if中二病が異世界転移したら

ノベルバユーザー313493

竜次の計画5

 前日販売は大盛況だった。陛下はもちろんのこと、貴族の方々も大満足だったようだ。結果王金貨3枚と白金貨830枚金貨97枚だった。
 うん、ガッポガッポだ。


 「皆今日はありがとう。まずは今日の分だ」


 俺は手伝ってくれた皆に白金貨5枚づつ配る。少し少ないかも知れないが今日はこれから毎日払えるとも限らないから仕方ない。


 「そんな、竜次さんこんなに貰えません」
 「こんなにって、そんなにないでしょう」
 「何をいってるんですか、これだけあれば5年間遊んで暮らせますよ」
 「まぁ良いじゃないですか、また同じ分払えるとも限りませんし受け取っておいてください」


 皆はそうゆうことなら、と受け取ってくれた。うん、よかった、よかった。これからも皆には頑張ってもらわないといけないからね。


 「じゃあ帰ろっか」


 ゲートを使って家へ帰る。夕食を食べると俺は工房へ行き早速追加の商品を作る。それと平行して新商品の開発を行う。


 「ふぅ、そろそろ寝るか」


 竜次が工房を出て部屋に戻ろうと家に向かうと途中森の中から光が漏れているのに気がついた。


 「こんな時間に誰だろう」


 森の中とはいえ結界があるので魔物に襲われる心配はない、しかし夜だ。いくら光があるとはいえ危険だ。
 俺は様子を見に行くことにした。


 「んん~思うようにいきませんね」


 なんとサクラだ、なにをしているのだろうか。とりあえず話しかけてみる。


 「さくら、なにしてるんだ」
 「へっ!?りゅ、竜次さん!?どうしてここに」
 「それはこっちのセリフだよ。こんな時間にここでなにをしてたの」
 「それは・・・」
 「別に言いたくないならいいけど・・・」
 「そうゆうわけではないのですっ!!・・・ただ」
 「ただ?」
 「もうしかたありませんね」


 サクラはなにか諦めたように1つため息をつくと竜次に向き直り口を開いた。


 「魔法の練習をしていたのです」 
 「なんでまた」
 「私も冒険について行きたいのです。少しでも竜次さんのお力になりたいのです」


 そう切実そうに訴えてくるサクラ


 「でも、サクラになにかあったら」
 「私がお姫様だからですか!私がお姫様だから、なにかあったら困るからですか!
 私はそんなに子供ではありません。自分の身くらい自分で守れます。
 そのために沢山練習もしました。カリナさんからは双剣術を、ナユリさんからは魔法を教えてもらいました。今もこうして練習をしていました。
 ・・・これでもダメですか」
 「でも・・・」
 「もういいじゃねぇか」


 ふと声がする方をみるとそこにはカリナがナユリがホムラがいた。


 「あたし達はみてきたぜ、サクラの素質は相当なものだ。そのうちあたしよりも強くなるだろう」
 「そうですよ、それに魔法の素質も相当なものですよ。竜次さんと一緒にいたいからって毎回沢山努力して」
 「主様、私からもどうかお願いできませんか。彼女は確かに強くなってきている。あと数年もすればこの世界でも数本の指に入るほどの強者になるでしょう」
 「でも・・・」
 「なにがわるいんだよ、この前だってあんなに考えてたじゃないか。それにあたし達がいる」
 「竜次さん、自分の気持ちにくらい素直になってはどおですか」


 目をとじて考える・・・今の事、これからの事、彼女の事について。


 「わかった。少し二人だけにしてくれないか」
 「わかりました」
 「了解しました」
 「しかりやれよ」


 カリナは少し寂しそうにこたえたが他の皆はしっかりとこたえる。カリナの気持ちが竜次に伝わることはこのときはなかった。
 皆が家に戻るのを確認すると俺はサクラに向き直った。


 「竜次さん・・・」
 「・・・サクラ」
 「はい」
 「俺はお前の事が好きみたいだ。でも、だからこそサクラは連れて行きたくないんだ」
 「竜次さん・・・」
 「だから、ついてきてくれ」


 俺はサクラを工房の一番下の訓練所に連れてきた。


 「まさかここの下にこのような場所があったとは」 


 俺は上から持ってきた双剣をサクラに渡す。もちろん刃引きしてある。さらに俺とサクラにヒールをかける。


 「刃引きしてあるから安全だ。それで俺に一撃でも与えられたらついてきていい。でももし与えられなかったら、一撃入れられるようになるまでついてきてはダメだ!
 もちろん俺は《瞬間移動》は使わない」
 「わかりました。では行きます!」


 一気にサクラの目付きが変わる。そうして間合いを測るようにじりじりと近づいてくる。
 竜次はまだ魔法を使っていない、いや使えないのだ。魔法を使っても避けられてしまう。そう確信させるほどのプレッシャーをサクラは放っていた。
 暫くのにらみ合い・・・最初に動いたのはサクラだった。一気に間合いをつめる。そして右手に持った剣を冗談から振り下ろす。竜次はそれをなんなくバックステップで避ける。しかし、サクラは右手の剣を手放し持ち帰ると障壁を空中、地面と斜めのたたんだ足の近くに展開し、それを足場として回転二連撃を放つ。さすがにこれには驚いた竜次だったが、すかさずしゃがみこんで後ろに転がり避ける。


 「ふぅ、今のは危なかった」
 「さすがですね宗時さん」
 「次はこっちから行くよっ!」


 そういうと竜次は自身に《身体強化》をかける。そうして遠回りしながらも残像を生み出して走る。そうして残像が5体になったところで五方向から手刀を当てようと襲いかかる。
 サクラは前から来る竜次を何の躊躇いもなく斬る。そのまま右上、下の残像も斬るそして回転斬りで後ろにいた三体も斬る。そうしてその場を一気に離れる。そのすぐ後、さっきまでサクラのいた場所には竜次が地面に拳を突きつけてたっていた。 一見なにをしているんだと、思うかもしれないが直後もの凄い風が竜次を中心に全体へひろがる。そして拳の突きつけられた地面はその形をくっきりと残して窪んでいた。


 「竜次さんは私を殺す気ですの」
 「いや、死なないさ。本当に当たりそうだったら俺が障壁を展開してたよ
 それよりもそんなんじゃいくら攻撃が強くても、一緒に行くのは認められないぞ」
 「わかってますわよ。次で終わりにしますわ」


 サクラは力を抜き姿勢を低くすると一気に肉薄しクロス斬りをする。そのまま回り込むと左の剣を投げる。避けたとき剣で視界が一瞬遮られたその瞬間にサクラは右手の剣で横薙ぎにするも竜次はそれを簡単にかわしそのまま剣の腹に掌打を放つ、それを受けサクラはなんとか右手に力を込め剣を離さないようにする。
 そしてその勢いを殺すため地面に剣をたてる。しかし勢いを殺しきれずまた地面から剣を跳ね返されてしまう。しかし、その瞬間しっかりと地面に刺さっていた剣を抜く、その後また地面に今度は二本の剣を突き立て止まると起き上がる。


 『これを縛り封じ込めん!!』


 サクラがそう唱えると傷のついた床から鎖が現れ竜次の腕、足を捕らえる。そのままそれは全身へと回り込み竜次の身動きをとれなくさせた。


 『大地の怒り、大気の悲鳴、天の悲しみ、今ここに晴らさん』 


 サクラの放った魔法は見事竜次に直撃し鎖を破壊して竜次のみを後方へ吹き飛ばした。壁に衝突した衝撃で竜次は意識を手放しそうになるもなんとかこらえる。 
 まさかここまで強くなっていたとは・・・


 「竜次さん、大丈夫ですか」
 「うん、問題ないよ。まさかサクラがこんなに強くなっていたとは思わなかったよ」
 「ではっ!」
 「うん、合格だ」



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