異世界に転移しちゃったよ〜鬼の力で異世界無双〜

guju

五龍会

「では、こちらの板に手を乗せてください」

ようやっと始まった魔法適性試験。幼女職員の支持するように、俺は板の上に手を置いた。

「あれ? 」

職員が首を傾げた。

「どうかしたのか? 」
「いえ、本来ならこの板にデータが浮き出るはずなのですが……もう一度お願いします」

俺は1度手を離し、もう一度乗せる。
だが、何も起こらない。

「あっれ、おかしいなぁ……。魔力流してます? 」
「魔力を流す? 」
「はい、魔力を流さなければ測定は出来ないので……」
「分かった、やってみる」
「え? やってみる……」

身体から外へと何かを流す。
戦いの時のように、神経を研ぎ澄まし板にのせた右手へと。
リングで、相手を殴る時のように……全神経を、集めて……。


――ドクン……


突如、心臓が大きく脈を打った。
鼓動がどんどんと早く、大きくなる。

身体中が体内から熱くなり、身体から湯気がでる。


――ドクン、ドクン、ドクン、ドクン


ダメだ、意識が持たない……。

「我は……貴様だ」

意識が朦朧とする中、声が聞こえる。

「貴様は……我だ」

辛うじて立っていたシキだが、遂に膝から崩れ落ちた。

「思い出せ、天下無双のその力を」

ドクンと、また1つ大きな音が鳴る。
その音は空気を伝い、職員の耳にもしっかりと届いた。

「あ……た……だい……? 」

駆け寄ってきたギルド職員が何かを言っているが、上手く聞き取れない。

「うぅ……」

激しい頭痛に襲われる。シキは、それを声を殺し、歯を食いしばり耐える。

「お前は叡智、我は力」

………………。

「我は我のやり方を通す」

………………。

「いずれ、また逢おうぞ」

………………。

やがて頭痛は消えていき、朦朧としていた意識がハッキリとする。

「貴方、大丈夫!? 」

ゆっくりと目を開けると、そこには幼女職員が心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいた。

「あぁ……何とか」
「良かった……」

ほっとしたようで、幼女職員は深い溜息をついた。

「鬼か……」

俺は、呟く。

「何か言った? 」
「いや、何も」


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