神様は酷いやつだった

ノベルバユーザー313493

建国編後編

 カムサ帝国側からの移住希望者が来てから10日が経った。既にブリテン騎士王国からの騎士団入団希望者、移住希望者、サルハマラ及びメイラスト連合王国からの移住希望者も訪れており、総数は10000を超える勢いだ。更にまだサルハマラ及びメイラスト連合王国から500人以上が向かっていると聞く、いったいぜんたいどれだけ増えるのやら。
 想像しただけで嬉しいような恐ろしいような・・・そこへ不意に扉をノックする音が聴こえる。今日は学校が休みでこれから仕事の手伝いに行こうとしていたのだが。


 「入っていいよ」
 「失礼します。主様に謁見を求める者がいるのですがどう致しましょうか」
 「ありがとう、すぐに行くから合図したら謁見の間に通して」
 「了解致しました」




 俺はマモンが部屋を出るのを確認すると謁見のために皆を呼びに行った。
 暫くして俺が創った謁見用の服に袖を通し俺は一応王冠を被るとマモンに合図を出す。
 入ってきたのは男が2人と女の人が1人だった。彼らは俺の前まで来ると片膝をつき頭を垂れた。


 「お初にお目にかかります。サラーム王国国王陛下、私はマルシェと申します」


 マルシェと名乗った女の人に続き2人の男も名乗る。どうやらこの女の人が1番偉いらしい。


 「始めまして私はサラーム王国国王宗時です。どうか顔を上げてください」
 「は!」
 「それで今回はどの様なご用件で」
 「は、私冒険者ギルドのギルドマスターをしておりまして是非貴国にも支部を置かせて頂きたく参りました」
 「そうでございましたか、ええ構いませよ。是非宜しくお願いします」


 俺は許可を出すとマックにあとの事を任せて初めての謁見を終えた。
 俺が部屋に戻り着替えるとすぐに扉をノックしてマモンとポットとお茶菓子を持ったレヴィアタンが入ってきた


 「お疲れ様でした」
 「お疲れ様でしたわ」


 そういいながらテーブルに紅茶とお菓子を並べていく。


 「どうぞお召し上がりください」
 「ありがとう━━━━━━うん、美味しいよ」


 俺はレヴィアタンから貰ったお茶とお菓子を全て頂くとすぐに町の建設の手伝いに行った。


 「陛下どうかされましたか」
 「いや、何か手伝うことはないかなって」
 「いえいえ陛下は何もしなくて大丈夫ですよ」
 「そうですか・・・では何かあったら読んでくださいね」


 そう伝えて俺はその場をあとにした。俺はお城へ戻ると地下の発電施設に向かった。
 俺はそこに付くと電線を機械に繋げ伸ばし始める。なぜそんな事をしているかというと街に街灯をつける為だ。
 城を出ると電線を地下に埋めながら一定の感覚で街灯を設置していく。電線は地下に埋まっているので邪魔にならないし、電線自体も強化してあるので切れることはまずない。
 3時間くらいすると道全てに街灯を設置することができた。
 そして次に創ったのはこの都のシンボルとなる時計塔だ。イメージはロンドンにあるやつだ。これを予め空けてもらっておいたスペースに建てる。
 実はこの都、4つの区画に別れるように造っているのだがその全てに時計塔を設置した。
 ちなみに4つの区画とは、住宅区、商業区、公共施設区、観光区だ。既に住宅区と、商業区はほぼ完成している。
 また、観光区は俺が空いた時間に創っているのでこちらももう直ぐ完成だ。
 そうこうしているとマックからヘルプが入った。


 「どうした」
 「それが木材とレンガが足りなくてよ、追加頼む」
 「わかったよ、どこに置けばいい」


 俺は木材とレンガを創るとマックに言われたところに山積みにして置く。そうするとどんどんそれらは別の場所に運ばれていく。


∃[=∇=]∃


 建設が始まって1月が経った、ものすごい勢いで家々は建っていき人々は1人、また1人とビルを出て全員が新しい家に移り住んだ。
 商業区では多くの人が商売を始め、新しく来る移住希望者は大工に家造りを頼み宿に泊まって仕事をする。そうして都は徐々に発展の兆しを見せていた。


 「宗時様これが新しく移住してきた者のリストです」
 「ありがとう」


 そう言うと素早く報告書に目を通す。学校はビルから移り、教師も5人となったので俺は辞めて日々報告書の確認に追われる毎日を過ごしてい。


 「え〜っと、今回移住してきたのが37人で合計が5498人か、住居と食料問題はどうなっている」
 「はい、住居の方はまだ足りておりませんが新しく来た者は宿に泊まっているようです。
  また、食料に関しては一週間前に来た商隊より買ったものをこちらで小出しにして各お店に売っておりますがそろそろつきそうです」
 「それでは農地開拓は進んでいるか」
 「はい、再来月には収穫を始められるとの事です。しかし一つ問題が」
 「なんですか」
 「それが騎士が不足しており治安が悪くなる兆候がありまして」
 「そうか━━━━」


 困った、とりあえず食料問題は俺が他の国に買いに行けばいいとして。騎士だ、騎士団の入団試験をするにしても今から集めては1ヶ月以上かかってしまう。


 「わかった、とりあえず騎士の募集を全国に出してくれ」
 「了解致しました。そのように伝えておきます。また明日は観光区のオープン式典が行われますので挨拶の準備をお願いします」


 そうだった。明日はついに観光区がオープンするのだ。
 観光区とは地球で言うところの遊園地であり、観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランド、お化け屋敷、ダンジョンがある。
 そこは他の区画とは全く別で塀で仕切られており、中に入るのに銅貨50枚がかかる。これは国民の月平均所得の半分の金額なのでけして安くはない。
 しかし、明日は入場料をタダにして開放するのだ。こうする事で楽しさを教えまた来てもらう。これがこの国のメインの収入となる。
 ただ、ダンジョンだけは別料金で銀貨1枚貰うのだ。と言うのもこのダンジョン今回俺が創った物で、更に元魔王ディルの固有魔法《蘇生》をペンダントに付与する事が成功しておりこれを持っていれば、ダンジョン内で死んだ場合のみ自動的に蘇生して入り口に戻って来られるという仕組みだ。
 また、ダンジョン内には宝箱が稀に設置されており、俺が最近開発した付与魔法で強化された武器の入っている。
 つまり安全に経験値が積める上に稼ぐこともできるのだ。


 「わかった、ありがとう」


 そうして今日も書類の確認をして、挨拶の言葉を考えているとあっという間に1日が過ぎてしまった。


 「━━━━では、是非楽しんでください」
 「ありがとうございました陛下。ではこれより観光区オープンです!」


 挨拶を終えると俺は壇上から降り席に戻る。いよいよ観光区のオープンだ。初日はどれだけの人が来てくれるか楽しみだ。
 暫くしてオープンセレモニーが終わり、入場が始まる。見たところ子供連れが多く会場の約半分位の人が入っていくように見えた。どうやら盛況のようで安心した。


 今日はこれからやろうと思っていた事があるのだ。
 それは、路面電車創りだ。既に都には道を創った際に線路を敷いてある。後は電車を設置させるだけだ。万が一も無いように線路を囲うように柵も建てるし、交差点には踏切も付ける。説明はチラシを配ればいいだろう。
 最後に線路に電車に供給する電気を流せば完成だ。俺はお城に戻り発電施設から電気を流し始める。すると線路側僅かに発光し始める。これが電気の通った証だ。
 これで交通が楽になるだろう。電車賃も一駅ごとに銅貨5枚とお手頃だ。もちろんこれも国の収入となる。従業員も最初の内は配下の悪魔達にしてもらえばいい。
 俺は一旦お城に戻り休憩することにした。すると待っていたようにマモンが部屋に入ってきた。


 「主様、観光区の午前中の入場者数と、今日のお土産及び飲食店の総収入の見積もりです。確認ください」
 「ありがとう、直ぐに確認するよ」


 どうやら午前中は2058人が入ったそうだ。まあまあと言ったところだろう。
 お土産屋及び飲食店の総収入見積もりは銀貨759枚ほどということだ。これも初日にしてはなかなかだと思う。明日からは入場料も入るので入場者は減るだろうが今後、他国へ評判が届けば今日の倍近くの収入が入るだろう。


 「うん、問題ないと思うよ」


 俺は報告書に確認のサインをするとマモンに手渡す。


 「ありがとうございます。ただ・・・」


 マモンはそう何かを憂うように呟く、彼にしては珍しいことだ、どうしたのだろうか


 「どうした。何か気になることでもあるのか」
 「はい、ダンジョンも本日より開いているのですが、やはり蘇生というシステムをまだ信用していないようで入場者がゼロなのです。
 まだ初日ですからなんとも言えませんが対策を考えた方が宜しいかと・・・」
 「確かに、何か考えた方がいいかも。わかったありがとう」


 確かにこれを持っていれば死んでも生き返れますよ、なんて言われても信じられる分けないか、試そうにも命は一つだけなのだし。やはり早急にあれを完成させるしかないか。


 「マモン今から渡すチラシを複製したら騎士団員募集のチラシと一緒に世界中のギルドに掲示してきてくれ」
 「了解致しました」 


 そういうとマモンは部屋を出ていく。それと一緒に俺も部屋を出て午後の作業に取りかかることにした。


 「ふぁ~疲れた~」


 作業を終えた俺は城にあるお風呂に浸かっていた。実はこのお風呂かなりこだわっており、日本にいた頃1度だけ連れていってもらったスーパー銭湯をイメージして創ったのだ。
 だから、寝湯に、打たせ湯、ジェットバスにサウナなど実に様々な種類がある。さらにはのぼせないように水道も完備しておりその気になれば、何時間でもいられるのだ。


 「陛下お疲れ様です」
 「ロゼフお疲れ様。陛下は恥ずかしいからやめてくれないかな」
 「ダメですよ、しっかりと立場を分けないと部下に示しがつきませんので」
 「じゃあさ、せめて二人の時くらい前みたいに呼んでよ」
 「まぁ、それならいいですけど」
 「ありがとう」


 こうして暫く二人とも静かに入り続ける。ときおり動くと水紋が広がる感覚が肌に伝わる。


 「それにしてもここは本当にいいですね。癒されます」
 「ああ、1日の疲れが洗い流されるようだ」
 「宗時さん、サウナに行きませんか」
 「そうですね」


 そうして、俺達は風呂から上がり体をよく拭くとサウナに向かう。扉を開けた瞬間、中の熱が外に漏れだす。俺達は素早く中に入ると三段ある内の二段目に腰かけた。
 中に入るとサウナ独特の少しばかりの息苦しさと、熱が顔を焼くような暑さに侵される。そして、身体中が痒くなり毛穴が開いていくことがわかった。
 10分程経つと全身は汗で濡れ、 俺達はそろそろ出ることにした。


 「やっぱりサウナはいいですね、なんというか癖になります」


 うん、癖になるのかはわからないが汗を沢山流せるので出たあとはスッキリして好きだ。しかし、なぜだろう少しロゼフの顔が恍惚としているように見えるのは・・・。
 うん、きっとのぼせているのだ。サウナでのぼせるのかは知らないが。
 風呂から上がると俺達は食堂へ行き、ベルゼバブブの作った美味しい料理に舌鼓をうち、スクリナと寝室に向かう。最初こそ慣れなかったが、今では二人で一緒に寝るのか当たり前になっている。 
 とはいっても、まだ恋愛のCはしてないがほぼ毎日マッサージをしてもらっている。すごく気持ちいいのだ。
 そして俺はいつもマッサージされている間に寝てしまうのだ。
  
 「宗時さん、おはようございます」
 「おはようスクリナ。あのさ今日って時間大丈夫?」 
 「大丈夫ですよ。どうかされましたか」
 「そうかよかった。ならデートに行かないか」


 俺は朝起きると直ぐに聞いてみた。もちろん応えはYESだった。
 断られる事は無いと思っていたがやはり心配ではあったから一安心だ。
 俺達は食事を終えると直ぐに着替えて城を出る準備をした。


 「ところでなぜ急にデートをしようなんて言ってきたのですか」
 「それは、最近、魔王を倒してから国造りなんかで2人でいられる時間が少なかったから・・・」


 そう、最近は何かと忙しくて2人でいられなかったからなのだ。けっして今が暇というわけではないが、観光区もオープンし一段落ついた今だからこそ、丁度いいと思ったのだ。


 「だから今日はたくさん楽しもう!」
 「そうですね。それで最初はどこに連れて行ってくれるのですか」


 そうして俺達は商業区へ来ていた。街を歩けば皆が挨拶をしてくる。しかしどれも堅苦しいものではなく軟らかい友達にするような挨拶だ。
 普通ならありえないのだろうが、俺はこれが気に入っていた。前から国民と国王が同じ目線で話せる国に憧れていたのだ。そして今、それは叶った。この事に関しては建国してよかったと思っている。


 「わぁ〜この服可愛いですね」
 「そうだね、凄くスクリナに似合いそうだ」


 そう言って俺はスクリナの手をひいて店内にはいる。


 「陛下なにか御用ですか」
 「ああ、これと、もう一着スクリナに似合う服をください」


 そう言うと店のお姉さんはクスッと笑うと何着か持ってきた。


 「これなんかどうですか、私がデザインしてみたのですが」


 そう言って何着か持ってくる。どれもスクリナに似合いそうな可愛らしいものだった。なんだろうこの店の物は日本の服と似ている部分がある。
 俺はその中から、ブラウン系の色のワンピースと、トップスはホワイトのシャツ、ホワイト系の帽子とブラックのサンダルを選んで着せてみることにした。
 ワンピースの上にシャツを着て軽く端を結ぶ。サンダルを履いて帽子を被らせる。


 「凄いかわいいですね」
 「うん、やっぱりかわいい。すみませんこれください」


 そうして俺はお金を払うと店を出た。スクリナはというと店に入ると終始顔を朱に染めて俯いていた。


 「その・・・、ありがとうございます」
 「いいよそれよりホントに似合ってるね。凄くかわいい」
 「少しどこかで休もうか」


 そう言って俺達は近くにあったカフェに入った。


 「コヒを2つください」


 俺は店に入るとすぐに飲み物を頼んだ。ちなみにコヒとはこの世界でのコーヒーで、少し地球のものより甘いのが特徴だ。


 「どぉ?楽しい?」
 「それはもう、人生で1番楽しいですよ。夢じゃないかと思うくらいに」
 「それはよかった。じゃあこれは人生で1番楽しかった日記念日のプレゼントだ」


 俺はポケットから一つの長方形の箱を取り出して渡す。スクリナが開けてもいい?と目で聞いてきたので俺は頷いていいよと返す。


 「わぁ!かわいい。ありがとう」


 そういってスクリナは俺の渡したネックレスを首もとに当てて、嬉しそうに笑う。俺は席から立つとそれを受け取って着けて上げる。


 「かわいいよ」
 「うんありがとう」


 それから二人でであった頃の話をしてコヒを飲み終えると店を出て少し歩き観光区に行った。


 「わぁぁなんというか凄いね」
 「ありがとう、とりあえずあれに乗ろうか」


 そう俺が指差したのはジェットコースターだ。やはりどこの世界でもこれは少し怖いようだ。繋ぐ手が少し力んでいた。


 「今さらだけどやはりやめませんか」
 「まぁまぁ楽しいから」


 そういって手を引き1番前の席に並んで座る。安全バーが下がり動き出す。


 ガタンッ
 ウゥゥゥ


 「ひゃっ」
 「まだ動き始めただけだから」


 そういってかわいらしい声を挙げたスクリナの手を握る。握り返してくる手が痛い。相当怖いようだ、ちょうど1番高いところに来たところで止まる。


 「イャャャャャャャャ!!!」


 お姫様らしくない声を挙げるスクリナを乗せてほぼ垂直に落ちる。そして、1回転、2回転すると不意に止まる。ここからがこのジェットコースターの面白いところだ。


 「グフォッ!」


 今度は後ろに引っ張られ始めたのだ。
 そして、後ろ向きのまま来たレールになぞり1回転、2回転、さらにさっき落ちたてっぺんまで戻る。そして後ろ向きのまま逆さに落ちる。


 「もぅ!酷い目に会いました。もう宗時さんとはここに来ませんよ」


 相当怖かったようでかなりおかんむりの様子だ。俺は必死になだめたあと観覧車に連れていった。


 「わぁ!綺麗、飛んでいるみたい!」


 そう言うスクリナの横顔がオレンジ色の光を輝いて見え、ふと声が漏れてしまう。


 「あぁほんとうに綺麗だ・・・」
 「そうですね。今日はほんとうにありがとうございました」
 「あ、あぁまた時間を作って一緒にこよう」
 「はい!楽しみにしてますよ」


 かわいい、可愛すぎる。思わず手を出してしまいそうな衝動を必死に理性という名の枷で縛り付ける。ほんとうに危険な笑顔だ。
 俺達は、二人共別々の理由で出るまで落ち着かなかった。


 「それで、今日は宗時さんとデートしたんですよ」
 「まぁ!それは良かったですわね、今度私もデートしていただきたいですわ」
 「ダメですよ、宗時さんは私のものなのですから」
 「あら、じゃあ盗んでしまいましょうか」


 俺がお風呂から上がりなにか飲もうと食堂の扉の前まで来るとそんな話し声が聞こえた。どうやらスクリナとレヴィアタンが話しているようだ。


 「二人で何を楽しそうに話しているの」
 「わっ!宗時さん急に話しかけないでくださいよ」
 「ごめんごめん、二人で楽しそうに何話してるのかなって」
 「そうでしたの・・・今奥さまから今日の主さまとのデートについてきいていましたの。
 それで今度私もぜひ主さまとデートがしたいと言ったら━━━━」


 言ったらのところでスクリナがあわあわと大きな声で叫び、最後の方が聞き取れなかった。


 「スクリナなにするんだよ」
 「それよりも今宵の夕食ゆうげも大変美味しゅうございましたわね」


 あきらかに何かはぐらかそうとしている。俺もスクリナが本当に聞かれたくないことなら聞かないが━━━
 やっぱり!スクリナは聞いてほしいときは自分の両方の足の指を絡ませるという器用な事をするのだ。


 「で、レヴィアタンデートしたいって言ったらどうしたの」


 いやいやとてで耳を塞ぎ目を瞑る。なんともかわいい


 「はい、それで今度私もぜひ主さまとデートがしたいと言ったら、主さまは奥さまのものだから絶対にダメだと言われてしまいましたの」
 「へぇ〜そうだったんだ。スクリナがそんな事を・・・」


 俺はニヤニヤしながスクリナの方に目をやる。そこでは俯き両手を拳にしてワナワナとしていた。


 「レヴィアタンなんてもう知りません!さぁ宗時さん行きましょ」
 「わ、え、ま、待ってよ。あぁぁレヴィアタンおやすみ」
 「はい、おやすみなさいませ主さま」


 恥ずかしさ怒った風をよそをって早歩きで部屋を出ていくスクリナを俺は急いで追いかけた。


 「待って、待ってってば」


 何度か呼び掛けるよやっと止まってくれた。


 「・・・てください」
 「なに?」
 「忘れてください!」
 「なんで?」
 「恥ずかしいからです!!」


 顔を覆うとしゃがみこんで丸くなった。


 「俺は嬉しかったけどな・・・」
 「嫌じゃありませんか、こんな独占欲の強い女」
 「じゃぁもし俺が同じこと言ったら嫌?」
 「そんな事ありません!嬉しいに決まってるじゃないですか」
 「ほら、俺も同じだよ。だからね、顔をあげて」


 スクリナの肩に片方の手をのせるともう片方の手で顎をあげる。少し目が潤んでいた。うん!カワイイ


 「・・・ほんと?」
 「あぁ、さぁ寝よ」
 「そうですね」


 俺達は部屋に戻ると直ぐにベッドに入って深い深い眠りについた。


 《・ー・》━)・          


 「昨晩はすみませんでした」
 「奥さま、こちらこそ申し訳ごさいませんでしだ」


 起きると朝一でレヴィアタンのもとへと行き仲直りをした。なにげに二人とも仲が良くそのまま話始めたのをみてほっとしたりした俺であった。


 「主さま本日のご予定ですが、午前中はこの後直ぐにサルハマラ及びメイラスト連合王国の使者との謁見のあと鉄道開通記念式典への出席があります。
 また午後からは第1第、短期院議員、長期院議員の選挙についてアスモデウスとの会議があり、これが終わり次第本日はおしまいとなります」
 「ありがとう。じゃぁもう直ぐに全員着替えて謁見の間に集まるように伝えといて」
 「了解致しました」


 今日の謁見も重要だがいよいよ院政が始まろうとしているのだ。
 俺は食事を終えると直ぐに着替えて謁見の間にある椅子に腰かけていた。
 暫くしてマモンの号令のあと扉が開き2人の男が現れた。そして宗時の前まで来ると膝間づき頭を垂れる。


 「お初にお目にかかります、サラーム王国国王陛下。国王より手紙をもって参りました」


 アスモデウスがそれを受けとると封を開け、読みは上げる。


 「始めましてサラーム王国国王陛下よ、世はサルハマラ及びメイラスト連合王国連合国王ルク=アーデルハイツである。
 世は今回スノーウェル帝国、ヒョウ帝国、ラムラクス王国、ソルマティス王国、テクタス帝国、テントウム王国の代表として使者を送った。
 単刀直入に言おう。我々はこの手紙をもって貴国及びそれを指示する国を敵国とみなし、これをもって戦線布告とする」


 読みきるとアスモデウスは深く何回か深呼吸をする。そうでもしないと怒りを抑えられないというように。実際読んでいる最中も手も声もが震えていた。
 そして目をとじると声を張り上げる。


 「そのものを捕らえよ、決して殺すな!死よりも辛い目にあわせる!!」


 そういうとレヴィアタンが真っ先に飛び出す。次の瞬間宙を4本の腕が舞った。
 それは俺が止めようとするのよりも早くどうしようもなかった。


 「まて!」


 俺は声を大にして全員を制止させる。そうでもしなければ今すぐにでも手紙にあった国を滅ぼそうとしているように見えたのだ。
 いや、実際その予想はあっていただろう。


 「主(宗時)さま(様)!!」


 全員が訴えるような目を向ける。


 「まて、このまま行ってどうする。さすがのお前達でも不利だ。敵の数が多すぎる。それにもしもの事があったら俺はお前達を絶対に許さない」


 そのときだった。


 ダン!バッン!ドゴァン!!


 外で何かが爆発する音がする。急いで外を見に行くと都の外が燃えていた。どうやら結界は正常に作動しているようだ。
 と、いうのも実はこの都は巨大な結界で覆われているのだ。道には魔石が埋め込まれており、この都の道が一つの魔方陣となっているのだ。
 そうしている間にも都は火に覆われてしまった。


 「凄い・・・」
 「あいつら・・・」
 「少し冷静になれ。この都は平気だ。まずは標的にされた国に使者と魔法師団を一団づつ送れ。絶対に被害を出させるな!もし足りなければその分だけ一団づつおくれ」


 サタンとロゼフはそれぞれ指示を出し、住民の避難を開始させた。
 俺は直ぐに全地区に向けて放送を流すためテラスに出た


 「サラーム王国国王だ。今の爆発音に驚いている者は多いと思う。先程戦線布告を受けた。しかしどうか心配しないで欲しい。我々は一切住民への被害を出さないと約束しよう。今悪魔たちが避難の誘導をしていると思う。指示に従い慌てずに行動して欲しい」


 そういうと俺は外の火を消すために城を出た。


 「まさかこんなに早く戦争を吹っ掛けられるとは・・・憲法施行してなくてよかった」


 俺はそう一人ごちりながら消火活動に一人励んだ

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