2.5D/リアル世界の異世界リアル
第65話
65
残念を通り越して痛いキャラとなりつつある奇姫が去った後―――。
「……すまん。ちょっとトイレ行ってくるわ」
「うん。いいよ」
言うが早いか席を立った俺は、癒美に断りを入れて道を開けてもらった。
「あ、んじゃ俺もトイレ」
樋口も立ち上がった。
だが俺はすかさず彼を冷めた目で見ると。
「樋口、お前さ……俺が連れション大嫌いなの知ってて言ってんのか?」
「え? そう、だったか? いや、普段から俺達って連れションしてるよな? 俺、お前から『寄ってこうぜ』とかって。何度も連れション誘われた覚えあるぞ?」
「……ならそれはお前だけだ。ああ、お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」
なぜ連れションなんかでこの有名な台詞を使わせてもらわなければならないのか。とはいえ効果は抜群だったらしく、足早に歩き出した俺を樋口は追いかけてこなかった。
人混みを掻き分けつつ階段を下り、再び闘技グラウンドの入場口前へ。
そこにはトイレがあったが、本当は用を足すつもりではなかったので、俺はさらに階段を下りて地下へと向かった。
地下に入ると武闘大会の熱気はほぼ感じられなくなった。
人の数が極端に減ったのだ。
「さてと。人のいない場所探しでも始めるかー。っと、その前に」
目と鼻の先に紙パック自販機があった。
適当にコーヒー牛乳とイチゴ牛乳を購入。それからまた歩き出す。
迷宮のように入り組んだ狭い廊下を、たまに人とすれ違ったりしながら。
「そうだ、廊下の突き当たりで、ベンチとかあればな」
なんて呟いたりしてみると、これが簡単に見つかってしまうわけで。
偶然か必然か、廊下の突き当たり、観葉植物が飾られているところにベンチも設置されてあった。
俺は周囲に人気がないことを念入りに確認し、ベンチにどかっと座る。
「はぁ、見つけるの地味にメンドかったな。……よし、出てきてもいいぞ」
「ぶっはァ! もう脱水症状で死ぬかと思ったし!!」
まるでずっと息を止めてたかのように。我慢顔のアリスが制服の胸ポケットから飛び出てきた。もちろん彼女の格好はメイド服なのだが、今は通り雨に遭ったかのようにびしょ濡れだった。
アリスは体の熱を冷ますように激しく飛び回り、
「ツっきんってば気が利かないねぇ! 1時間ごとに休憩させてよ! あたし相当堪えてたからね!?」
「悪い悪い。けどお前、暑さは無効なんじゃないのか?」
「それは神様の力! 使えたら使ってるに決まってんじゃん!」
「ってことは力はまだ取り戻せてないんだな……。とにかく俺の影に隠れて大人しくジュース飲んでろ」
俺はストローを刺したイチゴ牛乳をベンチの上に置いた。
置くと同時にアリスがストローの口にかぶり付く。チューチューと吸い上げていく。
俺もコーヒー牛乳に一口つけ、喉を潤すと、
「……言い訳じゃないけどな。俺だってこの大闘技場に閉じこめられてからずっと息苦しいんだぞ。……好奇な視線に晒されてんだよ」
「それはしょうがないじゃん。今のツっきん、トピアを棄権させたくらい強いって噂されてるんでしょ?」
「だろうな。いやもう寮部屋に戻りたいくらいキツい……」
しかしながら学園生徒はこの大会中、一歩も場外に出てはいけない決まりだった。
なので俺は大会が終わるまで辛抱し続けるしかないのだ……。
「……………………。なんでこうなっちまったのかな」
ぽつりと。
それは無意識だった。
今日は大事な日で、当然今はそれどころじゃないのに。
気づいたら俺は口に出してしまっていた。
そう、感情表現などせず、ただ廊下の蛍光灯を仰いで。
「……ふん。この世界に来たのはあたしのせいだって言いたいんでしょ」
アリスには心を読まずとも伝わったらしい。
彼女は不服そうに頬を膨らませると、
「ツっきんの本当の願いは『ラノベ主人公みたいなリア充になりたい』だった。でもあたしは『ラノベ主人公になりたい』って解釈して願いを叶えちゃった」
「……、」
「言霊を間違えたのはツっきんで、100パーセントツっきんのミスなのに。あたしのせいにしたいんでしょ」
「それは……否定しない」
心が読めるんだったら俺の言い間違いに気づいてくれよ、ってな。
……だが―――。
「でも、この世界も悪くないって思ってるんでしょ?」
「お。ちゃんとわかってるじゃないか」
元いた世界で非リア充しているよりは全然楽しいのだ。
異性の……それも美少女が近くにいるんだし、この振り回されてる感じがいかにもリア充っぽい。
だからラノベ主人公サマサマだなってラノベ主人公達には感謝している。お前達がラノベ主人公の特徴を築き上げてくれたおかげで俺は今リア充できてます、ってな。
……ただ―――。
「著者さえいなければ、ね」
「ああ。著者さえいなければな」
この世界を牛耳っている著者がいるから、俺は心のどこか奥底でアリスを責めたがっている。……それほど俺にとって著者の存在は害悪なのだ。
「まぁ、うん。ツっきんの気持ちは理解したよ。あたしのせいにしたくなるのは著者のせいってことでしょ?」
「だと俺は思う。……ってなわけで、さっきの呟きに悪気はないんだ。次からは聞き流してくれると助かる」
「あいあい。……ふー、やっと体が冷めてきたよ」
アリスはイチゴ牛乳を飲み終えたようだった。
ストローで吸い上げようとしてもズズズー! とはしたない音がするだけだ。
とそこで、大会運営のアナウンスが聴こえてくる。
『武闘大会1回戦が全て終了しました。予定時刻より早い終了となりましたので、今から20分間の休憩を挟みました後、予定を繰り上げて2回戦を執り行います。何卒ご了承ください』
7回戦からが出番の俺には関係のない連絡だった。
大会は順調すぎるほどに進行中のようだが、さすがにまだ緊張はしない。
ならばと、俺は心静かなままアリスに声をかけた。
「……なあアリス」
「んー? もしかして暇なの? 暇ならどっかで特訓しとく?」
「え? いや、特訓は無理だな。……試合中以外、異能力の発効は禁止されてる」
誤って保護者や来賓に怪我を負わせてしまうかもしれないからだ。
そして発効したのがバレたら大会失格も充分ありえると、大和先生が俺に警告してくれてあった。
「ふーん。じゃあ2回戦の試合でも観とけば? 対戦するかもしれなさそうな人の異能力はチェックしとくべきでしょ」
「それはそうなんだが……」
ただ、これがあまり気分が乗らない。理由は読者もわかるはず。
俺が目の当たりにしてきた異能力の大半が、俺にとってろくなものではなかったからだ(正論)。
「ってかよ……。お前はそうやって避けたいのか?」
「……、」
「嫌なら嫌と言ってくれ。本気で嫌なら……俺はこれからもお前に尋ねない」
「…………。あたしのこととか、パパのことでしょ……?」
「そうだ」
あえて口頭で確かめてくるアリスに、俺は重々しく縦に頷いてみせた。
(尋ねる機会がなかったのもそう。尋ねる余裕がなかったのもそう。だが俺は近い内に尋ねてみようとだけは心に決めていたんだ)
彼女は、本物の神様だから。
正直、著者なんかよりずっと興味があるから―――。
「しょうがないにゃあ……ひとつだけならいーよ」
「ひとつ?」
「質問にはひとつだけ答えるってことだよ。まぁツっきんもとっくに気づいてるんだろうけどさ……あたしパパに殺されたの、すんごいショックだったんだよねぇ……」
しょんぼりと虚空を見つめるアリス。
全く彼女らしくない弱りきった姿だった。
しかしそんな彼女の様相によって俺が得たのは安堵感だった。
神様でも親に殺されて平気でいられる子供がいるだろうか。
つまりはそういうことだった。
「……わかった。お前が自分の話題をしたくないほど傷心中だってんなら。悪いがこの質問だけには答えてくれないか?」
「うん、あたしも充分楽しいよ」
「……、まだ質問してないんだが」
やれやれだ。
読者にはどんな質問か伝わってないだろうに……(溜息)。
だが今のアリスの回答で推察できただろう。
俺は彼女に『お前はこの世界に来て楽しめてるか?』と尋ねようとしていたのだ。
そう。とにもかくにもこの質問が最優先だった。もしも彼女に楽しめていない原因があるのだったら、俺は大のラノベ好きとして、その原因を解消してやりたかったのだ。
「あ。やっぱりあたし楽しめてないかも。だってベーコンレタスがねぇ……?」
「ベーコン、レタス? なんだ、食いたいのか?」
「まーね。ツっきんに食べさせて欲しい感じ」
「そうか。別に構わないが、大会後でいいか?」
「いいよ、あんがと。ちなみに腐ってるほうのベーコンレタスだかんね?」
「腐って……?……あぁ! なるほど、それでベーコンレタスか! 誰が食わすかッ!」
納得からの全力拒否! 俺はバカにされた気がしてアリスを捕まえようとするも、一足先に彼女が「あはははー! そのカオ激しくこわーい!」とベンチから飛び立っていた。
と、そんな風に。
俺達がふざけ合っている時だった。
『あー、テステス。ここで迷子のお知らせをするぞー。1年D組、憑々谷子童君。新婦の大和先生が式場でお待ちかねだぞー。指輪持って早く来い。……くくく』
「あ、あんのヤンデレ教師がああああああああああああああああああああああ!!」
これ絶対テレビで生中継してるって知ってて喋ってるよなぁ!?
あーもう許さねえ、許さねえよ、許したら許した俺が許せねえもん(絶許)!!
「ってか、式場ってどこだよッ!?」
残念を通り越して痛いキャラとなりつつある奇姫が去った後―――。
「……すまん。ちょっとトイレ行ってくるわ」
「うん。いいよ」
言うが早いか席を立った俺は、癒美に断りを入れて道を開けてもらった。
「あ、んじゃ俺もトイレ」
樋口も立ち上がった。
だが俺はすかさず彼を冷めた目で見ると。
「樋口、お前さ……俺が連れション大嫌いなの知ってて言ってんのか?」
「え? そう、だったか? いや、普段から俺達って連れションしてるよな? 俺、お前から『寄ってこうぜ』とかって。何度も連れション誘われた覚えあるぞ?」
「……ならそれはお前だけだ。ああ、お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」
なぜ連れションなんかでこの有名な台詞を使わせてもらわなければならないのか。とはいえ効果は抜群だったらしく、足早に歩き出した俺を樋口は追いかけてこなかった。
人混みを掻き分けつつ階段を下り、再び闘技グラウンドの入場口前へ。
そこにはトイレがあったが、本当は用を足すつもりではなかったので、俺はさらに階段を下りて地下へと向かった。
地下に入ると武闘大会の熱気はほぼ感じられなくなった。
人の数が極端に減ったのだ。
「さてと。人のいない場所探しでも始めるかー。っと、その前に」
目と鼻の先に紙パック自販機があった。
適当にコーヒー牛乳とイチゴ牛乳を購入。それからまた歩き出す。
迷宮のように入り組んだ狭い廊下を、たまに人とすれ違ったりしながら。
「そうだ、廊下の突き当たりで、ベンチとかあればな」
なんて呟いたりしてみると、これが簡単に見つかってしまうわけで。
偶然か必然か、廊下の突き当たり、観葉植物が飾られているところにベンチも設置されてあった。
俺は周囲に人気がないことを念入りに確認し、ベンチにどかっと座る。
「はぁ、見つけるの地味にメンドかったな。……よし、出てきてもいいぞ」
「ぶっはァ! もう脱水症状で死ぬかと思ったし!!」
まるでずっと息を止めてたかのように。我慢顔のアリスが制服の胸ポケットから飛び出てきた。もちろん彼女の格好はメイド服なのだが、今は通り雨に遭ったかのようにびしょ濡れだった。
アリスは体の熱を冷ますように激しく飛び回り、
「ツっきんってば気が利かないねぇ! 1時間ごとに休憩させてよ! あたし相当堪えてたからね!?」
「悪い悪い。けどお前、暑さは無効なんじゃないのか?」
「それは神様の力! 使えたら使ってるに決まってんじゃん!」
「ってことは力はまだ取り戻せてないんだな……。とにかく俺の影に隠れて大人しくジュース飲んでろ」
俺はストローを刺したイチゴ牛乳をベンチの上に置いた。
置くと同時にアリスがストローの口にかぶり付く。チューチューと吸い上げていく。
俺もコーヒー牛乳に一口つけ、喉を潤すと、
「……言い訳じゃないけどな。俺だってこの大闘技場に閉じこめられてからずっと息苦しいんだぞ。……好奇な視線に晒されてんだよ」
「それはしょうがないじゃん。今のツっきん、トピアを棄権させたくらい強いって噂されてるんでしょ?」
「だろうな。いやもう寮部屋に戻りたいくらいキツい……」
しかしながら学園生徒はこの大会中、一歩も場外に出てはいけない決まりだった。
なので俺は大会が終わるまで辛抱し続けるしかないのだ……。
「……………………。なんでこうなっちまったのかな」
ぽつりと。
それは無意識だった。
今日は大事な日で、当然今はそれどころじゃないのに。
気づいたら俺は口に出してしまっていた。
そう、感情表現などせず、ただ廊下の蛍光灯を仰いで。
「……ふん。この世界に来たのはあたしのせいだって言いたいんでしょ」
アリスには心を読まずとも伝わったらしい。
彼女は不服そうに頬を膨らませると、
「ツっきんの本当の願いは『ラノベ主人公みたいなリア充になりたい』だった。でもあたしは『ラノベ主人公になりたい』って解釈して願いを叶えちゃった」
「……、」
「言霊を間違えたのはツっきんで、100パーセントツっきんのミスなのに。あたしのせいにしたいんでしょ」
「それは……否定しない」
心が読めるんだったら俺の言い間違いに気づいてくれよ、ってな。
……だが―――。
「でも、この世界も悪くないって思ってるんでしょ?」
「お。ちゃんとわかってるじゃないか」
元いた世界で非リア充しているよりは全然楽しいのだ。
異性の……それも美少女が近くにいるんだし、この振り回されてる感じがいかにもリア充っぽい。
だからラノベ主人公サマサマだなってラノベ主人公達には感謝している。お前達がラノベ主人公の特徴を築き上げてくれたおかげで俺は今リア充できてます、ってな。
……ただ―――。
「著者さえいなければ、ね」
「ああ。著者さえいなければな」
この世界を牛耳っている著者がいるから、俺は心のどこか奥底でアリスを責めたがっている。……それほど俺にとって著者の存在は害悪なのだ。
「まぁ、うん。ツっきんの気持ちは理解したよ。あたしのせいにしたくなるのは著者のせいってことでしょ?」
「だと俺は思う。……ってなわけで、さっきの呟きに悪気はないんだ。次からは聞き流してくれると助かる」
「あいあい。……ふー、やっと体が冷めてきたよ」
アリスはイチゴ牛乳を飲み終えたようだった。
ストローで吸い上げようとしてもズズズー! とはしたない音がするだけだ。
とそこで、大会運営のアナウンスが聴こえてくる。
『武闘大会1回戦が全て終了しました。予定時刻より早い終了となりましたので、今から20分間の休憩を挟みました後、予定を繰り上げて2回戦を執り行います。何卒ご了承ください』
7回戦からが出番の俺には関係のない連絡だった。
大会は順調すぎるほどに進行中のようだが、さすがにまだ緊張はしない。
ならばと、俺は心静かなままアリスに声をかけた。
「……なあアリス」
「んー? もしかして暇なの? 暇ならどっかで特訓しとく?」
「え? いや、特訓は無理だな。……試合中以外、異能力の発効は禁止されてる」
誤って保護者や来賓に怪我を負わせてしまうかもしれないからだ。
そして発効したのがバレたら大会失格も充分ありえると、大和先生が俺に警告してくれてあった。
「ふーん。じゃあ2回戦の試合でも観とけば? 対戦するかもしれなさそうな人の異能力はチェックしとくべきでしょ」
「それはそうなんだが……」
ただ、これがあまり気分が乗らない。理由は読者もわかるはず。
俺が目の当たりにしてきた異能力の大半が、俺にとってろくなものではなかったからだ(正論)。
「ってかよ……。お前はそうやって避けたいのか?」
「……、」
「嫌なら嫌と言ってくれ。本気で嫌なら……俺はこれからもお前に尋ねない」
「…………。あたしのこととか、パパのことでしょ……?」
「そうだ」
あえて口頭で確かめてくるアリスに、俺は重々しく縦に頷いてみせた。
(尋ねる機会がなかったのもそう。尋ねる余裕がなかったのもそう。だが俺は近い内に尋ねてみようとだけは心に決めていたんだ)
彼女は、本物の神様だから。
正直、著者なんかよりずっと興味があるから―――。
「しょうがないにゃあ……ひとつだけならいーよ」
「ひとつ?」
「質問にはひとつだけ答えるってことだよ。まぁツっきんもとっくに気づいてるんだろうけどさ……あたしパパに殺されたの、すんごいショックだったんだよねぇ……」
しょんぼりと虚空を見つめるアリス。
全く彼女らしくない弱りきった姿だった。
しかしそんな彼女の様相によって俺が得たのは安堵感だった。
神様でも親に殺されて平気でいられる子供がいるだろうか。
つまりはそういうことだった。
「……わかった。お前が自分の話題をしたくないほど傷心中だってんなら。悪いがこの質問だけには答えてくれないか?」
「うん、あたしも充分楽しいよ」
「……、まだ質問してないんだが」
やれやれだ。
読者にはどんな質問か伝わってないだろうに……(溜息)。
だが今のアリスの回答で推察できただろう。
俺は彼女に『お前はこの世界に来て楽しめてるか?』と尋ねようとしていたのだ。
そう。とにもかくにもこの質問が最優先だった。もしも彼女に楽しめていない原因があるのだったら、俺は大のラノベ好きとして、その原因を解消してやりたかったのだ。
「あ。やっぱりあたし楽しめてないかも。だってベーコンレタスがねぇ……?」
「ベーコン、レタス? なんだ、食いたいのか?」
「まーね。ツっきんに食べさせて欲しい感じ」
「そうか。別に構わないが、大会後でいいか?」
「いいよ、あんがと。ちなみに腐ってるほうのベーコンレタスだかんね?」
「腐って……?……あぁ! なるほど、それでベーコンレタスか! 誰が食わすかッ!」
納得からの全力拒否! 俺はバカにされた気がしてアリスを捕まえようとするも、一足先に彼女が「あはははー! そのカオ激しくこわーい!」とベンチから飛び立っていた。
と、そんな風に。
俺達がふざけ合っている時だった。
『あー、テステス。ここで迷子のお知らせをするぞー。1年D組、憑々谷子童君。新婦の大和先生が式場でお待ちかねだぞー。指輪持って早く来い。……くくく』
「あ、あんのヤンデレ教師がああああああああああああああああああああああ!!」
これ絶対テレビで生中継してるって知ってて喋ってるよなぁ!?
あーもう許さねえ、許さねえよ、許したら許した俺が許せねえもん(絶許)!!
「ってか、式場ってどこだよッ!?」
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