドジっ子である。
「あ、あれ?やりすぎちゃった?」
「エレオノール様…。」
「お、奥様…。」
「母さん…。」
「「「やりすぎだ(です)!」」」
エレオノール母さんがめちゃくちゃにした厨房をクレアさんとアニエルに片づけてもらっている間、俺と母さんは居間で一息つくことにした。
「母さん、なんで今日に限って料理なんかしようとしたの?」
紅茶を入れながら俺は母さんに聞いてみた。普段はクレアさんとアニエルが作ってくれるので母さんのドジっ子属性を差し引いても、箱入りだった母さんに料理など作れるはずがないのだ。
「今日だからこそよ!今日はリュートちゃんの6才の誕生日じゃない!何かしてあげたくて、クレアに聞いたら手料理はどうかって…。」
そうか、俺は今日は俺の誕生日だったか。
この世界の年齢は6の倍数ごとに意味がある。6才で初等教育開始、12才で中高等教育開始、18才で成人である。
「リュートちゃんはこれから王都の王立ブレイドル学院に行っちゃうし、最後に楽しい夕食がしたかったのよ。」シュン
まるで面倒くさい彼女のようなことを言う母親だなぁ。しかし、母親の言葉であれば純粋にうれしい、母さんが俺を愛してくれているという証拠である。
「母さん、その気持ちだけで十分だよ。母さんが俺をいつも愛してくれてるのはわかっているから。」
「リュートちゃんっ。」うるうる
「母さん、それにね、別に今生の別れってわけでもないでしょ?長期休みには帰ってくるし手紙も書くことにするよ。」
「リュ”ート”ぢゃぁん”」
ガバッ
涙で顔をぐしゃぐしゃにした母さんが抱き着いてきた。今日はよく女性に泣きつかれる日だ。女難の相でも出ているんじゃなかろうか。
「母さん、俺は母さんには笑顔で送り出してほしいよ。」
「そうね、今日は楽しい夕食にしましょう。」
しばらくして泣き止んだ母さんが言う。
「それにしても、今日のリュートはなんだか大人びているわね。なんだかお父さんみたいだったわ。」
「そ、そうかなぁ、あは、あははは。」
しまった、今のは確実に6歳児の発言ではない。これからは年齢に見合ったしゃべり方をしなければ。
「あの人に似て女たらしの才能があるのかもね。」
笑顔で6歳児になんということを言うのだこの母親は。まあ早速、知らないふりでもしておくか。
俺は首をかしげて何も知らない無垢な少年を演じて見せる。
「うふふ、リュートもそのうちひどい目に合うかもね。」
本当に何を言っているんだこの母親。
「何があった!大丈夫か!」
「あわわわわ、どうしましょうクレア。お鍋が吹きこぼれてしまうわ。」
「エレオノール様、火です、火を落としてください。」
何かと思えば、いい歳こいた女性二人が教育番組のクッキンアイドルのようなことをやっていた。
「火を消せばいいのね。わかったわ。」
エレオノールと呼ばれた女性は目を閉じ、スーッと息を吸い何かに集中し始めた。
「水よ、ここに集いて我が意を果たせ。『水球』!」
バッシャーン!!カランカラン…
そうだ、この人は俺の母親、エレオノール・フォン・クウガリア。記憶によると、とんでもないドジっ子である。
「あ、あれ?やりすぎちゃった?」
「エレオノール様…。」
「お、奥様…。」
「母さん…。」
「「「やりすぎだ(です)!」」」
エレオノール母さんがめちゃくちゃにした厨房をクレアさんとアニエルに片づけてもらっている間、俺と母さんは居間で一息つくことにした。
「母さん、なんで今日に限って料理なんかしようとしたの?」
紅茶を入れながら俺は母さんに聞いてみた。普段はクレアさんとアニエルが作ってくれるので母さんのドジっ子属性を差し引いても、箱入りだった母さんに料理など作れるはずがないのだ。
「今日だからこそよ!今日はリュートちゃんの6才の誕生日じゃない!何かしてあげたくて、クレアに聞いたら手料理はどうかって…。」
そうか、俺は今日は俺の誕生日だったか。
この世界の年齢は6の倍数ごとに意味がある。6才で初等教育開始、12才で中高等教育開始、18才で成人である。
「リュートちゃんはこれから王都の王立ブレイドル学院に行っちゃうし、最後に楽しい夕食がしたかったのよ。」シュン
まるで面倒くさい彼女のようなことを言う母親だなぁ。しかし、母親の言葉であれば純粋にうれしい、母さんが俺を愛してくれているという証拠である。
「母さん、その気持ちだけで十分だよ。母さんが俺をいつも愛してくれてるのはわかっているから。」
「リュートちゃんっ。」うるうる
「母さん、それにね、別に今生の別れってわけでもないでしょ?長期休みには帰ってくるし手紙も書くことにするよ。」
「リュ”ート”ぢゃぁん”」
ガバッ
涙で顔をぐしゃぐしゃにした母さんが抱き着いてきた。今日はよく女性に泣きつかれる日だ。女難の相でも出ているんじゃなかろうか。
「母さん、俺は母さんには笑顔で送り出してほしいよ。」
「そうね、今日は楽しい夕食にしましょう。」
しばらくして泣き止んだ母さんが言う。
「それにしても、今日のリュートはなんだか大人びているわね。なんだかお父さんみたいだったわ。」
「そ、そうかなぁ、あは、あははは。」
しまった、今のは確実に6歳児の発言ではない。これからは年齢に見合ったしゃべり方をしなければ。
「あの人に似て女たらしの才能があるのかもね。」
笑顔で6歳児になんということを言うのだこの母親は。まあ早速、知らないふりでもしておくか。
俺は首をかしげて何も知らない無垢な少年を演じて見せる。
「うふふ、リュートもそのうちひどい目に合うかもね。」
本当に何を言っているんだこの母親。
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