神様は酷いやつだった

ノベルバユーザー313493

建国編前編

 俺が魔王を吸収すると残っていた悪魔を倒した皆、集まってくると口々にお祝いの言葉を述べる。
 完全に戦いは終わった、と思われたときそれは起こった。


 「お、無事でしたか」
 「はい、おかげさまで」


 宗時が話しかけた方へ皆が目を向けて誰?と言うような表情をする。


 「あぁ、彼は魔王だった人です」
 「・・・・・はぁぁぁぁぁ!!」


 マック達はもちろん。悪魔達ですらある一人を除いて顎が外れんばかりに大きく口を開いていた。


 「おい、宗時魔王は倒したんじゃないのか」
 「倒した、というよりは封印したに近いが、まぁ倒しましたよ」
 「じゃあ何で!」


 そこで俺は、戦っている最中に気がついたこと、そしてそれをしたことを説明した。
 スクリナと悪魔達は納得したようだったが、マックとロゼフはまだ納得いかないようだった。


 「そういえばアスモデウス、あなただけは知っていたようですがなぜ教えなかったのです」
 「なぜあなたに教える必要があるのですかね」


 そういってどうでもいいところで争いをする、アスモデウスとマモンを無視して話を進める。


 「ところでお名前を伺ってもよろしいですか」
 「あ、すみません。私はディルです。助けていただきありがとうございます」


 俺はディルと名乗った元魔王に皆のことを紹介した。そして皆にディルの事は帰る途中で見つけて連れてきた、ということにするように言った。
 そうして俺達はカムサ帝国の王宮に戻ってきた。全員いんで謁見に行く。


 「この度はご苦労であった。既に戻ってきている騎士から事の詳細は聞いている。今日はもう休んでよいぞ」


 ラスノマは近くにいた執事に案内するように言うと宗時達は用意されていた食事をとり、直ぐに寝ることにした。


 「で、何で俺達は一緒の部屋なのでしょうか」
 「陛下より、二人一緒の方がいいだろうとのことでしたので」
 「はぁ」
 「では、ごゆっくり」


 それだけ言うと執事は廊下を歩いていった。俺はそれをどうしたものかと見送りながら考え、脇を見るとそこにはニコニコと頬を朱に染めるスクリナの姿があった。


 「さぁ宗時さん。せっかくのお気遣いありがたく頂戴しましょう」


 スクリナはそう言うとグイグイと俺の腕を掴んで引っ張っていく。そしてベットヘ押し倒す。


 「そ、そのまだこういうのは早いと思うんです」
 「何をいってるんですか」


 そう言うと俺をうつ伏せにさせてその細く、しかし剣士としての努力の伺える手が俺の背中を這う。


 「はぇ」 
 「何ですかその声は。それにしてもどうです。気持ちいいですか」
 「ああ最高だ。ここが天国だといわれても信じるよ」


 そう、それほどまでにスクリナのマッサージは気持ち良かった。
 今まで、この世界に来てまだ半年も経ってないのに本当に色々な事があった。マックに助けられて冒険者になって。世界大会で優勝して、大好きなスクリナとも出会った。ついさっきは魔王を倒した。
 本当に色々な事があった。そして、これからも色々な事が起こるんだろう。まるで本物のラノベの主人公のように━━━


 「これからもよろしくな」
 「急になんですか、しんみりとしちゃって」


 そういって首をかしげるスクリナ


 「大好きだよスクリナ。お休み」
 「ほぇ~、わ、私もですよ。おやすみなさい宗時さん」


 そう頬を赤らめてマッサージをやめると布団に潜り込んでくる。そうして二人、顔を互いの吐息が触れあう位の距離まで寄せて手を繋ぐと眠りに付いた。
 俺はこの日人生で最高の夢を見ることができた。


 (/。\)


 「お早うございます」


 目を覚ますとベッド脇の椅子に腰かけているスクリナの姿があった。それも戦闘の服装ではなく、ドレス姿のだ


 「おはよう。その服似合ってるね。かわいいよ」
 「本当ですか!ありがとうございます」


 そうニコニコしながら答えると椅子から立ち上がりベッドに手をつくと俺の額にそっとキスをしてきた。


 「え!?」
 「おはようのキスですよ」


 そうイタズラっぽく笑うとベッドから離れて行く。


 「先ほど執事の方から朝食の用意が出来ていると言いに来られたので着替えて行きましょ」


 俺は手早く着替えを済ませるとスクリナと二人、歩き出した。
 食堂に着くと既に他の皆は集まってきていた。俺達は皆と挨拶をすると席に座り朝食を食べる。


 「宗時君君に一つお願いがある」
 「何ですかそんな改まって」
 「今回魔王の侵略によって3ヵ国がなくなった。そうすると領土拡大を目指す者達が現れる。
 そこでだ昨日急遽魔法会談を行い3ヵ国のあった場所、全ての土地を宗時君の物とすることで決まった。
 またそこには形式的に国を建国することになる。そして建国と同じに全世界へ向けて正式なスクリナ姫と宗時君の婚約を発表することになった」


 うん、なに言ってんだここおじさん。国か、そうか国~。国を作るのか。あはあははははは━━━
 なんでだろう。なんでいつも俺の希望の斜め上を行くことを決めてくるかな、それお願いじゃないよね。決まってるし。


 「えっと・・・断る事はできますか」
 「・・・すまない」
 「そうですか・・・。では聞きます。つまり現在をもって陛下と俺は対等な立場になった、と考えていいのですか」
 「もちろんだ。いやむしろ君の方が人としての地位だけでなく国としての地位も上かもしれないが」
 「ではもう一つ。あの土地の資源は自由にしていいのですね」
 「かまわない。全て君のものだ」


 ああ、これはいよいよ断れなくなってきた。いや最初から断れなかったか・・・


 「はぁ、わかりました。いただきます」
 「では早速だが服を用意させてあるから直ぐに着替えてきてくれ」
 「はぁ・・・わかりました」


 俺は執事に促されるまま衣装部屋に行き1時間で着替えを終えると王宮のテラスへと来ていた。そこからは帝都が一望でき眼下には沢山の人が集まっていた。


 「諸君らは知っているだろう、魔王について。そうたった数日で3つの国を滅ぼした災厄だ。しかし、それはもういない。何故ならばここにいる彼、そう宗時君が討ち果たしてくれたからだ。
 我らの世界の英雄に感謝を述べよ。そして誇りに思え我らが勇者はこの国から生まれたと言うことを!」


 暫くの間宗時に向けて感謝の言葉が飛び交った。宗時は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染めて俯きたくなってしまった。
 誰だろうとこんなことをされれば、どんな羞恥プレイだよ!と叫びたくなるだろう。ある意味ベッドの下に隠していたエロ本を親に机の上に出されていた時よりも恥ずかしい。


 「そして報告がある。この度我らの英雄は魔王によって滅ぼされた全ての土地の新たなる王となる。そしてその妃として我らと最も繋がりの深いブリテンの姫ぎみスクリナとの婚約が決定した。ここで二人に建国宣言と少しばかりの話をしてもらおう」
 「えぇっとはじめまして宗時です。私なんかが王でいいのかわからないですがやるからには平和な国にしたいと思います。
 来るものは拒みません。しかし私は絶対に犯罪を許しません。
 ここにサラーム王国の建国を宣言します」
 「「「「「「「「うぉぉぉぉ!!」」」」」」」」」


 何故か雄叫びが上がった。なぜ? 
 そして雄叫びがおさまるとスクリナが挨拶をして、さらに今回の魔王討伐のメンバーの紹介をする。マモン達は驚かれたが騎士達にしたのと同じような演説をマモンがしてくれたおかげで何も起こらずに済んだ。
 そうして俺達は王宮内へ戻った。


 「これで宗時さんも一国の王ですね」
 「そうだね。でも何をしたらいいか」
 「それはまずお城を建てて、使用人を雇わないと。あとは克己を作らなければですね」
 「あぁ~鬱だ・・・」
 「そんな事言ってる場合じゃないぞ宗時陛下。早速移住届けがこんなにあつまっているというのに」


 そう言いながらラスノマは両手いっぱいに紙の束を抱えてやって来た。


 「はぁ、わかりましたよ。ではいってきますか」


 そうして俺達はカムサ帝国より南西の最も開けた土地に転移魔法で移動した。


 「ここでいいか」


 そうして俺は《メモリーメイク》を使って日本のお城をイメージした、というか実際にあるお城の外観をまるパクして一瞬で作り上げた。内装はアニメで見た物に近づけてある。


 「こんなんでどうかな」
 「いいと思いますよ。とってもかっこいいです」
 「あぁいいじゃねぇか」
 「そうですね」
  

 とりあえず中に入る。今は地下に作った地熱発電を利用して電気をつけている。これがないと現代日本人には不便だからな。


 「きれい・・・」


 玄関の天井にあるシャンデリアを見上げてそう呟くスクリナ。


 「気に入った?」
 「はい!とっても」


 続いて外に出ると庭を作る。これも日本庭園風に仕上げた。樹などは似ているものがどこからか持ってこられている。しっかりと枯山水に池もある。


 「どれも美しいですね。これは宗時さんの元いた世界のものですか」
 「俺のいた世界というよりかは、俺のいた国のものだけどね」


 今度は塀だ。これも日本風に仕上げたが、四隅には要石がおかれそこからそれらを繋いで城を囲む大きな結界を張った。
 これでここの安全はほぼ保証された。


 続いて隣の国との街道を繋げる。サラーム王国は現在2つの大国、カムサ帝国とサルハマラ及びメイラスト連合王国。
 そして2つの小国、ブリテン騎士王国とルーメイデン公国と接している。
 そこで4つの国に繋がる大きな街道を作る。これも《メモリーメイク》で地面はアスファルトになっている。


 次に城下町、この国の王都の建設を始めたところでサタンから話があると言われ振り向いた。


 「主様。恐れながら私はこれ以上はやらない方がよいかと愚考致します」
 「なんで?」
 「主様は今や一国の王。もし、王が全てをなされてしまうと民の仕事が無くなってしまいます。さすれば民は考えることを止め、この国の発展に支障を来すやも知れませぬ。それでは民の為にもならないかと」
 「確かに・・・。ありがとう。皆のことまで考えてくれて嬉しいよ」
 「もったいなき御言葉」


 そう言うと下がっていった。そこで俺はサタンの意見も踏まえて道と作業している間泊まるためのビルだけ建てる事にした。


 「よし!出来た」
 「お疲れ様。また凄いものを建てましたね。
 そ・れ・と・宗時さんいい顔になりましたよ」
 「え、それどういうこと?」
 「それはヒミツです」


 そう言うとスクリナはお城へ戻っていってしまった。
 俺は取り敢えず住民の受け入れが整った事を知らせにカムサ帝国へ行った。


 「わかった。ではその旨を伝える。わざわざ連絡してくれてありがとう」
 「どういたしまして、では俺はこれで」


 そう言って俺は城へ戻る。今日はもう一つ行く場所があるのだ。
 城へ着くと直ぐにスクリナを連れてある場所へ向かった。


 「久しぶりだな」
 「はい、お久しぶりですペンドラゴンさん。今日は建国の挨拶に来ました。これからもよろしくお願いします」
 「ああこちらこそよろしく。それで、しっかりと国として動き始めたら同盟を結ばないか」
 「はい!喜んで」
 「それとうちの騎士で何人かそちらに行きたいと言っている者がいるのだか受け入れてくれないだろうか」
 「いいんですか」
 「あぁ、もともと彼らはスクリナに付いてきてた者達だからな仕方ないさ」


 これはラッキーだ。ブリテンの騎士は数こそ他の国に劣るが一人一人の技術が高いときく。


 「ではぜひ、いつでもお待ちしているとお伝えください」


 俺達は挨拶を済ませると国に戻った。まだまだやることは多いのだ。


 ちょうど宗時とスクリナがブリテンへ行っている頃ロゼフは宗時に頼んでカムサ帝国の王宮にいた。


 「それで用とはなんだ」
 「はい、一つお願いがありやって参りました」
 「言ってみろ」
 「騎士団を脱退させていただきたいのです」
 「なぜだ」
 「宗時様について行きたいと思ったからです」
 「ふむ。お前はこの国の副団長なんだぞ、迷惑がかかるとか、斬られるとか思わなかったか」
 「思いました。しかし、いずれ宗時様はあなたより偉大な事をなしえると確信しています」


 ロゼフは背中を嫌な汗が流れるのを感じていた。ラスノマはこのような事で斬ったりする人ではない事は知っている。
 しかし、斬らないと言っても出ることを許すかどうかは別問題だ。


 「・・・いいだろう。行ってくるがいい、そして宗時君を支えてやれ」
 「は!ありがとうございます」


 こうして俺は晴れてカムサ帝国騎士団を脱退することに成功した。


 宗時は全員が会議室に集まった事を確認すると話を切り出した。


 「皆に集まって貰ったのは色々と聞いてもらうことがあるからだ。
 まず聞いてもらいたいのは役職の任命と説明をする。」


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 マモン:執事
 内容:宗時の仕事のスケジュール管理、雑事


 レヴィアタン:メイド長
 内容:ベッドメイク、掃除、洗濯、客人のもてなし、給事など


 ベルゼバブブ:料理長
 内容:メニューの決定、調理、料理人の育成


 ロゼフ:騎士団長
 内容:騎士の育成、活動報告、治安維持


 サタン:魔術師団長
 内容:魔術師の育成、活動報告、魔法具の開発


 アスモデウス:政務大臣
 内容:短期院と長期院の議長、活動報告、


 マック:内務大臣
 内容:建設、商業税の徴収、住民税の徴収、活動報告


 ルシュフェル:財務大臣
 内容:税金の管理、活動報告


 ベルフェゴール:外務大臣
 内容:外交、大使の管理、活動報告


 スクリナ:法務大臣
 内容:裁判の進行、裁判官の管理、活動報告


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 「以上が役職とその内容だ。暫くの間は決まった事などを紙にまとめて俺のところに持ってくるように。わからないことがあったら逐一聞きに来るように。 


 次は短期院と長期院についての説明だ。これはこの国でどんなことを行うか考え決めるための場だ。これに参加できる者は国民の一部の者で、選挙、といわれる方法で決められた者達だけだ。
 参加したい者は立候補という参加しますよという事を皆に発表し、どんな事を自分がするか宣言する。そしてその人の考えに賛同できる人が票というものを入れて、この票が多い順に決まる。
 また短期院の任期は2年、長期院の任期は5年だ。なぜ任期を分けるかと言うと。
 短期院は任期が短いため次も当選するためにより国民の意見に沿った事を考えられるようにする。
 それに対して長期院は任期が長いため国の事を考えられる。 
 こうして国の為だけで、国民を苦しめる政治にならないようにしながら、国民の為だけになって国が苦しむような政治にならないようにバランスを調節するのだ。


 最後にこの国のルールとなる法律を定める。これにはこの国でしていいこと、してはいけないこと、また犯罪を犯したときにどのような罰則があるかなどがかかれている。スクリナはこれに書いてある事を考慮しながら犯罪者を裁判にかけ刑を決めるのだ」


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 サラーム王国憲法


 第1章、国王と国民について


 1、国王はこの国の代表であり、王家の中から選ばれる。


 2、国王は両院での決議に関与してはいけない。


 3、国王は両院に議題を提案できる。


 4、国王は騎士団、魔術師団の私的利用を禁止する。


 5、国民は皆、国から発行される国民表を所持する義務を有する。


 6、国民は皆、安全で健康的な暮らしを約束される


 7、国民は現行犯を捕縛する権利を有する。


 8、国民どうしのトラブルがあった場合は解決を裁判所に求める権利を有する。


 9、5歳以上、10歳以下の子供は普通教育を受ける権利と義務を有する


 第2章、政治について


 1、国の政治は短期院と長期院で行われる。


 2、短期院は原則任期を2年とし、人数は60人とする。


 3、長期院は原則任期を5年とし、人数30はする。


 4、何かを決める際は各院の2/3以上の賛成を必要とする。


 5、憲法を改正する場合のみ各院の2/3以上の賛成を得た後、国民投票を行い国民3/5以上の賛成を得る必要がある。


 6、国王は両院で決定した事に対して決議のやり直しを求める事ができる。


 第3章、選挙について


 1、選挙は公正なものとする。


 2、立候補する際には国に銅貨20枚を納める


 3、立候補者に不正が確認できた場合は立候補の取り消しと裁判により刑がくだされる。


 4、立候補者は満15歳以上の者のみとする。


 5、投票権は満11歳以上の者のみとする。


 6、投票権を保有する者は原則投票しなければならない。


 第4章、外国とについて


 1、サラーム王国からの侵略行為一切を禁止する。


 2、外国からの侵略行為、宣戦布告があった場合は上記の通りではない。


 3、同盟は両国が内容に同意した場合のみ成立する。


 4、同盟には原則国王の立ち会いを必要とする。


 第5章、騎士団について


 1、騎士団に入団するには年に2回行われる入団試験のいずれかに合格する必要がある。


 2、騎士団は国民を守る義務を有する。


 3、騎士団は国民の安全を最優先とする。


 4、騎士団は国が定めた給料を得る権利を有する。


 5、騎士団は国に使える部隊である。


 6、騎士団は犯罪を犯した者を捕まえる権利を有する。


 第6章、魔術師団について


 1,魔術師団に入団するには年に2回行われる入団試験のいずれかに合格する必要がある。


 2、魔術師団は国民を守る義務を有する。


 3、魔術師団は国民な安全を最優先とする。


 4、魔術師団は国が定めた給料を得る権利を有する


 5、魔術師団は国に使える部隊である。


 6、魔術師団は魔法具の開発をする機関でもある。


 第7章、裁判について


 1、裁判官は公正な判決をする義務を有する。


 2、判決は裁判官がくだすものとする。


 3、普通裁判所での裁判は裁判官一人と裁判員3人、犯罪者または原告人(訴えた人)と被告人(訴えられた人)で行われる。


 4、上級裁判所での裁判は裁判官一人と裁判員5人、犯罪者または原告人と被告人で行われる。


 5、王国最上級裁判所での裁判は裁判官一人と裁判員10人、犯罪者または原告人と被告人で行われる。


 6、裁判は公開する義務を有する。


 7、裁判官及び裁判員は一切の私情を挟む事を禁止する。


 8,判決に不満がある場合は上告(一つ上の位の裁判所で裁判すること)する権利をえる。


 9、裁判員は国民から無作為に選ばれ、選ばれた国民は原則裁判員として裁判に出席する義務を有する。


 第8章、騎士裁判について


 1、犯罪者は裁判所での裁判を受ける権利を有する。


 2、犯罪者は裁判で弁護人(犯罪者を守る為に発言する人)一人を自分で選ぶ権利を有する。


 第9章、国民裁判について 


 1、原告人、被告人はそれぞれ弁護を弁護人二人から受ける権利を有する。


 2、国民同士の裁判では判決の前に当事者同士で和解が出来たのならそこで裁判を終える権利を有する。


 第10章、刑について


 1、犯罪者は全員等しく刑を受ける権利を有する。


 2、他人の物を盗んだ場合は罰金として銅貨200枚から500枚。または禁固3年以下、もしくはその両方を受ける。
 (窃盗罪)


 3、他人の傷つけた場合は罰金として銀貨1枚から10枚。または禁固10年以下、もしくはその両方を受ける。
 (傷害罪)


 4、他人を殺害した場合は禁固20年以上、100年以下。または無期限とする。
 (殺人罪)


 5、犯罪者に情状酌量の余地があると認められた場合にのみ執行猶予(刑を受けるまで期間があく。またこの時犯罪を犯さず、反省した事が伺える場合に限り罰金を払うことによって禁固刑を免除する制度)を受けることができる。


 第11章、税について


 1、サラーム王国の国民は国に対して全員住民税(年に一度銅貨200枚)を払う義務を有する。


 2、サラーム王国で商売をする場合その商売の代表者は利益の5%を国に納める義務を有する


 3、集められた税は騎士団員、魔術師団員、裁判官など公務員の給料、また医療機関、子供の教育の為に使われる。


 4、国は緊急時に限り住民税とは別に税を徴収する権利を有する。


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 「以上が憲法、この国のルールだ」
 「ここまで細かく決められていれば解りやすくていいですね」
 「少し細かすぎる気もするがな」
 「何をいっいるんですの、主さまの優しさが滲み出ているではありませんの」


 どうやら憲法について少しは理解してくれたようだ。
 これでおおよその事は決まったし、あとは移住者を待つのみだ。


 そして4日後最初のグループが到着した。


 「主さま、カムサ帝国側から移住者と思われる一団が来ています」
 「わかった。ではマックとロゼフは人々の誘導を、ベルゼバブブ達料理人は彼らのご飯を用意してくれ。他は待機するように」 


 俺は全員に指示を出すと窓から外を眺めた。どうやら誘導は順調のようだ。今日はもう遅いが明日から作業を開始してもらおう。
 宗時はそう考えながら人々を出迎えるために用意したビルへ向かった。


 「ようこそいサラーム王国へ。私はこの国の王宗時です。現在は何もない国ですが皆さんと一緒に大きないい国にしていけたらと思います。現在皆様にお配りしているのは憲法書といって、この国のルールに関する事が書かれた物になります。
 さて、ご覧の通りまだ何もない国です。明日からは大人達はここにいるマックの指揮のもと家屋の建設に当たってもらいます。材料はこちらで用意するのでご心配なく。
 また家が完成するまではこちらで用意した部屋をお使いください。食事も三食こちらで用意します。他にも必用なこと、わからないことがあればここにいる。マックとロゼフ、あと私は配下の悪魔達に聞いてください。
 お子様、5歳から10歳までの方は明日から学校という物に通ってもはいます。もちろん授業料はタダですので明日のあさ私の指示に従って来て下さい。では今夜はゆっくりとお休みください」


 こうして明日からの説明を終えた俺はあとをマック達に任せてお城へ戻った。明日から忙しくなりそうだ。


 「おはようございます。今日から頑張りましょう!」


 朝の挨拶を終えると俺は集まった子供達50人ばかりを連れて最上階へと向かった。
 このビルは50階建てとなっており今後は医療機関などとして活用する予定だ。


 「おはようございます」
 「「「「「「おはようございます陛下」」」」」」
 「今日はここで何をするのか説明します」


 まずは呼び方を先生にするところから始めた。次に教えること、ここでは算数と国字(神霊文字)、共通字(エトワイセ文字)
社会、理解を教える事にした。他にも学校がどのような場所なのかということを説明した。実は今何人かの悪魔に教師になるためにこれらを教えているのだ。


 「以上がここで習うことです。わかりましたか」
 「はーい!」
 

 そうして手を挙げる子供達、なんだか本当に先生になった気分だ。実際先生なのだが、まだ向こうでは成年してないが故にあまり実感が持てないのだ。


 「次にこれから使うものを配ります」


 そうして、ランドセル、鉛筆、消しゴム、筆箱、ハサミ、のり、テープ、教科書、ノートを配った。どれも手作りだ。
 それを嬉しそうに受けとる子供達。なんか小学校の入学式の日は自分もこうだったな、と昔の事を思い出す。


 「次にこれはお父さんお母さんに渡してください。ではこれから休憩時間にします。あれの針が12になったら戻ってきてください。では解散」


 こうして休み時間にする。おれは時計について早く教えなきゃな、と思いながら教卓の椅子に腰かけた。
 1時間目の授業は数学だ。数の数え方と数を使った遊びをして終わった。
 2時間目の授業は社会だ。この世界にはあまり歴史書というのがないので皆で英雄譚を読んだり、俺の魔王との戦いについて話したりして終わった。今のところ一番楽しそうだった気がする。 
 社会が終わると中休みだ。小学校のときそんなのがあったなって思って作ったのだ。皆で砂を敷いて遊具などを設置してある屋上へ行って遊んだ。ちなみにこの後はお昼を食べに大人達の元へ行って皆でご飯を食べる。そうしてご飯を食べたら15分間お昼寝をして授業再開だ。
 3時間目の授業は理科だ。俺が皆の前で塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて加熱する実験をして見せた。もちろん発生するのはアンモニア水だ。暫くの間教室にアンモニアの臭いが漂って最悪だったが、子ども達が楽しそうにしていたので成功だろう。
 4時間目は国字だ。始めてみる文字に最初は戸惑っていた子ども達だがこれが神霊文字だとわかると興奮していた。一部では雄叫びを上げる子もいたほどだ。
 こうして夕方になり今日の授業は終わった。学校初日は成功と言えるだろう。
 その後皆で夕食を食べて寝る。こうして作業一日目は無事誰も怪我することなく終わった。

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