諸刃の剣

郁乃

第一話 -対セノヴィア戦闘隊HS-

全員が重傷で帰還した。

中傷以内に収まって帰還した者は、今日も今までも、1人も存在しない。
なにがあっても1日で再成できる体なら問題は無いだろう、という人間の考えだ。
これで人間が無傷で済む。
これくらいの犠牲はなんてことない。
そんな薄っぺらいモノで国は廻っている。
不死身のヒトガタの生命__HS<ヒューマンソード>に与えられた運命はその1つだけであった。

「この国は、セノヴィアの世界と繋がるゲートが頻繁に開かれる。でもそのゲートが開いてしまったら危ないの。ゲートから出たセノヴィアの奴らが何故か人間を殺しに来るからね。それで死んだ人間の体を自分たちの世界に回収して帰還する。私たちHSは人間って認められてないし、実際人間じゃないようなもの。何されたって死なないし、怪我したら再生出来る。だから、と言ったら悔しいけど、人間を守る為にセノヴィアの奴らを全滅させるのが私たちの仕事よ。まあ、残念なことにHSは人間に従うほかないわ。何かわからないことがあったら聞いてね。違う班だけど、出来ることなら助けになるわ」
リーフは、止まることなくスラスラと新人隊員のリフィルに説明をこなした。
この世界で不死身の体を持つものが見つかれば、なんの拒否権もなくこの国〈レスティ共和国〉の対セノヴィア戦闘隊HSに入隊させられてしまう。
「はい、色々とありがとうございます。」
「リフィルはどこの国から来たの?」
「実はサビースから......」
サビース。
この世界で最も平和かつ安全とされた国だ。
サビースからレスティ共和国まで堕ちた、という事実は、人間で言う死に等しい。
何を言おうと、レスティ共和国という国は、この世界で最も危険な国とされているのだから。

「諸刃の剣」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「戦記」の人気作品

コメント

コメントを書く