Endの後のDiary
4 Storyの準備
▽
目を覚ますと、俺の好きなところにいた。ベッドだ。もう一人の不思議な彼女は、ソファーの上に横になっていた。苦しそうな表情をして、静かに寝ていた。
彼女には、布団すらもかけられていない。スクルドにしては、扱いが酷い気がした。
スクルドも、疲れたのか、床に寝そべっている。今はぐっすり寝ているらしい。
俺は二人が寝ている間、少し歩き回ることにした。
ベッドから起き上がろうとしたとき、急に腕に痛みがした。見ると、利き手の腕に包帯が巻かれていた。俺は、どうもこの腕に見覚えがある気がする…。きっと気のせいだろうが。
なんとか床に立ち上がり、おぼつかない足取りで歩き出す。
とりあえず、ここはスクルドの家でいいのだろうか。気がつかないうちにここへ連れてこられたものだから、よくわからない。
ドアの方へ歩いている途中、隣の本棚に目がいった。少し、調べてみると、よく分からない文章がのった本ばかりだ。RPGによくある魔法の書とかなのか。はたまた、よく分からない資料なのか。
訳が分からないので、とりあえずドアの方に足を進めたとき、唯一俺に分かる文字で書いてあった本が一冊見つかった。
「生……の…間………活…」
?文字がかすれていて、全く読めなかった。内容も見ようとしたが、本が相当分厚いので、読むのは止めておいた。
ドアを開けて、小さなテーブルや、キッチンがある部屋を通り過ぎて、外へ出る扉を見つける。とりあえず今は、外へ出て、大きく伸びをしたかった。生憎、右手は挙げられないが。
左手で、一回り大きいドアを押し開ける。外を見ると、そこは深い森の奥だった。微かに差し込む木漏れ日が、春の海のように優しく輝いている。
こんな場所、きっとどこにもないだろう。
とにかく俺は、スクルドが少し羨ましくなった。こんな静かな場所で、魔法を使って生きていけるなんて。
二人の様子を見るため、後ろを振り向くと、そこには、ソファーで寝ていた女の子が後ろに佇んでいた。びっくりして扉の方へ寄りかかると、その女の子は、すかさず手を伸ばした。その少女は、俺の手を掴んで、ふんわり微笑んだ。懐かしい笑顔だ。
よく見ると、少女は片手に俺と同じ「Diary」を持っていた。俺のよりは綺麗な本だ。
少女が不思議そうな顔をして、その本を広げて見せてくれた。不器用な文字で何ページもの…日記?のようなものを書いていた。
11月 8日 はれ
きょう、私がうまれた。私のたん生日。
大きな木の下で。
小鳥たちが私のたん生日
をいわってくれた。
うれしかった。
誕生日?11月8日が彼女の誕生日なのか?
気にしてる間もなく、少女はあるページの日記を指指した。
1月 23日 くもり
大きな街から出た。私がこんな
街にいたら、おかしくなってしまう。
とちゅうで、私のたいせつにしていた
首かざりをおとしてしまった。
もう、後もどりできない。
だれか助けてください。
彼女は、一番下の行の「だれか」をなぞって、俺の方に人差し指を向けた。どうやら、「だれか」は俺らしい。なぜ俺なんだ?
魔法も使えない、剣だって持てないのに。こんな俺でいいのか…。
顔を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしている。…首飾りごときでそんなに泣くか?…でも、こういう人を見ると、助けたくなる。…俺と…同じ?だから。
俺は拳を握り、胸を叩いた。任せて…だっけ。とたんに、彼女の顔はものすごい笑顔になり、俺に飛び付いてきた。地味に右腕が傷んだ。が、あまり気にならなかった。
俺がもう一度木漏れ日を見ると、真っ赤になった日が差し込んでいた。後ろで少女は本に何か書き込んでいた。嬉しそうな顔で。
スクルドは結局夕方まで起きなかった。様子が気になる。あのときつらそうだったし。後ろを振り返ろうとしたとき…。
「おはよう。君。今日はいい夕陽だね。ってことは…。こんばんは、かな?」
この時、心臓が飛び出るかと思った。
目を覚ますと、俺の好きなところにいた。ベッドだ。もう一人の不思議な彼女は、ソファーの上に横になっていた。苦しそうな表情をして、静かに寝ていた。
彼女には、布団すらもかけられていない。スクルドにしては、扱いが酷い気がした。
スクルドも、疲れたのか、床に寝そべっている。今はぐっすり寝ているらしい。
俺は二人が寝ている間、少し歩き回ることにした。
ベッドから起き上がろうとしたとき、急に腕に痛みがした。見ると、利き手の腕に包帯が巻かれていた。俺は、どうもこの腕に見覚えがある気がする…。きっと気のせいだろうが。
なんとか床に立ち上がり、おぼつかない足取りで歩き出す。
とりあえず、ここはスクルドの家でいいのだろうか。気がつかないうちにここへ連れてこられたものだから、よくわからない。
ドアの方へ歩いている途中、隣の本棚に目がいった。少し、調べてみると、よく分からない文章がのった本ばかりだ。RPGによくある魔法の書とかなのか。はたまた、よく分からない資料なのか。
訳が分からないので、とりあえずドアの方に足を進めたとき、唯一俺に分かる文字で書いてあった本が一冊見つかった。
「生……の…間………活…」
?文字がかすれていて、全く読めなかった。内容も見ようとしたが、本が相当分厚いので、読むのは止めておいた。
ドアを開けて、小さなテーブルや、キッチンがある部屋を通り過ぎて、外へ出る扉を見つける。とりあえず今は、外へ出て、大きく伸びをしたかった。生憎、右手は挙げられないが。
左手で、一回り大きいドアを押し開ける。外を見ると、そこは深い森の奥だった。微かに差し込む木漏れ日が、春の海のように優しく輝いている。
こんな場所、きっとどこにもないだろう。
とにかく俺は、スクルドが少し羨ましくなった。こんな静かな場所で、魔法を使って生きていけるなんて。
二人の様子を見るため、後ろを振り向くと、そこには、ソファーで寝ていた女の子が後ろに佇んでいた。びっくりして扉の方へ寄りかかると、その女の子は、すかさず手を伸ばした。その少女は、俺の手を掴んで、ふんわり微笑んだ。懐かしい笑顔だ。
よく見ると、少女は片手に俺と同じ「Diary」を持っていた。俺のよりは綺麗な本だ。
少女が不思議そうな顔をして、その本を広げて見せてくれた。不器用な文字で何ページもの…日記?のようなものを書いていた。
11月 8日 はれ
きょう、私がうまれた。私のたん生日。
大きな木の下で。
小鳥たちが私のたん生日
をいわってくれた。
うれしかった。
誕生日?11月8日が彼女の誕生日なのか?
気にしてる間もなく、少女はあるページの日記を指指した。
1月 23日 くもり
大きな街から出た。私がこんな
街にいたら、おかしくなってしまう。
とちゅうで、私のたいせつにしていた
首かざりをおとしてしまった。
もう、後もどりできない。
だれか助けてください。
彼女は、一番下の行の「だれか」をなぞって、俺の方に人差し指を向けた。どうやら、「だれか」は俺らしい。なぜ俺なんだ?
魔法も使えない、剣だって持てないのに。こんな俺でいいのか…。
顔を見ると、今にも泣き出しそうな顔をしている。…首飾りごときでそんなに泣くか?…でも、こういう人を見ると、助けたくなる。…俺と…同じ?だから。
俺は拳を握り、胸を叩いた。任せて…だっけ。とたんに、彼女の顔はものすごい笑顔になり、俺に飛び付いてきた。地味に右腕が傷んだ。が、あまり気にならなかった。
俺がもう一度木漏れ日を見ると、真っ赤になった日が差し込んでいた。後ろで少女は本に何か書き込んでいた。嬉しそうな顔で。
スクルドは結局夕方まで起きなかった。様子が気になる。あのときつらそうだったし。後ろを振り返ろうとしたとき…。
「おはよう。君。今日はいい夕陽だね。ってことは…。こんばんは、かな?」
この時、心臓が飛び出るかと思った。
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