転生したら天使でした。

大橋 祐

 店の外に出てみると看板の文字の意味がわかった。
 しかし、

「なんか気持ち悪い」

 そう、文字そのものは見たことないのに何故か読めてしまう。
 感覚で言うと、並べてある幾何学な図形を見て正確にその意味まで理解してしまうなんとも不思議で気味の悪い感覚だった。

「さて、次はどこに……ラファエルッ!?」

 人混みの中から出てきた綺麗で細長い腕に掴まれ俺は路地裏へと引き込まれた。

「すみません」

 ラファエルは頭を下げた。

「え、いや……。俺は大丈夫だったから」

「いえ、まだ飛べないのを解っていたはずなのに、わたしが悪かったんですまた見捨てたりしたらあの子に……」

「いや、俺の方こそ勝手に動いたりしてごめん」

 何か自分の世界に入り込んだラファエルを引き返すように俺も頭を下げた。

「え、でも「よっしゃ、仲直りだ。あー、お腹減ったなー」 

 ラファエルの声を遮り、わざとらしく台詞を吐き路地裏から出て行こうとする俺を天使な彼女は引き止めた。

「おっと、どうした?」

「い、いやなんでも」

 俺の袖を引っ張ってたのが無意識だったのかびっくりした顔をして手を離す。

「そうだ、渡したいモノがある。一旦、家に帰らないか?」

 様子のおかしくなったラファエルが少し心配になった俺は家に帰る事を提案した。

* * *

 十数分前のラファエル……。

「流石に初日に翼を広げてボクに追いつくなんて無理だよな」

 ふよふよ空を浮き、シッシッシと笑い優雅に彼女は飛んでいた。

「全く、リグレスも面倒そうなヤツをコイツに送りつけたようだな……。コイツもコイツで手一杯だってのによ」

「……アイツが支えになってくれるのか?」

 少女は天に問いかけるように仰向けで飛んでいた。

* * *

 家に着くなり俺は渡そうと思っていたソレをラファエルに渡した。
 
「これは……」

「いやぁ、初日に慰めてくれたじゃん。まだ吹っ切りきれてないけどそれのお礼」

 俺が渡したの薄ピンクのヘアピンだった。
 武器屋のオッチャン曰く、何かしらの魔道具らしいのだが効果は教えてくれなかった。でも、デメリットではないらしい。

「でも、そんな大したことじゃないし。それに元はと言えばコッチの責任だし」

「でも。あの時の俺にとっては本当心の支えになったんだよ。だってあんな心の傷、一日で治るわけないだろ? そして君の名前を聞いてピンときた。『癒して』くれたんだろ。なら、その程度じゃまだ足りないんだよ。俺の中ではな」

「…………わかった。ありがとね。天音君」

 その時のラファエルの顔は忘れない。

 本当に天使のような笑顔をしていたのだから。

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