転生しても中二病は治らなかったけど魔法が使えるようになりました。
1話
中二病、それはときに差別の対象になる。学校に一人くらいはいたのではないだろうか、自分をヒーローやなんかと勘違いしている人が。
しかし、世間は中二病の事を誤って認識している。
中二病、それは思春期に起こる病である。
その患者は急に苦手なブラックのコーヒーを飲みだしたり
急に親に大好きな親に冷たくあたったり
急に孤高を気取ってみたり
急にヒーローだと偽ったり
実に様々だ。つまり変な行動をする人だけが中二病なのではない。もしかしたら自分も中二病なのかもしれない。
そして中二病はある日突然発病する。
そう。彼のように━━━━━━━
*****
「破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!」
「翔君大丈夫?次技術で移動だよ」
「HAHAHA~。大丈夫ぜ玉置さん、ありがとう!」
そう彼こそが急に中二病を発病してしまった人であり、このお話の主人公、時哉翔だ。
彼は現在中学一年生。彼が中二病を発病したのは今年の夏だった。
彼は元々真面目な生徒であった。勉強はしっかりとこなし中間、期末と学年トップ。その上勉強を教えるのが上手で優しく、苦手な運動も練習をしっかりとこなし見事成績オール五を取った。そんな彼だからこそ中二病になっても心配こそされどバカになどされず今もこうして生活していけるのだ。
しかしそんな彼にも一つ問題があった。それは中二病の内容である。彼は破壊を好むようになり色々な物を壊すようになった。シャーペンをおり、消ゴムを裂き。筆箱を切り刻む。未だに公共物は壊していないがいつ壊すかわからない状態だ。
そんなある日ついに問題が起こった。今回はその少し前から話して行こう。
*****
今日の次の授業は音楽だ。音楽室までは階段を昇り、職員室の前を通らなければならない。しかしそんな日に限って彼の破壊衝動は高まっていた。
「翔、ここはあぶねぇから回ってこうぜ」 
「何をいう!男なら迷わず正面突破だ!例え火の中水のなか破壊して進むまで!!」
「ちょっ待て走るなよ転ぶぞ」
廊下は休み明けということもあってキレイになっており、滑りやすかった。更に現在翔は上履きを忘れてスリッパだった。こうなれば道は一つだ。
パッン!ガランガラン
職員室前にあったショーケースがのガラスが割れ更に中にあった壺も割れてしまった。
「あっちゃ~やらかしたな。翔、俺たちもついてってやっからよ謝りに行こうぜ」
そのときだった。一瞬廊下にいる人の目を強い閃光が襲う。一瞬だった。一瞬だったがその一瞬で時哉翔の全てが変わった━━━━
*****
ここは・・・どこだ?
知らない天井。知らないベッド。知らない人達。
私は転んで・・・ショーケースにぶつかって・・・そのあとどうした??
「お兄ちゃ~ん。よかった。よかったよ~」
「おいどうしたんだレイ」
レイ・・・レイとは誰だ!?
レイとは私の妹のレインの事だ。
私の妹?私に妹はいない、私は翔・・・時哉翔だ!
いや、レイは私の妹だ。
じゃあ私は誰だ!
私はタスクだ。タスク・ルレイルだ。
タスク・ルレイル・・・いや私は翔だ! 
私は、入れ替わった。私は翔でありタスクだ。体はタスクだが心は翔だ。
「もぉ~お兄ちゃん!なにぼーっとしてんの!私、いっぱい。い~っぱい心配したんだからね!!」
「すまなかったな!でも俺は問題ない。大丈夫だ!」
「私・・・。お母さ~ん。お兄ちゃんがおかしくなったよ~!」
そのままレイは泣いて出ていた。どうやら私は転生?というやつをしたらしい。そして今の私の名前はタスク・ルレイル。
言葉はわかる。文字も・・・読める。今までの記憶もある。ただ日記を読んでいるような感覚だが。
暫くして私の元に母親がやって来た。どうやら私は崖から落ちそうになったレイを助けて逆に自分が落ちたらしい。なんとも間抜けだ。
しかし、面白い!この世界には魔法がある。ギルドがある。まるでゲームのような世界だ。 
「まっ、無事ならいい。さ、さっさと勉強しな!あんた学者になるんだろ」
「は、学者るそんなもんやらない。私はただひたすらに壊すのみ!そう破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!」
「あんたはなにいっとんだボケ!」
おもいっきり強烈な拳骨をくらった。ものすごくいてぇ。
「ちょ、何すんだよ!」
「何すんだよ!じゃねぇわアホ息子が!!な~にが「破壊の先にこそ究極の美がある!!」だ。アホいってんじゃねぇわ!そんなに壊したかったら父さんの手伝いでもしてこい」
父さんの手伝いに行こうと私が扉をあけると今度は後ろから蹴りを入れられ止められた。何でも危険だからダメなんだそうだ。なら最初からそん事を言うなって話だ。
あれは強烈だった。結局あれからまた寝込み起きたら夜だった。
「━━━━で、バカな事をいうから殴ってやったのよ。そしたら直ぐ伸びちゃって。ほんと、どの口がいってんだかね」
「いやいや、お前に殴られて生きてんだから凄いと思うぞ」
「んぁ!?なんか言ったかボケ」
「親父、頼みがあるんだ。私、冒険者になりてぇ」
「よし!わかった行ってこい!」
「ありがとう!!」
「なら私もついていく。絶対についていくからね!」
「やりたいようにやってこい!」
その晩。直ぐに荷物をまとめる。これでやっと明日からは自由の身だ!
「じゃあ行ってくる!」
「レイ、ちゃんとタスクの手綱握っときなさいよ!」
「大丈夫だよ。そんなことしなくてもお兄ちゃんまともたから」
「どこがだ。まぁいいさっさと行きな。何かあったらちゃんと戻ってくるんだよ」
タスクとレインはまず冒険者組合に登録するため町の中央にある冒険者ギルドへ向かった。
「おお、ルレイルのタスクとレインじゃねぇか。どうしたんだこんなとこへ」
「おじさん。私達冒険者になるから登録お願い」
「そうだったのか、おうよじゃあまずそこのクリスタルに触れてくれ」
クリスタルに触れると身体中を何かが流れる感覚に襲われる。これはクリスタルに触れたことで今まで塞き止められていた魔力がからだ全体に行き渡ったのだ。またこれにより触れたものは自分のステータス。能力を数字としてみることができるようになった。
ステータスは手のひらから浮かび上がりモンスター討伐などによって上昇する。
またステータスには魔法の適正も書き込まれる。
「やった~。お兄ちゃん、私全部適正があったよ。ってどうしたのお兄ちゃん?」
「いや、何でもない。良かったじゃねぇか、さすが私のシスターだ」
「シスター?私修道女じゃないよ」
「よし、お前達。ステータスを見せてくれ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レイン
体力 10
物理攻撃力 1
物理防御力 0
魔法適正
火・水・風・土・光・闇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
タスク
体力 20
物理攻撃力 5
物理防御力 0
魔力 2020
固有魔法
破壊・創造
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「なんだいこれは!?クリスタルが壊れでもしたのかよ」
「どうしたの?どうしたの?」
「あ、 タスクの項目に魔力とかいう意味がわからんのが入ってるからだよ」
「なになに?お兄ちゃんってすごいの??」
「すごいなんてもんじゃねぇ。新しいステータスを発言させたんだから」
「HAHAHA私が凄いのは当然さ。私を誰だと思っている。私はタスクだぞ・・・」
殴られた。凄く痛い。まさか私が妹に殴られるとは・・・
「もう、バカなこといってないの!」
「すまんな。どうやら原因は掴めそうにない。とりあえず登録を進めるか」
ギルドに、自分のステータスと名前を登録する。こうすることで世界中のギルドで自分にあった依頼を用意してもらえるのだ。
また、パーティー登録をすることでそのパーティーにあった依頼も用意してくれる。
他にも受付の横に張り出されている依頼を選んで受けることもできる。
「よし、終わったな。じゃあまずはレインの魔法について説明すっからついてこい」
町を離れて開けた平原に来ていた。ここでなら誰もいないので安全だ。
魔法、それは聖霊と契約し、その力をかりて行使する力。聖霊はその人の資質によって契約できる位が異なり、下位、中位、上位と別れる。一つの属性ごとに聖霊は一体までしか契約できない。しかし、聖霊は共に戦うことで位が上昇する。
また聖霊と契約する際に決まった言葉はなく、自由に心を込める事が大切だ。
「わかりました。やってみます!」
【私はお兄ちゃんを助けたい。だからそのための力を貸してください】
 
その瞬間あたり一帯を暴風が包み込む。やがてそれは収束し一人の人の形をとったなにかになった。
「私は風の上位聖霊ジン。あなたの呼び掛けに応じあなたと契約しましょう」
「お、お願いします」
レインはその後もスムーズに契約を終え、風の上位聖霊、火下位聖霊、水の中位聖霊、土の下位聖霊、光の上位聖霊、闇の中位聖霊と契約することができた。これは一般的にみてとても異例と言えるだろう。全属性に適正を持っているものでさえ珍しいのに、契約うち聖霊のうち二体が上位聖霊というのは異常だといえる。
「うむ、無事契約できたみてぇだな。しかしまぁ、よく上位聖霊を二体も出せたな。こりゃ大物になるに違いねぇ。で、タスクの方だが・・・」
「ああ、問題ない。私は既に使い方を熟知しているからな!見ていろ」
私は少し離れた丘の上に意識を集中させる。
【破壊】
次の瞬間。ものすごい轟音と共に丘が吹き飛びなくなった。
「おいおい、なんだありゃ。隕石でも落ちたのかよ・・・」
「ち、ち、ち~、違うね。これが私の魔法。破壊だ。破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!この言葉通り私の魔法はここからだ」
今度は破壊した丘があった場所に意識を集中させる。
【創造】
するとあたりにあった丘の残骸がみるみるうちに集まり一つの大きな像になった。
「破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!」
そう、今タスクは破壊した丘の残骸から像を創造したのだ。これがタスクの魔法、破壊と創造だ。
破壊はそこにあるものを壊す魔法。そして創造はその残骸から物を造り出す魔法だ。錬金術に近いかもしれない。そこにないもの、タスクが認識できないものは壊せないし、創造できない。そうゆう魔法だ。
「ああ、もうヤバイなこれ。とんでもねぇや。さっさと帰るぞ」
「お兄ちゃん、ちゃんとそこ直しときなさいよ!!」
こぇぇ、ヤバい。これは新しい母さんが誕生したかもしれない・・・
像に意識を集中し破壊、その後その残骸から丘を元に戻してレイン達のあとを追った。
「さっ、あとはランクについてだけだが。まあお前達も最初は初心者から。と、言うことで1だ。ランクは1から10まであって、依頼の達成数と成功確率によって上下する。つまり、依頼を失敗し続ければランクダウンもあり得るわけだ」
「はっ、私の辞書に失敗の文字はない。だからそんなこと問題ではない!」
まあ、要は失敗しなければいいわけで、自分の身の丈以上の依頼を受けなれば問題ない。
「以上で説明は終わりだ」
「ありがとうございました。では私達はこれで失礼します」
「おう、頑張れよ!」
これで私たちも晴れて冒険者になったわけだ。さ、とりあえず目指すはランク10。そのためにはここよりもっと大きな町にいかなくちゃだ。と、いうわけでまず向かうのはこの国にある九つの大都市の一つウォーレンだ。
ウォーレンはここよりはるか南に位置する港町で近くには広大な森林が広がり多くのモンスターがいる。冒険者にとって絶好の狩り場だ。
「さ、妹よ目指すはウォーレンだ。馬を用意するぞ」
「ねぇ、お兄ちゃんその前にお金・・・ないよ」
うっ・・・そうだった。金が、馬を借りる金がねぇ。
「ほら、とりあえずここら辺で依頼受けて行こ」
「そ・・・そうだな妹よ。私も同じ事を考えていたぞ。その・・・ホントだからな?な?」
「わかってるよ。ほらどれにしよっか」
「ん、ならこれとこれとこれのどれかにしよう!」
依頼が張られているボードから幾つか報酬の高価な物を選んで渡す。
「ねぇ、お兄ちゃん、話し、聞いてた?ねぇ、聞いてのかな?かな?かな?」
ヤバい妹の後ろに般若が、般若がみえる!!
その後、妹に拳骨をくらい、妹が選んできた依頼をおじさんに渡す。
「ずいぶんはぇな。ま、頑張れよ」
「はい、では行ってきます」
しかし、世間は中二病の事を誤って認識している。
中二病、それは思春期に起こる病である。
その患者は急に苦手なブラックのコーヒーを飲みだしたり
急に親に大好きな親に冷たくあたったり
急に孤高を気取ってみたり
急にヒーローだと偽ったり
実に様々だ。つまり変な行動をする人だけが中二病なのではない。もしかしたら自分も中二病なのかもしれない。
そして中二病はある日突然発病する。
そう。彼のように━━━━━━━
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「破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!」
「翔君大丈夫?次技術で移動だよ」
「HAHAHA~。大丈夫ぜ玉置さん、ありがとう!」
そう彼こそが急に中二病を発病してしまった人であり、このお話の主人公、時哉翔だ。
彼は現在中学一年生。彼が中二病を発病したのは今年の夏だった。
彼は元々真面目な生徒であった。勉強はしっかりとこなし中間、期末と学年トップ。その上勉強を教えるのが上手で優しく、苦手な運動も練習をしっかりとこなし見事成績オール五を取った。そんな彼だからこそ中二病になっても心配こそされどバカになどされず今もこうして生活していけるのだ。
しかしそんな彼にも一つ問題があった。それは中二病の内容である。彼は破壊を好むようになり色々な物を壊すようになった。シャーペンをおり、消ゴムを裂き。筆箱を切り刻む。未だに公共物は壊していないがいつ壊すかわからない状態だ。
そんなある日ついに問題が起こった。今回はその少し前から話して行こう。
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今日の次の授業は音楽だ。音楽室までは階段を昇り、職員室の前を通らなければならない。しかしそんな日に限って彼の破壊衝動は高まっていた。
「翔、ここはあぶねぇから回ってこうぜ」 
「何をいう!男なら迷わず正面突破だ!例え火の中水のなか破壊して進むまで!!」
「ちょっ待て走るなよ転ぶぞ」
廊下は休み明けということもあってキレイになっており、滑りやすかった。更に現在翔は上履きを忘れてスリッパだった。こうなれば道は一つだ。
パッン!ガランガラン
職員室前にあったショーケースがのガラスが割れ更に中にあった壺も割れてしまった。
「あっちゃ~やらかしたな。翔、俺たちもついてってやっからよ謝りに行こうぜ」
そのときだった。一瞬廊下にいる人の目を強い閃光が襲う。一瞬だった。一瞬だったがその一瞬で時哉翔の全てが変わった━━━━
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ここは・・・どこだ?
知らない天井。知らないベッド。知らない人達。
私は転んで・・・ショーケースにぶつかって・・・そのあとどうした??
「お兄ちゃ~ん。よかった。よかったよ~」
「おいどうしたんだレイ」
レイ・・・レイとは誰だ!?
レイとは私の妹のレインの事だ。
私の妹?私に妹はいない、私は翔・・・時哉翔だ!
いや、レイは私の妹だ。
じゃあ私は誰だ!
私はタスクだ。タスク・ルレイルだ。
タスク・ルレイル・・・いや私は翔だ! 
私は、入れ替わった。私は翔でありタスクだ。体はタスクだが心は翔だ。
「もぉ~お兄ちゃん!なにぼーっとしてんの!私、いっぱい。い~っぱい心配したんだからね!!」
「すまなかったな!でも俺は問題ない。大丈夫だ!」
「私・・・。お母さ~ん。お兄ちゃんがおかしくなったよ~!」
そのままレイは泣いて出ていた。どうやら私は転生?というやつをしたらしい。そして今の私の名前はタスク・ルレイル。
言葉はわかる。文字も・・・読める。今までの記憶もある。ただ日記を読んでいるような感覚だが。
暫くして私の元に母親がやって来た。どうやら私は崖から落ちそうになったレイを助けて逆に自分が落ちたらしい。なんとも間抜けだ。
しかし、面白い!この世界には魔法がある。ギルドがある。まるでゲームのような世界だ。 
「まっ、無事ならいい。さ、さっさと勉強しな!あんた学者になるんだろ」
「は、学者るそんなもんやらない。私はただひたすらに壊すのみ!そう破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!」
「あんたはなにいっとんだボケ!」
おもいっきり強烈な拳骨をくらった。ものすごくいてぇ。
「ちょ、何すんだよ!」
「何すんだよ!じゃねぇわアホ息子が!!な~にが「破壊の先にこそ究極の美がある!!」だ。アホいってんじゃねぇわ!そんなに壊したかったら父さんの手伝いでもしてこい」
父さんの手伝いに行こうと私が扉をあけると今度は後ろから蹴りを入れられ止められた。何でも危険だからダメなんだそうだ。なら最初からそん事を言うなって話だ。
あれは強烈だった。結局あれからまた寝込み起きたら夜だった。
「━━━━で、バカな事をいうから殴ってやったのよ。そしたら直ぐ伸びちゃって。ほんと、どの口がいってんだかね」
「いやいや、お前に殴られて生きてんだから凄いと思うぞ」
「んぁ!?なんか言ったかボケ」
「親父、頼みがあるんだ。私、冒険者になりてぇ」
「よし!わかった行ってこい!」
「ありがとう!!」
「なら私もついていく。絶対についていくからね!」
「やりたいようにやってこい!」
その晩。直ぐに荷物をまとめる。これでやっと明日からは自由の身だ!
「じゃあ行ってくる!」
「レイ、ちゃんとタスクの手綱握っときなさいよ!」
「大丈夫だよ。そんなことしなくてもお兄ちゃんまともたから」
「どこがだ。まぁいいさっさと行きな。何かあったらちゃんと戻ってくるんだよ」
タスクとレインはまず冒険者組合に登録するため町の中央にある冒険者ギルドへ向かった。
「おお、ルレイルのタスクとレインじゃねぇか。どうしたんだこんなとこへ」
「おじさん。私達冒険者になるから登録お願い」
「そうだったのか、おうよじゃあまずそこのクリスタルに触れてくれ」
クリスタルに触れると身体中を何かが流れる感覚に襲われる。これはクリスタルに触れたことで今まで塞き止められていた魔力がからだ全体に行き渡ったのだ。またこれにより触れたものは自分のステータス。能力を数字としてみることができるようになった。
ステータスは手のひらから浮かび上がりモンスター討伐などによって上昇する。
またステータスには魔法の適正も書き込まれる。
「やった~。お兄ちゃん、私全部適正があったよ。ってどうしたのお兄ちゃん?」
「いや、何でもない。良かったじゃねぇか、さすが私のシスターだ」
「シスター?私修道女じゃないよ」
「よし、お前達。ステータスを見せてくれ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
レイン
体力 10
物理攻撃力 1
物理防御力 0
魔法適正
火・水・風・土・光・闇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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タスク
体力 20
物理攻撃力 5
物理防御力 0
魔力 2020
固有魔法
破壊・創造
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「なんだいこれは!?クリスタルが壊れでもしたのかよ」
「どうしたの?どうしたの?」
「あ、 タスクの項目に魔力とかいう意味がわからんのが入ってるからだよ」
「なになに?お兄ちゃんってすごいの??」
「すごいなんてもんじゃねぇ。新しいステータスを発言させたんだから」
「HAHAHA私が凄いのは当然さ。私を誰だと思っている。私はタスクだぞ・・・」
殴られた。凄く痛い。まさか私が妹に殴られるとは・・・
「もう、バカなこといってないの!」
「すまんな。どうやら原因は掴めそうにない。とりあえず登録を進めるか」
ギルドに、自分のステータスと名前を登録する。こうすることで世界中のギルドで自分にあった依頼を用意してもらえるのだ。
また、パーティー登録をすることでそのパーティーにあった依頼も用意してくれる。
他にも受付の横に張り出されている依頼を選んで受けることもできる。
「よし、終わったな。じゃあまずはレインの魔法について説明すっからついてこい」
町を離れて開けた平原に来ていた。ここでなら誰もいないので安全だ。
魔法、それは聖霊と契約し、その力をかりて行使する力。聖霊はその人の資質によって契約できる位が異なり、下位、中位、上位と別れる。一つの属性ごとに聖霊は一体までしか契約できない。しかし、聖霊は共に戦うことで位が上昇する。
また聖霊と契約する際に決まった言葉はなく、自由に心を込める事が大切だ。
「わかりました。やってみます!」
【私はお兄ちゃんを助けたい。だからそのための力を貸してください】
 
その瞬間あたり一帯を暴風が包み込む。やがてそれは収束し一人の人の形をとったなにかになった。
「私は風の上位聖霊ジン。あなたの呼び掛けに応じあなたと契約しましょう」
「お、お願いします」
レインはその後もスムーズに契約を終え、風の上位聖霊、火下位聖霊、水の中位聖霊、土の下位聖霊、光の上位聖霊、闇の中位聖霊と契約することができた。これは一般的にみてとても異例と言えるだろう。全属性に適正を持っているものでさえ珍しいのに、契約うち聖霊のうち二体が上位聖霊というのは異常だといえる。
「うむ、無事契約できたみてぇだな。しかしまぁ、よく上位聖霊を二体も出せたな。こりゃ大物になるに違いねぇ。で、タスクの方だが・・・」
「ああ、問題ない。私は既に使い方を熟知しているからな!見ていろ」
私は少し離れた丘の上に意識を集中させる。
【破壊】
次の瞬間。ものすごい轟音と共に丘が吹き飛びなくなった。
「おいおい、なんだありゃ。隕石でも落ちたのかよ・・・」
「ち、ち、ち~、違うね。これが私の魔法。破壊だ。破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!この言葉通り私の魔法はここからだ」
今度は破壊した丘があった場所に意識を集中させる。
【創造】
するとあたりにあった丘の残骸がみるみるうちに集まり一つの大きな像になった。
「破壊は創造!破壊の先にこそ究極の美がある!!」
そう、今タスクは破壊した丘の残骸から像を創造したのだ。これがタスクの魔法、破壊と創造だ。
破壊はそこにあるものを壊す魔法。そして創造はその残骸から物を造り出す魔法だ。錬金術に近いかもしれない。そこにないもの、タスクが認識できないものは壊せないし、創造できない。そうゆう魔法だ。
「ああ、もうヤバイなこれ。とんでもねぇや。さっさと帰るぞ」
「お兄ちゃん、ちゃんとそこ直しときなさいよ!!」
こぇぇ、ヤバい。これは新しい母さんが誕生したかもしれない・・・
像に意識を集中し破壊、その後その残骸から丘を元に戻してレイン達のあとを追った。
「さっ、あとはランクについてだけだが。まあお前達も最初は初心者から。と、言うことで1だ。ランクは1から10まであって、依頼の達成数と成功確率によって上下する。つまり、依頼を失敗し続ければランクダウンもあり得るわけだ」
「はっ、私の辞書に失敗の文字はない。だからそんなこと問題ではない!」
まあ、要は失敗しなければいいわけで、自分の身の丈以上の依頼を受けなれば問題ない。
「以上で説明は終わりだ」
「ありがとうございました。では私達はこれで失礼します」
「おう、頑張れよ!」
これで私たちも晴れて冒険者になったわけだ。さ、とりあえず目指すはランク10。そのためにはここよりもっと大きな町にいかなくちゃだ。と、いうわけでまず向かうのはこの国にある九つの大都市の一つウォーレンだ。
ウォーレンはここよりはるか南に位置する港町で近くには広大な森林が広がり多くのモンスターがいる。冒険者にとって絶好の狩り場だ。
「さ、妹よ目指すはウォーレンだ。馬を用意するぞ」
「ねぇ、お兄ちゃんその前にお金・・・ないよ」
うっ・・・そうだった。金が、馬を借りる金がねぇ。
「ほら、とりあえずここら辺で依頼受けて行こ」
「そ・・・そうだな妹よ。私も同じ事を考えていたぞ。その・・・ホントだからな?な?」
「わかってるよ。ほらどれにしよっか」
「ん、ならこれとこれとこれのどれかにしよう!」
依頼が張られているボードから幾つか報酬の高価な物を選んで渡す。
「ねぇ、お兄ちゃん、話し、聞いてた?ねぇ、聞いてのかな?かな?かな?」
ヤバい妹の後ろに般若が、般若がみえる!!
その後、妹に拳骨をくらい、妹が選んできた依頼をおじさんに渡す。
「ずいぶんはぇな。ま、頑張れよ」
「はい、では行ってきます」
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