冴えないワタルは異世界勇者より勇者らしい。
第16話:闇夜に輝く紅い宝玉 前篇
階段を上っていき扉の中へ入って行くと中は薄暗く、長い机が見えるくらいだった。奥には件の侯爵が座って待っていた。彼はいたって冷静な面持ちでこちらを見ているが僕たちからすれば異様でとてつもないオーラを放っているように感じた。
「かけたまえ。 アエナ・マクスウェル。」
「侯爵、なぜ、私の名前を?」
「君とて、私の名前を知っているだろう? それを不思議に思うものはいるまい?」
「どうやって知ったのかって聞いてるのよ!」
アエナは侯爵の方へと向かって行ったが途中でなぜか苦しみ出し途中で踏みとどまった
「私とて、君のような美しく気丈な女を気づつけたくはない。ぜひ、座って私とのディナーを楽しんでもらいたいものだ。その辺にいる有象無象どもも今日だけは見逃してやるがどうだ?」
「あんたの女の趣味は悪くないけどキザなのはいけすかないわね。私は嫌いよ。」
「あなたが何者なのか、魔王である限りその特性の謎を解いて倒さなければ前には進めない!」
「ていう事だから、私もこんなところでゆっくりあなたとお茶してる場合じゃないの。悪いけど邪魔するなら戦うしかないわ。」
「血の気の多い野蛮人が・・・」
するととたんに突風に見舞われ、机ごとアエナ達は一気に階段下まで吹っ飛ばされてしまった。ベテルク卿は怒りをも表わさずただ厳格にこちらへと向かった。その時大広間の全ての灯りが消えていてよくわからなかったがベテルク卿は足を使わずに宙に浮いて動いてるようだった。
「戦うというのか、この私に・・・。私は戦いたくないのだよ。そういうのは嫌いでね、だがどうも君たち人間は戦いたいらしい。これはどの時代も一緒だな。」
「まるで昔からいてその歴史を見てきたような口ぶりね。」
「君に似た美しく気高き勇者も私には振り向かず、同じように私を拒んだ。受けてきたこの侮辱、今ここで返させてもらう。」
そういうとベテルクはとたんに消えたかと思うとワタルの方に現れてワタルを吹き飛ばした。また消えて今度はエル・シドのところに現れて腹に一発決められた。また消えては現れ、アエナにも裏拳を繰り出してそこからは三人を翻弄するように消えては現れ、彼らをいたぶり続けた。
「野蛮な割には弱いな。 私の言葉を受け入れていればいいものを・・・」
「まだよ。私の必殺剣が残ってる。」
「アエナ、それを使うと体力が!」
「いや、これを使わないとっ! この人は倒せない。 剣に宿る魔族たちよ、力を貸して!」
剣の力を借りてアエナの速度が上がりベテルクとは互角に渡り合っているようだった。だがベテルクの表情は余裕だった。彼はアエナの剣をかわしてアエナの背後をついた。そしてアエナの龍神の剣をと共に右手をつかんで
「近くでみると本当に美しい。狂おしいほどに。 君を倒して傷つけるのが惜しいくらいにはね!」
「放しなさいよ! このスケベおやじ!」
掴んでいた右手を放り投げてワタルのもとへと向かっていった。しかしすんでの所でエル・シドがサラマンダーで彼の右腕を拘束した。
「でもやっぱり、いい男を拘束するのはゾクゾクするわね♪」
「っく・・・ふざけるな!」
エル・シドが今度は拘束を外してベテルクを放してけん制した。そしてサラマンダーの炎が猛威を振るった。それにはさすがに耐えられず、少し弱体化した。
「あら、どうしたの? もしかしてこういうの好き?」
「うるさいっ! 気持ちが悪い。」
「もしかしたら、火が苦手なのかもしれない。 そのまま攻めてください。エル・シドさん」
「分かったわ、ワタちゃん。攻めるのは得意よ♂」
炎をまとうサラマンダーは勢いを増して猛攻を繰り返す。しかし体力の消耗が激しく、攻撃の手を止めるとそこにもうベテルクはいなかった。どこに消えたのか分からず辺りを見渡しているとワタルの元へと向かっていて彼の首をつかんでいた。
「君が一番面倒なんだよ。マ・ゾール直属だった裏切り者め!」
「待て、“ベ・デル”」
そこにはようやく現れたウガルが何かを持って駆け付けた。それは暗くなった大広間でも赤く輝く宝玉のついた首飾りであった。ウガルは自分自身の首にその首飾りをかけてベテルクに突進する。
「ウガルさん、べ・デルってベテルク卿の事なんですか?」
「そういうこった。 奴はバンパイア族の魔王だ。 それをやるには太陽のエネルギーと似た波長を出すこの『緋灼の首飾り』が弱点だ。」
「う、うわああああああああああっ!」
ベテルク=ベ・デルは首飾りの影響か弱体化しているようだった。ウガルとワタルは倒れているアエナをかばいながら
「おい、オカマ! そこでボーっとしてるんやったらそこの姉ちゃん連れて回復させとけ!」
「すいません、とりあえず僕たちで何とかしますんでお願いします!」
「オカマじゃないわよ! 心が乙女ならだれでも女なのよ! ・・・もう、とにかく分かったわ。」
ウガルは首飾りを付けてベテルクを弱らせ、相手を叩きのめす。 ワタルも賢者の聖剣で彼の体力を奪っていく。しかしながらベテルク卿は強情にもしぶとく息が残っていた。それは虫の息だった。もう少しで終わるはずだった。彼のしぶとさは生きていることにとどまらず、能力もしかりであった。
「ここまで私をコケにしたのは何時ぶりだろうか。そんなことはどうでもいい! 私の怒り、そして屈辱の念が私自身の能力を引き出す! ハァァ…… <怨念態>!!」
彼の呪文と共に彼自身の体は先程より大きくなり蝙蝠のような、先程の美麗な人間態とは裏腹に、醜悪な体と顔立ちをしていた。ここまで強大な魔王を目にしてこなかったワタル達はただ茫然としていた。
「グギャギャギャギャ! こうなれば誰も俺を止められん! その宝玉でさえも無意味だ!」
ワタル達の前に現れた前人未到の強大な魔王「ベ・デル<怨念態>」 果たして彼らは世界を救うことができるのだろうか
「かけたまえ。 アエナ・マクスウェル。」
「侯爵、なぜ、私の名前を?」
「君とて、私の名前を知っているだろう? それを不思議に思うものはいるまい?」
「どうやって知ったのかって聞いてるのよ!」
アエナは侯爵の方へと向かって行ったが途中でなぜか苦しみ出し途中で踏みとどまった
「私とて、君のような美しく気丈な女を気づつけたくはない。ぜひ、座って私とのディナーを楽しんでもらいたいものだ。その辺にいる有象無象どもも今日だけは見逃してやるがどうだ?」
「あんたの女の趣味は悪くないけどキザなのはいけすかないわね。私は嫌いよ。」
「あなたが何者なのか、魔王である限りその特性の謎を解いて倒さなければ前には進めない!」
「ていう事だから、私もこんなところでゆっくりあなたとお茶してる場合じゃないの。悪いけど邪魔するなら戦うしかないわ。」
「血の気の多い野蛮人が・・・」
するととたんに突風に見舞われ、机ごとアエナ達は一気に階段下まで吹っ飛ばされてしまった。ベテルク卿は怒りをも表わさずただ厳格にこちらへと向かった。その時大広間の全ての灯りが消えていてよくわからなかったがベテルク卿は足を使わずに宙に浮いて動いてるようだった。
「戦うというのか、この私に・・・。私は戦いたくないのだよ。そういうのは嫌いでね、だがどうも君たち人間は戦いたいらしい。これはどの時代も一緒だな。」
「まるで昔からいてその歴史を見てきたような口ぶりね。」
「君に似た美しく気高き勇者も私には振り向かず、同じように私を拒んだ。受けてきたこの侮辱、今ここで返させてもらう。」
そういうとベテルクはとたんに消えたかと思うとワタルの方に現れてワタルを吹き飛ばした。また消えて今度はエル・シドのところに現れて腹に一発決められた。また消えては現れ、アエナにも裏拳を繰り出してそこからは三人を翻弄するように消えては現れ、彼らをいたぶり続けた。
「野蛮な割には弱いな。 私の言葉を受け入れていればいいものを・・・」
「まだよ。私の必殺剣が残ってる。」
「アエナ、それを使うと体力が!」
「いや、これを使わないとっ! この人は倒せない。 剣に宿る魔族たちよ、力を貸して!」
剣の力を借りてアエナの速度が上がりベテルクとは互角に渡り合っているようだった。だがベテルクの表情は余裕だった。彼はアエナの剣をかわしてアエナの背後をついた。そしてアエナの龍神の剣をと共に右手をつかんで
「近くでみると本当に美しい。狂おしいほどに。 君を倒して傷つけるのが惜しいくらいにはね!」
「放しなさいよ! このスケベおやじ!」
掴んでいた右手を放り投げてワタルのもとへと向かっていった。しかしすんでの所でエル・シドがサラマンダーで彼の右腕を拘束した。
「でもやっぱり、いい男を拘束するのはゾクゾクするわね♪」
「っく・・・ふざけるな!」
エル・シドが今度は拘束を外してベテルクを放してけん制した。そしてサラマンダーの炎が猛威を振るった。それにはさすがに耐えられず、少し弱体化した。
「あら、どうしたの? もしかしてこういうの好き?」
「うるさいっ! 気持ちが悪い。」
「もしかしたら、火が苦手なのかもしれない。 そのまま攻めてください。エル・シドさん」
「分かったわ、ワタちゃん。攻めるのは得意よ♂」
炎をまとうサラマンダーは勢いを増して猛攻を繰り返す。しかし体力の消耗が激しく、攻撃の手を止めるとそこにもうベテルクはいなかった。どこに消えたのか分からず辺りを見渡しているとワタルの元へと向かっていて彼の首をつかんでいた。
「君が一番面倒なんだよ。マ・ゾール直属だった裏切り者め!」
「待て、“ベ・デル”」
そこにはようやく現れたウガルが何かを持って駆け付けた。それは暗くなった大広間でも赤く輝く宝玉のついた首飾りであった。ウガルは自分自身の首にその首飾りをかけてベテルクに突進する。
「ウガルさん、べ・デルってベテルク卿の事なんですか?」
「そういうこった。 奴はバンパイア族の魔王だ。 それをやるには太陽のエネルギーと似た波長を出すこの『緋灼の首飾り』が弱点だ。」
「う、うわああああああああああっ!」
ベテルク=ベ・デルは首飾りの影響か弱体化しているようだった。ウガルとワタルは倒れているアエナをかばいながら
「おい、オカマ! そこでボーっとしてるんやったらそこの姉ちゃん連れて回復させとけ!」
「すいません、とりあえず僕たちで何とかしますんでお願いします!」
「オカマじゃないわよ! 心が乙女ならだれでも女なのよ! ・・・もう、とにかく分かったわ。」
ウガルは首飾りを付けてベテルクを弱らせ、相手を叩きのめす。 ワタルも賢者の聖剣で彼の体力を奪っていく。しかしながらベテルク卿は強情にもしぶとく息が残っていた。それは虫の息だった。もう少しで終わるはずだった。彼のしぶとさは生きていることにとどまらず、能力もしかりであった。
「ここまで私をコケにしたのは何時ぶりだろうか。そんなことはどうでもいい! 私の怒り、そして屈辱の念が私自身の能力を引き出す! ハァァ…… <怨念態>!!」
彼の呪文と共に彼自身の体は先程より大きくなり蝙蝠のような、先程の美麗な人間態とは裏腹に、醜悪な体と顔立ちをしていた。ここまで強大な魔王を目にしてこなかったワタル達はただ茫然としていた。
「グギャギャギャギャ! こうなれば誰も俺を止められん! その宝玉でさえも無意味だ!」
ワタル達の前に現れた前人未到の強大な魔王「ベ・デル<怨念態>」 果たして彼らは世界を救うことができるのだろうか
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