STAR STONE STORY

エルフの秘薬

「では、そろそろ防衛についての話をしようかの。」

「そうだな。いつここが攻撃されてもおかしくないから急いだ方がいい。数日後ってのもあくまで予想なだけだし。」

「ふむ。まぁその心配はない。」

「お?なんでだ?」

「私の風魔法でこの森に侵入してきた場合感知できるようになっておる。風の具合で相手の特徴を把握し、エルフでないこともわかる。」

「すげぇ!!だから俺が入ってきたこともバレたのか!」

「まぁわしは天才だからの。」

「…お、おう」

『こんな自信過剰だったのか長老』とレインが思ったことは読者にのみ伝えておこう。

「かといってどういうやり方で相手が出てくるかまで把握してるわけではない。まずは森を出るまでの間は市民の避難が第一じゃ。森を出るまでは我々も護衛に回る。」

「私もそれがいいかと思います。いち早く彼らの脱出が先決ですね。」

「護衛として20人我々の中でも強いものから優先にそちらに当てる。うちの精鋭を渡す。市民は70人弱の元々少数種族。明日にはここを発つようにする。」

「残りのものは?」

「正直犠牲が1人も出ないとは思っとらんが、これも我々の、そして世界の未来のため。全力で戦ってもらう。森の中央に集め、侵入してきた箇所に全員で移動し、相手を殲滅する。」

「森の中は我々に分がありますからね。出来る限り弓矢で応戦を続け、接触を避けながら有利に戦う。元々侵入してきたものを排除するための訓練も受けてる。…やれるぞ!」

「俺一つ気になってたことあるんだけどいいか?」

「なんじゃ?」

「なんでエルフは他の種族との交友を避けるんだ?」

たしかに、今の話ではエルフが一方的に他種族を避けていると言われても仕方がない状況である。
しかしそうではない。そう言うかのようにサディアスは拳を握り、語り始めた。

「俺たちには古くから代々伝わる『秘薬』があるんだ。」

「飛躍?飛べるのか?」

「『秘薬』だ。薬だよバカ。」

「ふむ。この伝わる秘薬はまるで万能薬。あらゆる傷も、猛毒も、瀕死状態であれば治すことが可能な薬じゃ。」

「!?凄すぎじゃない!?」

「それゆえに他種族の何百倍も寿命があるなど言われておるのじゃろう。そんな薬があるとしれば数多のものが欲しがるのは当然のこと。」

「たしかになー。めっちゃいい薬だもん。」

「レイン。まぁこの話は君には少し酷かもしれないが、話しておくとしよう。」

そういうと長老はエルフの歴史と秘薬について語り始めた。

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