異世界に転移しちゃったよ〜鬼の力で異世界無双〜

guju

五龍会

「うるせぇ! こっちは客なんだから店員は俺達の言うことを聞けばいいんだよ! 」
「はぁ……」

ようやく口にしたのがこれだ。
拳を強くにぎりしめ、歯を食いしばって顔を真っ赤にしていた彼らがどんな事を言うのかと思えば、程度の低い事であった。

「馬鹿かお前は」
「あ、あぁ? 」
「店も客を選ぶ権利があるんだ。支払いを済ませて、さっさと出ていけ」
「ふ、ふざけんなぁ! 」

空いた酒瓶を手に取り、力任せに振り下ろされる。

「こんなの、当たるわけねぇだろ」

顔をほんの僅か後ろにそらすと、ギリギリ当たらない距離を勢いよく酒瓶が通り過ぎる。
酒の入っている男の手元は緩く、手から離れた酒瓶が飛んで行き、壁にあたって大きな音を立てて割れた。

「最初に手を出されたのはお客様ですよ」

赤色のネクタイを少し緩めると、軽くステップを踏み右回りの回し蹴りを男の顔面に直撃させる。

「っ!? 」

あまりの衝撃に声すら出せずに気絶し、机に顔から倒れた。

「おい、そこの2人」
「「は、はい! 」
「さっさと金払って失せろ」
「わ、分かりました! 」

2人は、倒れている男の胸元から金が入った小袋を取り出し、自分の元々持っていたものと合わせて全部置いてその場から去ってしまった。

俺は、緩めたネクタイを元にもどし、近くにいた話しかけた。

「えっと……今回の代金は? 」
「は、はい。銀貨4枚と銅貨8枚です」

先程の小袋から色で判断した銀貨を4枚と銅貨を8枚男に渡す。

「これでいいか? 」
「えぇ、問題ありません」
「じゃあ、これは俺が自由に使わせてもらう」

残金を確認すれば、金色に輝くものが数十枚、銀貨銅貨が数枚入っていた。

「なぁ、ここにいる奴ら全員の会計はいくらほどだ? 」
「か、確認して参ります」

数分した時、先程の男が帰ってきた。

「全部で、金貨が2枚程ですね」
「そうか、ならばここから払おう」
「え!? いいのですか? 」
「あぁ、問題ない。そもそも、これはあいつらの金だしな」

笑いながら、先程他人から取ったものとはいえ大金を支払ってしまったシキに、スタッフの男は苦笑いをうかべるので精一杯だった。

「今言った通り今日の代金は俺が支払う。迷惑料と思って好きに飲んでくれ、金は沢山あるからな」

「「「「うぉぉぉぉお! 」」」」

その日、この店は大層盛り上がり、翌朝の早朝まで賑やかさは保たれていた。

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