神様は酷いやつだった

ノベルバユーザー313493

世界対戦編前編

 サラーム王国への攻撃があって直ぐ、ルシュフェル配下の外交官とサタン配下の魔法師団は宗時の指示のもと建国に賛成した国を訪れていた。


 「お初にお目にかかりますカムサ皇帝陛下」
 「うむ、面を上げよ。用件は既にわかっておる。これを宗時国王陛下に」


 手紙を執事より受けとると頭を下げる。


 「カムサ皇帝陛下、宗時様よりこちらを預かっております」


 執事がそれを受けとると封を開け読み上げる。


 「お久しぶりですカムサ皇帝陛下。既にご存知かと思いますがサルハマラ及びメイラスト連合王国より我々に対して戦線布告を受けました。既に我が国では攻撃を受けておりますが、無事であります。
 これ以上被害を出さないため我が国の、魔法師団第4、5,6団を送らせていただきます。どうぞご自由にお使いください」
 「おお、これは心強い。すまないありがとうと伝えてくれ」
 「はっ、確かに承りました。魔法師団は城壁の外に待機させてありますがゆえ」


 そう伝えるとルシュフェル配下の外交官は王宮を後にした。これと同じような事がブリテン騎士王国など各国でも行われていた。
 こうして手紙を渡した悪魔達が一度ルシュフェルのもとへが戻ってきていた。
 ルシュフェルは彼らから伝言や手紙を受けとると直ぐに内容を確認し、宗時のもとへ向かった。


 「宗時様、たった今配下の者からの報告を終えたのでご報告いたします。
 各国も協力して事にあたるそうです。
 また必要な事があれば言って欲しいとの事です。これは魔王侵略を受け消滅した国に隣接している国の方がより強い傾向にあります。
 他にもカムサ皇帝陛下から戦線布告を受けた全国王が集まって作戦会議を開いてはどうかと提案が来ています」
 「確かに・・・ありがとう。今からラスノマさんの所に行ってくるからマモンよろしく」
 「かしこまりました」


 マモンがお辞儀をしたのを確認すると俺は久々に転移魔法を使いカムサ帝国王宮に行った。


 「お久しぶりですラスノマさん、急にすみません」
 「問題ない、魔法師団の件は助かった。ちょうど我が国も戦線布告を受けてな、おそらく全ての国に来ていることだと思う・・・大変だったな」
 「ありがとうございます。それで手紙の件についてですが、いいと思います。場所はどうしますか」
 「それなんだが、もしよければサラーム王国の城を貸してもらえないか」
 「それは問題ないですが━━━なぜうちに」
 「それは君の国が1番安全だと思ったからだよ」


 確かにサラーム王国は安全かも知れないが・・・国王を呼べるほどの料理を出せるだろうか


 「そう言うことならいいですが・・・」
 「君ならそういってくれると信じていた。既に他国にも手紙は送ってある。明日には返事が来るだろう」
 「わかりました。ではまた明日伺います」


 俺は急いで城に戻った。戦争も大変だがかといっておもてなしに手を抜くことはできない。


 「ベルゼバブブいる?」
 「どうした主よ」
 「今度うちに各国の王が来ることになった、そこで料理を作って欲しいんだができるか」
 「う~ん、ちょっと難しいかも知れねぇな」
 「何か足りないのか」
 「いや、食材がな・・・」


 やはりか、仕方ない。やってみるか、俺は《メモリーメイク》を発動して食材と料理本を何冊かを用意した。


 「これでどお?」
 「あぁこれだけあれば大丈夫だろ、本はありがたくもらっとくさ」
 「じゃあ頼んだよ」
 「あぁ期待しといてくれ」


 そういってベルゼバブブはさっさと厨房に戻って行った。
 よし、とりあえず料理は問題なし。さてこれからどうしたものか・・・


 「主様、西のサルハマラ及びメイラスト連合王国より騎士と思われる者が2名、白旗をあげてやって来ておりますがどうなさいますか」


 まさか騎士2人だけで何かできる訳でもないだろうし、このタイミングで接触してこれば即殺られる可能性もある筈だ、それなのに来るのだから敵意は恐らくないだろう。


 「よし、今から会いに行こう。マモンとサタンは付いてきてくれ」
 「了解致しました」


 直ぐにテラスから騎士がいるという方向に飛んだ。
 暫くすると確かに森を少し出た辺りに馬に乗った騎士と思われる者が2人いた。


 「誰だ!そこをどけ我らは王の勅命を受けて急いでいるのだ!」


 地上に降りた俺達に2人のうちの若い騎士がそう呼び掛けてきた。


 「いや、まて。この方、何処かでみたような・・・っ!まさかサラーム王国国王陛下!?」
 「テンプラさんさすがにそれはないですよ、あのお方がこんな場所におられるなんて」


 そういって若い騎士が中年の頬に傷のあるまさしく強者、と言ったような顔をしたテンプラさん、という美味しそうな名前の人に反論する。
 とりあえずこのままでは話が進まないし、上の2人がかなり怒っているので自己紹介することにした。


 「始めまして、私サラーム王国国王をやってる宗時と言います。なぜ我が国に向かっておられたのですか」
 「はっ、まさか嘘をつくな」


 どうやら若い騎士には信じて貰えなかったらしい、テンプラさんは直ぐに膝間付いたのだが・・・
 あれだ、別に膝間付いて欲しいわけではないにだが。
 とりあえず俺は合図を出して2人に降りて来て貰う


 「うそっ、悪魔を連れた人間・・・まさか本当に宗時様!?」
 「何を言っているのですか、主様はそうおっしゃられたでしょうが」


 マモンがそういうと彼は雷が落ちたように固まると、直ぐにビクッと体が震え馬から飛び降り空中3回転を決めると深々と土下座をしてきた。
 この世界にも土下座ってあるんだ・・・


 「この度の数々のご無礼どうかお許しください、さすれば我はこの場で切腹する所存でございます」


 あ、切腹もあるんだ、勉強になるわ。


 「いいですから、頭を上げてください。それと切腹しなくていいですから」
 「はっ!しかしそれでは私の気がおさまりません」
 「そうですか、では早く用件を教えていただけませんか」
 「了解致しました!しかしここでは・・・」


 確かに聞かれたく無いこともあるだろう、俺は防音、人避け、対物、対魔結界を発動した。さらに一応中には嘘関知と魔法無効化もかけた。さらに《錬成》でテーブルと椅子を出す。


 「これで大丈夫です」
 「わぁぁ、凄いです。しかし私なんかが同じ椅子に座るなど出来ません」
 「では命令です。座りなさい」


 どうやら少しめんどくさい人らしい、悪い人では無さそうだが・・・
 2人が座ると直ぐに自己紹介をしてきた。どうやら若い騎士は、ウ=ドンというらしい。面白名前コンビだ、とりあえず互いに名のると直ぐに話に入った。


 「それで、勅命とは何ですか」
 「はい、我々は降伏するためにやって来ました」
 「戦線布告をしてきたのにですか?」
 「はい、というのも我が国はサルハマラ及びメイラスト連合王国から独立することにしました。つきましては我が国ハルラ皇国皇王タカミ=ハルラとの会談をしていただきたいのです」


 う~んどうしたものか、彼の言ってる言葉に嘘はない、かといってこの彼が騙されていないという確証もない。
 さて、どうしたものか


 「私からもお願いいたします。今までの発言に嘘はありません」


 すっかり忘れていたがテンプラさんが頭を下げる。しかし、そこで嘘関知に反応があった。
 ここで嘘が出たか、しかしどこだろうドンの話に嘘はない、つまりそれよりも前で結界を張ったあとというと・・・
 名前か!どちらかが偽名を使ってるとならば簡単だ。


 「少しいいですかこれからやることに正直に答えてください」


 2人が確かに了解したのを確認すると始める。先ずはドンからだ。


 「あなたはドンさんですか」
 「はい」


 反応なし・・・


 「あなたはテンプラさんですか」
 「はい」


 ・・・ビンゴ!反応があった。つまりテンプラという人は偽名を使っていると言うことになる。
 しかしなぜ偽名を使ってるのだか。


 「テンプラさん、あなたは偽物ですね」
 「何をおっしゃられるのですか、私は本物ですよ」
 「嘘ですね。本当の名前は何ですか、早く言った方が身のためですよ。私はともかく彼らはもう限界のようですからいつ首が跳ぶかわからない」


 そういって横に座るマモンとサタンをみる。2人とも顔には出てないがかなり怒っているようだ。
 俺が目で促しそれをみたテンプラは目に見えて焦っていた。


 「わかりました、数々のご無礼どうかお許しいただきたい。改めて、私はハルラ皇国皇王、テンプラ=ニコルス=ハルラです。今回は重要な事なので直接来ました」


 驚いた・・・まさか皇王自ら来るとは思わなかった。


 「そうでしたか、ですがなぜ偽名などを使われていたのですか」
 「それが、宰相に止められてしまいまして。それで、黙って出てきたのです」
 「そうでしたか、では早く済ませて帰った方がいいでしょう」
 「そうですね」


 話し合いによるとどうやら戦争のきっかけは建国と土地の壌土にあるらしい。
 と、いうのも彼らの言い分としては「魔王なんか我々でも倒せたのに余計なことをしやがって、そんなのをわざわざ奉り上げて土地まで与えるなどあり得ない。
 それにこんなガキに王が務まるわけがない」と、言うことらしい。なんとも幼稚な言い分だが、王がちゃんと務まっているかと言われると疑問だ。


 「わかりました。最後に一つ確認です。本当に独立するのですか」
 「はい」


 テンプラさんが真剣な眼差しを向けながらしっかりと答える。俺はそれに一つ頷くと決めた!


 「わかりました。マモンは今の事を王国へ帰ってスクリナ達に伝えること。
 サタンは俺と一緒に来てくれ」
 「「了解致しました」」
 「では皆さんも心配されている頃かと思いますので帰りますか」


 そういって俺は《転移魔法》を発動してハルラ王国王都の外苑部にとんだ。というのも王城の位置がわからなくてとべなかったのだ。


 「宗時様ありがとうございます」
 「いいですよ、では私はこれで」
 「本当にありがとうございました」


 テンプラさん達を送ると俺はサタンを連れて城へ戻った。


 「マモン、俺のいない間問題はなかった?」
 「一度攻撃がありましたが被害はゼロです。また敵は装備を奪い捕らえております」
 「わかった、よく殺さないでおいでくれた」


 そのままマモンに連れられて地下の牢獄に向かった。
 かなりの人数がいる。ざっと見ただけでも5000以上はいると思う。


 「指揮官は誰ですか」
 「私だ!」


 そういって出てきたのは人はとても若かった、おそらく俺と同い年か少し上くらいだろう。凄い目付きで睨まれた。


 「初めまして、サラーム王国国王の宗時です。少しお話を聞きたいのでついてきてもらえませんか」
 「どうせ拒否などできないだろ」


 別に拒否権くらいあるんだけどな、取りあえずは言わないが。
 宗時はマモンを連れて聴取室に向かった。聴取室に着くとマモンには隣の部屋に移ってもらう。刑事ドラマに憧れてドラマに出てくる取調室をイメージして作ったのだ。なかなかの出来栄えだと自負している。


 「まずはここについて少し説明しますね、ここは魔法の干渉を全く受けません。
 またここでは魔法が使えません、試しにやってみてもいいですよ。更にはここでは嘘をついても無駄です。魔法で感知できますから」


 それだけ言って手を縛っている縄を解いた。まさかとかれるとは思わなかったのだろう、物凄く驚いていた。


 「大丈夫です。何もしません、また私の合図がないとそこは開きませんので。
 最初にあなたの名前と出身国を教えてもらえますか」
 「私は、ダムラスだ。北の帝国で軍団長をしている」


 驚いた!意外と素直に話すものだ。


 「ではダムラスさん幾つか聞きたい事があります。まずはーーー以上です。ありがとうございました、最後にここにいる間は身の安全を保証します。
 また、食事も出しましょう。しかし、しっかりと仕事はしてもらいます」
 「ありがとうございます、陛下」


 聴取を終えるとダムラスさんはマモンによって連れて行ってもらった。


 「では明日からは彼らには農地開拓をしてもらうという事でいいですか」
 「ああ、場所は東の城門の外、5000m離れた場所1000m✕1000mの土地に結界と柵を張っておいたから悪魔数人で監督するように、また絶対に虐待行為はしないように言っといて」
 「了解致しました。おやすみなさい主様」


 これで食料問題は解決しそうだ。宗時は明日の予定を再度確認すると眠りについた。


 次の日俺は朝食をとると早々にマモンとサタンを連れてカムサ帝国へ向かった。


 「おはよう宗時君、丁度全ての国から返事が帰って来たところだ」
 「そうですか、ありがとうございます。それで結果はどうでしたか」
 「賛成とのことだ。これでいつでも集められるぞ」
 「そうですか、では明日・・・なんてどうでしょうかね」
 「いいんじゃないか」
 「では、そうゆう事で他国へはこちらから連絡しておきます」
 「すまないな」
 「また明日、お昼前頃を目安に参りますので」


 それだけ告げるとマモンとサタンを連れてサラーム王国へ帰った。
 お城へつくとすぐにベルゼバブブを呼ぶ。


 「およびかい主よ」
 「ああ、会議は明日になったからすまないが料理の準備をたのむ」
 「おう、ちいと厳しいがなんとかして見せるぜ!期待してろよ」
 「それは楽しみだ」


 これで食事は問題なし、住民の方も食料は問題ないようた。まぁこの都にいれば基本問題ないが。
 俺は都の様子を確認すると次はお昼になるので、昼食を持って捕虜の様子を見に行った。


 「ああ、宗時様おはようございます」
 「おはよう。体調はどお?」
 「はい、この通り問題ありません」
 「それは良かった。ではお昼休憩にするので全員を読んでください」


 この人、捕虜とは思えないほど生き生きしている。最初あったときは敵意むき出しだったのに・・・
 あのときも仲間の事を考えて、いい人だ。こういう人が王様なら国もよくなるんだろうけど。


 「お疲れ様でしてた。しっかり食べて午後もお願いします」


 俺は集まった全員にそう伝えると錬成で巨大な長テーブルを3つと、人数分の椅子を出す。さらに城から料理を転送させた。


 「「「「おお!」」」」


 周囲から感嘆の声か上がる。今日は俺もここでお昼にする。一応毒などがないことを示すために最初に俺が手をつける。それをみていた捕虜の人が続々と料理を食べ始めた。


 「そうなんですか、大変でしたね」
 「ありがとうございます宗時様。この戦争が終わったら是非ともこの国に住みたいです」


 そう言っているこの人は軍人ではないらしい。と、いうのも元は農家をしており軍に徴兵されたそうなのだ。他にも色々な人と話をしてわかった事がある。 
 それはほとんどの人が徴兵されたということだ。中には子供の姿もあった。


 「では、午後も宜しくお願いします」


 周りをみてみると既に1/4は耕されていた。驚異的な速度だ。この分なら来年からは国内消費量を上回る量を作れるかもしれない。
 あとはこの戦争をどうにかして終わらせられればいいのだが・・・






 

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