東方消想録

如月大河

心が読めるということ

「・・・・・・地底って思っていたより色々あるな。」
俺は魔理沙たちに連れられて地底と呼ばれる場所に来た。この先にさとりさんの居る地霊殿があるらしい。俺は地底を人が居ない、荒れ果てた場所だと思っていた。だが、地底はそれとは正反対だった。人ではないが妖怪には歩いていたらかなりの数出会った。街並みも少し古いが、思っていたより賑わっている。人里ほどではないが。
「んー。昔はもっと多くの妖怪が居たけど、今もまだそこそこ居るね。久し振りに来たからなー。」
「・・・・・・なぁ。早く行こうぜ。」
魔理沙が急かす。・・・・・・ん?何か怯えてる?
「魔理沙さん?何でそんなに怯えてるのですか?」
「お、怯えてねえよ!と、とにかく早く行こうぜ!」
うわぁ。ここまで動揺するの?分かりやすいなぁ。にしてもここまで怯えるのは異常だな。何があった。
「・・・・・・あ。そ、そうだね。早く行こうか。」
大河が何か察してしまった様だ。って待て。何で大河まで動揺した?
「おう。魔理沙じゃないか。久し振りだな。」
「・・・・・・。」「・・・・・・。」
ちょ、二人とも青ざめて止まった。
「お、おーい。大丈夫k」
「もうだめだ。お仕舞いだぁ。」
えっ。え?
「逃げるんだぁ。」
「ちょ、本当に大丈夫か!?」
「ん?そういやお前、誰だ?」
「あ、俺は来島来斗だ。あんたは?」
俺は何回目か分からない自己紹介をした。何回したっけ?
「初めて会った奴にあんたと呼ばれるとはな。私は星熊勇儀。見て分かる様に鬼だ。・・・・・・お前。面白い奴だな。」
勇儀がニヤリと見てくる。
「俺のどこが面白いんだ?特に何にもしていないが。」
「いや。鬼の私に少しも恐れていないな。そういう人間は珍しい。」
そう言えばと思った。だが、何故か怖いとは思わない。
「ゆ、勇儀。私達さとりの所に行くところなんだ。」
「そ、そうだね。じゃあ、そういう事で。」
「おい。どこ行くんだよ。今日こそは来てもらうぞ。」
魔理沙と大河がさっさと離れようとしたのを勇儀が魔理沙を掴む事で止めた。
「おい!待て勇儀!離せよ!た、大河。助けて。」
「・・・・・・みんな。行こう。」
「大河ぁ!?」
魔理沙が大河に助けを求めるが、大河は拒否して先に進む。
「ほら。行くぞ。パルスィも待たせてるんだ。」
「ひっ、止めろー!大河ー!来斗ー!妖夢ー!助けてくれよぉ!」
その悲痛な声を無視して、俺も大河の後をついていく。後で聞いたが、勇儀は超が付くほどの酒豪で、二人は前にあった出来事でトラウマになったらしい。すまん。魔理沙。

それから数十分。地霊殿に着いた。大きな洋風建築でかなり目立つ。何人住めるのだろう。俺は興味津々に辺りを見渡す。大河に続いて地霊殿の扉を潜る。
「いらっしゃい。妖夢さん。幽々子さんから話は聞いています。如月さんたちも。・・・・・・魔理沙さんは残念でした。」
いや、死んでないからね。と言うか何で知ってるの?
「紹介が遅れました。私は古明地さとりです。最初に申し上げます。私は心が読めます。魔理沙さんの事は如月さんの心を読んだから分かりました。」
「・・・・・・凄いですね。羨ましいです。」
「・・・・・・本当なら捨ててしまいたいです。こんな能力。」
「えっ?」
俺には彼女の言っている事が理解出来なかった。だって心が読めるんだぞ。それは便利だろ。俺は本当に羨ましい。なのに・・・・・・。
「・・・・・・何も分かってませんね。心が読めるということは、私が聞きたくない事まで聞こえて来るんです。嫌になりますよ。人の醜い魂胆が丸聞こえ。ハッキリ言って吐瀉が出そうです。・・・・・・それでも貴方は羨ましいですか?」
さとりさんの冷ややかな声が耳の中で反響する。その言葉はとても恨みのこもっていて、重かった。軽々しく羨ましいと言ってしまった事に後悔した。
「・・・・・・本題に入りましょう。妖夢さん。手紙を。」
「は、はい。こちらが幽々子様からの手紙です。」
妖夢さんは手紙をさとりさんに手渡した。さとりさんは手紙を読むなり別の手紙を差し出した。
「これを幽々子さんに。お願いします。」
「分かりました。」
「それよりも、皆さん疲れているでしょう。丁度昼時ですから昼食を食べていってください。」
「良いのか?さとりから昼食に誘うなんて珍しいね。」
「来斗さんに興味を持ちました。もう少し知りたいこともあるので。」
「じゃあ。お言葉に甘えて。・・・・・・まずは魔理沙を連れて来ないと。」
この後魔理沙が倒れたのは言うまでもない。

コメント

  • 如月大河

    じゃあ、作ります。少し待っていて下さい。

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  • ノベルバユーザー317126

    過去編みたいです〜!

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  • 如月大河

    11話目です。まあ順調です。後、前に単発で出した奴、あれの過去編って見たいですか?コメントしてくれれば出してみます。お願いします。

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