異世界に転移しちゃったよ〜鬼の力で異世界無双〜

guju

五龍会

翌朝、眩しい明かりで目を覚ました俺は昨日の彼女との約束通り、仕事をするために裏口から回って店の前にやってきた。

「何故か読めるこの文字……不思議だよな」

''エンジェル''
看板には、そう記されていた。

外装は目立つ白で、所々桃色のバラが細工されている。
両開きの扉を開いて中に入ると、カランカランとベルの音が鳴り響いた。

店の中はきらびやかな様々な色の光と、シックでゴージャスな内装。
2つが重なり、目かまチカチカして頭が痛くなる。

「やぁ、起きたんだね。じゃあ早速手伝って貰おうかな」
「それはいいが、何をすればいい? 」
「とりあえず、この服を着て」

そう言って手渡されたのは、白のシャツに赤のネクタイ、黒いベストとズボンだ。

「まぁ、分かった」

そう言って俺はその場で着替え始める。今、店の中には彼女しか女は居ないので、別にいいかと判断した。
彼女なら、倒れていたのを助けた時に下着程度ならば見ているだろうと思ったからだ。

「へぇ、なかなかいい身体してるじゃない。これなら別の店の方が稼ぐかもねぇ、顔も言い訳だし」
「顔? なんか関係あんのか? 」
「あら、言ってなかったかしら? 私が、経営している店はキャバクラやホストなどの店よ」
「おい……聞いてないぞ」
「だってそれは、言えば嫌がるか……」

ということは、この格好なのだから恐らくキャバのボーイだろう。
妙に親近感があると思えば、そういう事だったかと納得する。

こっちの世界にもあるのか。名称が全く同じなのが少し……いや、かなりひっかかる。
もしかすれば、俺と同じような人間がこの世界にもいるのかも知れない。

今は新鮮で楽しいが、いつか帰りたくなる時も来るだろう。
いや、そもそも帰れるのか?

「おーい、聞いてる? 」
「あぁ、悪い。少し考え事をな」

まぁいいか、そんなふうに割り切ってしまう。

「で、俺はやるなんて言ってないぞ? 」
「貴方、助けて貰った恩を仇で返すつもり? あんな所で寝ていたら、憲兵に連れられて今頃は詰所の牢屋の中よ」
「まぁ、確かにそうなんだがな……。仕方ない、やるか」
「じゃあ、まずは店の掃除からよろしくね! 」

やれやれとため息をひとつつき、仕方が無いと掃除に取り掛かった。

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