転生鍛冶師は剣を打つ

夜月空羽

第二十話 ジャンヌVSリリス

日本と違ってこの世界で風呂に入れるのは貴族や王族といった身分のある人達のみ。平民は桶にお湯を入れてそれで身体を拭う程度で終わらせてしまう。
だから基本的に平民が風呂に入る事はない。しかし、この学院では話が変わる。
この学院は実力主義を信条にしている為、順位に応じた待遇措置が施されている為に俺達が寝泊まりしている部屋には浴室もしっかり完備されている。
その浴室で今、リリスとジャンヌとの戦いの幕が開かれる。
最初の勝負はどちらが俺の背中を上手に流せれるか。
既にスタンバイしている俺の後ろには二人の美女美少女の全裸が存在するも既に目隠しをされている俺には二人の裸体を拝めることができない。
けど、そんなことは些細な事! 男の夢である美女美女美少女に背中を流して貰えるというロマンの前にはそんな小さいことは気にしない!
「ではルールを説明します。私とジャンヌ様が一人ずつご主人様の背中を流します。背中を流す方法は自由。どのようなやり方でもご主人様がいいと思われた方が勝ちです。あ、ちなみにご主人様には耳栓をして頂きますね」
説明と同時に俺は耳栓をされて音を遮断された。これによって視覚と聴覚が封じられた。
これでどちらが先にするか俺にはわからない。
触れられた感触のみで判断するしかない。
なるほど。流石はリリスだ。これなら公平にジャッジするしかなくなる。
しかし一つ疑問が残る。
一応は俺を誘惑できるかどうかの勝負なのに視覚も聴覚も封じてどうやって誘惑するんだ?
背中を流して貰うこと自体は確かに俺にとってはご褒美ではあるもこれでは単なる奉仕。誘惑するにしてはちょっと―――――ッ
そんな疑問を抱いていた俺の背中に衝撃が訪れた。
やわらかく、弾力のある何かが俺の背中にひっついて、否! ひっつきながら動いている!!
こ、これはまさか――――おっぱい!!
おっぱいで背中を流しているのか!?
エロ同人誌のように身体を密着させてたわわに育ったおっぱいをスポンジ代わりに背中を洗うという童貞には夢でしかなかったシチュエーションを俺は今、現在進行形で堪能しているというのか!?
背中から感じる確かな弾力性、柔らかさ。そして大きいおっぱいだから持つ重量感。
それが俺の背中を好き放題に暴れている。
こんなこと初心なジャンヌにはできない。なら、このおっぱいの正体はリリスだな。
リリスめ。さっそく自分の武器おっぱいを使ってくるとは流石は魔王の娘。誘惑もお手の物か。確かにこれなら童貞の俺には効果絶大。
むしろ俺の愚息がその本領を発揮しようとすることに抑える方が大変だ。
おまけに目隠しと耳栓もしているから妄想が加速してしまう!
まさかリリス! お前はここまで計算して………………ッ!! だとしたらなんて恐ろしくも頼もしい俺の召喚魔なんだ! これからも長い付き合いをしなければ!
溢れんばかりの獣性を必死に押さえながらおっぱいは俺の背中から離れた。
そして次もまたおっぱいではなく今度は普通にスポンジのようだ。でも、手慣れているかのように凄く丁寧でこれはこれで気持ちがいい。流石に童貞の俺にはおっぱいは刺激が強過ぎる。
さっきのがリリスだとしたらこれはジャンヌだな。丁寧に背中を洗ってくれるのもよかったけど流石にリリスの方がよかったな。おっぱいに勝るものなしってね。
勝者を決めると耳栓が取られた。
「さて。ではご主人様。どちらが気持ちよかったでしょうか?」
「…………後のもよかったけど、どちらかと言えば最初の方だな」
「では最初の勝負はジャンヌ様の勝ちですね」
「え?」
リリスの意外な言葉に唖然とする。
うそ、もしかしてリリスだと思っていたあのおっぱいはまさか………………………。
意外にも意外。まさか初心のジャンヌが…………確かにジャンヌもリリスに負けずに立派なおっぱいをしているのは知っているが、まさかそこまでして身体を張るとは。
「今のジャンヌ様。すごく可愛い顔をしておりますよ? 食べちゃいたいくらいに」
リリスがもったいぶるかのようにそんなことを言ってくる。
くっ、この目隠しを外して見てみたい! いや見る!
「あ、もし目隠しを外されたら殺されますので外さない方が良いですよ?」
うん、やっぱりそれはよくないよな。
こうして最初の勝負はジャンヌが勝った。


「では次の勝負は一言も喋らずにご主人様を誘惑する勝負です」
風呂から出て目隠しも外された俺は今度は居間で二回戦目が始まる。
「喋らないで誘惑…………………?」
「はい。一言でも声を出してしまったらその時点で負けです」
説明するリリス凄く楽しそう。いや楽しんでいるのだろう。リリスって俺と同じサドの匂いがするし、反応がいいジャンヌはいい玩具なんだろうな。
しかし喋らないで誘惑ってどうやるんだ? ハグとかその場で生着替えとかか?
リリスなら確かにそれぐらいはしそうだけどどうなんだろう?
「ではまずは私から」
そうこう考えている内に勝負が始まった。リリスは一度台所に行ってバナナに似た果物を持ってきて皮を剥いて食べようと舌を出すと思いきやその果物を舐め始める。
舌を出して舐め回したり、噛まずに口に咥えているだけなのにリリスの艶のある笑みと雰囲気が俺を前屈みにさせてしまう。
くっ、どうしてお前はそんなに男の本能を揺さぶるのが上手いんだ、リリス!
「あわわ、はわわわわ…………きゅう」
「ジャンヌ!?」
「あらあら、ジャンヌ様には少々刺激が強過ぎたようですね」
リリスのエロスに当てられたジャンヌは意識を手放して気を失ってしまった。
いや、今のだけじゃなく風呂場のことでもう限界だったんだろう。そこであれを見せられたら初心なジャンヌの心が限界を超えて気絶するのも無理はない。
むしろよく頑張った。うん、お前のおっぱいの感触は生涯忘れることは無い。
「一勝一敗で引き分けですね。残念ですが勝負はここまでとしましょう」
爽やかな笑みで告げるリリスの表情は満ち足りていた。
もう十分にジャンヌで遊べて満足したんだろう。
「リリス。お前すごくエロい」
「お嫌でしたか?」
「エロい女を嫌う男などいない。俺はむしろ好きだ」
「そういう素直なところ私は好きですよ」
「またお願いします」
「お任せください」
俺が召喚できた召喚魔がリリスでよかった。これからもエロ方面でジャンヌを弄ってください。
ジャンヌをベッドに寝かせて俺は尋ねてみた。
「そういえばリリス的にはどうなんだ? 俺を魔族領に連れて行こうとは思わないのか?」
「どの道ご主人様は魔族領に連れて参りますから篭絡するならその時にします」
あー、そういえばそうだったな。
俺、一度は魔王と会わないと行けなかったっけ? すっかり忘れていた。
確かに誘惑も篭絡もこの国ではなく自分の国でした方が都合もいいよな。だったらこの勝負、初めからしてもしなくても俺は魔族領に行くことは確定していたわけだ。
ジャンヌ。お前は最後の最後までリリスに踊ろされていたみたいだぞ?
「その時は私無しでは生きられない身体にしてあげますから覚悟してくださいね?」
自分の胸を持ち上げて色っぽく言ってくるリリスに俺は本当にリリス無しでは生きられない身体にされそうだ。
「ああ、肝に免じてん?」
裾を引っ張られたと思ったらジャンヌが意識を失ったまま俺の裾を掴んでいた。
「……………行っちゃ、いや…………………そばに、いて……………………」
寂しがり屋の子供のようにそう寝言を呟くジャンヌに俺はジャンヌの手を握る。
「ああ、傍にいるから安心して寝ろ」
俺がそう言うと安心したかのように寝息を立てる。
「ふふ、可愛らしいですね」
リリスが娘を見る母親のような慈愛に満ちた目で微笑みながらジャンヌの頭を撫でる。
「では私はジャンヌ様と眠りますので」
「ああ、お休み」
ジャンヌと添い寝するリリス。俺は二人から離れて自分のベッドに向かうも風呂場でのジャンヌの感触とさっきのリリスを見てムラムラして眠れず、青春の猛りを発散してから眠りについた。



その翌日。事件が起きた。
「魔剣がない!!」
昨日打ったばかりの魔剣ドラゴニック・ソードが消えていた。

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