軌跡を奪われし村人は、復讐に身をゆだねない
プロローグ 【夢幻の幸せ】
最悪の喜劇をみた。まるで四十過ぎのおっさんが親のすねをかじり、ただ無為に時を過ごすのを垣間見てしまった様な後味の悪さだ。
正直リアが自分にあんな想いを抱いてくれているのは素直にうれしかった。
スウイとしては六歳の時に父と母に連れ立ってきた町で倒れていた人を、子供特有のわがままで両親に助けてほしいと頼んだだけだ。
飯も寝床も、居場所だって両親に任せただけでスウイは何もしていない。
しかし、それがリアの根幹に根付いているのをみて誇らしくなったしリアの幼さが残るしゃべり方の由来を聞いた時、彼女のいじらしさに心が震えた。
だがそれらはあくまでスウイに対して言っていたら、の話だ
リアはスウイがいないと困るらしい。
もうすでにいないのに。
スウイは死ぬべきじゃないらしい。
もうすでに死んだようなものなのに。
勘違いした二人ではなく、すべてを理解した当事者から言わせてもらえれば。
滑稽、この言葉以外ありえない
こんな茶番は生まれて初めて見た、失われた身体が鳥肌を立てているような気さえする。
しかし、スウイの思いとはよそに事態は進行する
アキトを通してみる視線。
その先に見覚えのある艶やかな金髪が映り込んだ。
村育ちのくせに透き通るような白い素肌、歳は十一だというのに女を感じさせるような、すらりとした美しい脚。その美貌は神に作りこまれたといっても信じてしまうほど精緻なつくり。
僕の最愛の幼馴染だ
「遅いから私のほうから来ちゃった!」
いたずら成功!とでもいいたげな得意げな顔でアキトを見ている
「あ・・・ああ、すまん ボルグの馬鹿がやらかしたせいで時間を忘れていた。」
少々どもったがこれくらいならセーフだろ、と内心ひそかに安堵するアキト
「ん?口調変えたの?なにかあった?」
「いやなにも。ただ、いつまでも一人称が僕とか男として情けないかなって」
「そう?私は好きだったんだけどな~ スウイが僕って言うの」
「ううぇええ!?いや、あーーーーっと・・・」
見事に手玉に取られるアキト
「プッ!あはははははは!」
アキトの醜態を大声で笑うリーシアにムッとした表情でアキトは言う
「ひっでえな 笑うことないだろ!こんなかわいい恋人に好きなんて言われたら誰だってああなるだろ!!」
「・・・っ・・・・、!?」
次に言葉に詰まったのはリーシアだ
「そんな顔赤くしてどうしたんだよ あっも、もしかして熱か!?でこだせ!でこ!」
アキトは急に頬を赤く染め、硬直するリーシアのおでこに自分のおでこを当てた
「ん――――?熱はなさそうだけど、いや、頬にすごい熱が!病院・・・はないから、薬師のばあさんのところに連れてかないと!!!」
おでこは熱を持たないが頬に尋常じゃなく熱をためるおそろしい奇病にアキトは急いでリーシアを運ぼうとする。
「待つのん、スウイ!」
「あ、しゃべり方戻すんだ…ってそんなこと言ってる場合じゃねえ!早くばあさんのところに連れてかねえと!!」
「だから待つのん!!スウイ!!!」
「「だぁ!!なんだよ!!!リーシアが死んじまうかもしれねえんだぞ!!!」
度重なる呼びかけに怒気をあらわにするアキト
対するリアは何時も通り・・・いや、耳をパタパタ、しっぽをフリフリ。
この動きはリアが興奮しているときに生じるもの
例えるなら、リバーシの角をすべて自駒で埋め尽くした時や将棋で飛車、角、全て取り去った最終局面など獲物を追い詰め、最後はどう料理するかを考えてる時の動きだ。
「リーの病、それは病にあって病にあらずん!!」
「待って!リア、いわないでーー!!」
先の展開が読めたリーシアはリアに懇願する
リアは舌なめずりを一つ、答えを告げる
「恋の病なのん!!!!!」
「恋の・・・病?」
「なのん!」
「あぁぁぁ、いわないでっていったのに、--!」
頭に疑問符が咲き乱れるアキト
元気いっぱいに頷くリアに、赤面し手をあたふたと動かすリーシア
「つまり・・・なんだ・・・ようするにリーシア、お前照れてんのか」
「/////////////////////////」
真っ赤に染まった顔が答えだった
正直、先の仕返しに爆笑してやろうと思ったができなかった。
可愛すぎる。この生き物相手に口元を緩めたらニヨニヨ笑いしかできないだろう
正直リアが自分にあんな想いを抱いてくれているのは素直にうれしかった。
スウイとしては六歳の時に父と母に連れ立ってきた町で倒れていた人を、子供特有のわがままで両親に助けてほしいと頼んだだけだ。
飯も寝床も、居場所だって両親に任せただけでスウイは何もしていない。
しかし、それがリアの根幹に根付いているのをみて誇らしくなったしリアの幼さが残るしゃべり方の由来を聞いた時、彼女のいじらしさに心が震えた。
だがそれらはあくまでスウイに対して言っていたら、の話だ
リアはスウイがいないと困るらしい。
もうすでにいないのに。
スウイは死ぬべきじゃないらしい。
もうすでに死んだようなものなのに。
勘違いした二人ではなく、すべてを理解した当事者から言わせてもらえれば。
滑稽、この言葉以外ありえない
こんな茶番は生まれて初めて見た、失われた身体が鳥肌を立てているような気さえする。
しかし、スウイの思いとはよそに事態は進行する
アキトを通してみる視線。
その先に見覚えのある艶やかな金髪が映り込んだ。
村育ちのくせに透き通るような白い素肌、歳は十一だというのに女を感じさせるような、すらりとした美しい脚。その美貌は神に作りこまれたといっても信じてしまうほど精緻なつくり。
僕の最愛の幼馴染だ
「遅いから私のほうから来ちゃった!」
いたずら成功!とでもいいたげな得意げな顔でアキトを見ている
「あ・・・ああ、すまん ボルグの馬鹿がやらかしたせいで時間を忘れていた。」
少々どもったがこれくらいならセーフだろ、と内心ひそかに安堵するアキト
「ん?口調変えたの?なにかあった?」
「いやなにも。ただ、いつまでも一人称が僕とか男として情けないかなって」
「そう?私は好きだったんだけどな~ スウイが僕って言うの」
「ううぇええ!?いや、あーーーーっと・・・」
見事に手玉に取られるアキト
「プッ!あはははははは!」
アキトの醜態を大声で笑うリーシアにムッとした表情でアキトは言う
「ひっでえな 笑うことないだろ!こんなかわいい恋人に好きなんて言われたら誰だってああなるだろ!!」
「・・・っ・・・・、!?」
次に言葉に詰まったのはリーシアだ
「そんな顔赤くしてどうしたんだよ あっも、もしかして熱か!?でこだせ!でこ!」
アキトは急に頬を赤く染め、硬直するリーシアのおでこに自分のおでこを当てた
「ん――――?熱はなさそうだけど、いや、頬にすごい熱が!病院・・・はないから、薬師のばあさんのところに連れてかないと!!!」
おでこは熱を持たないが頬に尋常じゃなく熱をためるおそろしい奇病にアキトは急いでリーシアを運ぼうとする。
「待つのん、スウイ!」
「あ、しゃべり方戻すんだ…ってそんなこと言ってる場合じゃねえ!早くばあさんのところに連れてかねえと!!」
「だから待つのん!!スウイ!!!」
「「だぁ!!なんだよ!!!リーシアが死んじまうかもしれねえんだぞ!!!」
度重なる呼びかけに怒気をあらわにするアキト
対するリアは何時も通り・・・いや、耳をパタパタ、しっぽをフリフリ。
この動きはリアが興奮しているときに生じるもの
例えるなら、リバーシの角をすべて自駒で埋め尽くした時や将棋で飛車、角、全て取り去った最終局面など獲物を追い詰め、最後はどう料理するかを考えてる時の動きだ。
「リーの病、それは病にあって病にあらずん!!」
「待って!リア、いわないでーー!!」
先の展開が読めたリーシアはリアに懇願する
リアは舌なめずりを一つ、答えを告げる
「恋の病なのん!!!!!」
「恋の・・・病?」
「なのん!」
「あぁぁぁ、いわないでっていったのに、--!」
頭に疑問符が咲き乱れるアキト
元気いっぱいに頷くリアに、赤面し手をあたふたと動かすリーシア
「つまり・・・なんだ・・・ようするにリーシア、お前照れてんのか」
「/////////////////////////」
真っ赤に染まった顔が答えだった
正直、先の仕返しに爆笑してやろうと思ったができなかった。
可愛すぎる。この生き物相手に口元を緩めたらニヨニヨ笑いしかできないだろう
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