Endの後のDiary
2 新たなFriend
▽
少しずつ迫る誰か。緊張と恐怖で汗が止まらない。怖くなり、ベッドの中でやり過ごすことにした。
そうして間もないうちに、こちらの部屋のドアが開いた。俺はここで死ぬのかと焦り、震えが止まらなくなる。
「君…」
あぁ、震えでばれてしまったらしい。目をつむり、死を覚悟すると。
「大丈夫?君、凄い震えてるけど。寒いのかい?」
そんな声が聞こえる。ベッドの中から恐る恐る覗いて見ると、そこには、自分より年上のような、優しい顔をしてこちらを見ていた。どうやら、敵視はしていないようだ。
「もう少しここでゆっくりしているといいよ。緊張もほぐれると思うし。」
とにかく優しくしてくれる人だ。
俺がこの人を何者なのかと、不思議そうに見ていると、答えてくれた。
「僕はここで、ちょっとした魔法の練習をしているんだ。『スクルド』っていうんだ。よろしくね。」
このスクルドって人は、いつも僕のことを最初から知っていたように語りだす。話を聞いたところ、魔法使いらしい。俺のことが分かるような魔法でも使っているのかな。まぁいいか。
「ところで、君の名前はなんていうの?教えてくれないかい?」
そういや、自己紹介してないことに今さら気づいた。俺は…
あれ?なんだっけ。自分の名前を忘れてしまったらしい。
「…まぁ、もう少しゆっくりしてて。落ち着いたら話そうか。今何か温かいもの、持ってくるよ。」
…結局何も話せずに終わってしまった。俺って一体なんなんろう。この世界に来たことも、名前すらも覚えいないなんて。
そんなことを考えているうちに、スクルドが帰ってきた。話をして約三十秒くらいだろう。あり得ない早さで帰ってきた。
「大丈夫?落ち着いた?」
俺は首を縦に振った。彼の顔は、一瞬にして微笑みに変わった。
「それならよかったよ。はい、これ。君は初めて見るかな?この飲み物は。」
俺に渡されたそのスープは、毒々しい色をして、熱さなのか、魔法だか分からないが、泡が吹き出ている。確実に、飲んではいけないスープだと悟った。
「まぁ、そんな顔にもなるよね。この辺ではブラッドスープとか言ってたかな。見た目も名前も凄いけど、味は『シーズンタウン』のシェフも飲み干すくらい美味しいんだよ。」
俺は覚悟をきめて、そのスープを一口啜った。俺は目を光らせた。どうやら、俺はこのスープを好んでしまったらしい。スプーンがものすごい早さで動いていく。
「美味しそうに食べてくれて僕も嬉しいよ。」
結局全部飲んでしまった。お腹のあたりが温かく感じる。と、同時に、スクルドが言っていた『シーズンタウン』という言葉が脳に浮き出てきた。一体どんな場所なのか、聞くことにした。
すると、スクルドは…
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