転生したら天使でした。

大橋 祐

百聞は一見にしかず

「というわけで、お出かけしない?」

「お出かけ?」

 ラファエルがニコニコしながら言ってきた。
 もしやこれはデートのお誘いなのでは?

「そうだよ! いろんな知識とか身につけて欲しいからね。まずは図書館だ」

「わかった」

 天使達の図書館。
 もう字面だけで賢そうな雰囲気を醸し出している。
 気のせいかもしれないけど。

 家を出るとそこには意外にも舗装された道と少し先の方からは賑やかな声が聞こえてきた。

「道、あるんだ」

「小さな子供は飛べないからね。じゃあ行くよ」

 ラファエルはそういうと閉まってあった天使の翼を広げ、急加速して飛んでいってしまった。

「…………。あれ? え、ちょ!」

 ラファエルはもう見えなくなっていた。

「と、飛ぶか」

 俺も思い切って翼を広げるイメージをした。

「うん。まあそうだよね。元々飛んだことない奴の身体に翼なんて生えてくるわけないよね」

 さて、どうするか……。
 家に帰るのはなんかよくわからない魔法を使っいたので入れないし、かといってここで待つのも退屈だ。

「賑やかなところ行くか」

 そう考えた俺は商店街へと歩いていった。

 商店街……というには少し違和感があり石造りであろう建物が大通りの方を向くように建ち並んでいた。

「そんなぎゅうぎゅうじゃないんだな」

 建物と建物の間は割と広く路地が入り組んでいそうだった。

「買い物する…………文字読めない」

 ここでまさかの事態。
 文字が読めない。
 
 おい。
 異世界転生モノならそこはどうにかするつもりだろう。
 なんだ俺の不幸力で付与し忘れたのか? どっちにしろ俺が大ピンチなのは変わりなかった。

「と、とりあえず、どっか入るか……あんま人いなさそうなところ。あった!」

 ショーウィンドウ越しでもわかる圧倒的過疎感の店を見つけ、俺は店の中に入っていった。

「らっしゃい。坊主」

 店の一番奥のカウンターに立っていた堀の深い顔に厳つい身体をしたオッチャンに絡まれた。いや接客か……。
 一瞬、物凄く怖かったが見た目とは裏腹に優しい目をしていたのでホッとした。

「見慣れない顔だな。なんか欲しいモンでもあるのか?」

「い、いや……」

 どうしよ。文字読めなくてビビったなんて言えないし……、てかよく考えたら文字読めないのビビって店の中入る必要なかったんじゃ、やめろ天音冷静になるな考えちゃだめだ。

「あの、ここってなんの店なんですか?」

「ん? 見てわかるだろ?」

 店内を見渡すと剣や盾、斧、防具らしき服もある。

「武器屋?」

「はっはっは! 惜しいぞ坊主! オレの店は何でも屋だ。あー、なんでもやるわけじゃなくなんでも取り揃えてある店だ。要望を言えば用意してやるぞ」

「そうですか……、文字の読み書きが出来るようになる道具とかってないですかね?」

「ふむ、ないことはないが一般的な翻訳指輪になるぞ?」

「翻訳指輪? それって読み書き出来るようになるんですか?」

「翻訳指輪をしらねぇのか? いや、まあその辺は今はいいや。そうだなコイツにはとある魔法の魔法陣が刻印されていてな。
 なんだと思う?」

 なんかいきなり問題だされたんだけど。
 魔法、言葉ではよく聞くけど実際に使われてるモノを見るのは初めてだ。
 まあ、勿論まだ使ってないので本当かは知らんが。
 というより問題から考え切れるほど俺の頭は冴えてないかなり難しいぞこれは。

「わかりません」

 やっぱりわからないので俺は正直に言った。

「はっはっは! 正直だな坊主。残留思念の読み取りだよコイツに細工された魔法は。まあ、つまりだな。コイツをつけていると書かれた文字に対して書いた本人の考えをそのまま脳内に叩き込む。ちなみに印刷物でも曖昧ではあるが原本の思念まで読み取ることが出来る」

「ええと、つまりは読みに特化した翻訳機ですか?」

「はっはっは! おもしれぇな、坊主! “機”といったなコイツを“カラクリ”と同じ扱いにしたな! おもしれぇ感性だ。気に入った。ほれやるよ」

 何にツボったのかは知らないがオッチャンはひとしきり笑ったあと俺に指輪を乱暴に投げてきた。

「代はいらねぇ。うん? どうした坊主」

 俺はいま大分おこがましい事を思いついてしまった。
 だが、元人間としてしっかり礼はしたい。

 俺はオッチャンに新たな要望を言った。


 ああああああああ!
 出したいキャラだせなかっだぁぁぁぁぁぁ!!!

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