if中二病が異世界転移したら

ノベルバユーザー313493

新たなる我が家

 「では今日からよろしくお願いします。あと私に様付けなどはやめてください。これは命令としてお願いします」


 そう言うと執事のアレスをはじめとした使用人の方々が一斉に仕事に取りかかった。そこで俺は最初に庭師兼門番の方を呼んだ。


 「皆さんには庭師としての仕事だけをしてもらいたいと思いますのでよろしくお願いします」


 そうすると皆一様に戸惑いと不安の表情をうかべ、ひとりが質問してきた。


 「すみません、それでは魔物などに襲われませんか」
 「問題ないです。この家の周り、森との境目辺りに結界か張ってあるので侵入されません。また後で見回りの兵隊を出すので大丈夫です」
 「わかりました。ではこの家の近くに畑を作ってもよろしいでしょうか」
 「はい、しかし家の裏にある墓石の近くはやめてください」
 「かしこまりました」


 そう説明すると庭師兼門番(仕事場庭師のみだが)も仕事に行った。
  次に竜次は新しい家の厨房に水道とコンロを取り付けるとメイドさんを呼んだ。


 「これは蛇口といって、このとってを捻ると水が出ます。またこちらはコンロといってこの出っ張りを捻ると火が出ます。この火はしたのレバーで強さを調節できます。一度皆さんここで使ってみて、わからないことがあれば聞いてください」


 そうしてメイドさんに実際に触れてもらってみた。


 「これは凄いですね、火を起こす手間も調節する手間も省けて便利です。更に蛇口というのも水を運ばなくて済むので助かります。このような物を用意してくださりありがとうございます」  


 そう言って部屋の掃除などに戻っていった。


 「アレスさん、工房に行くのでなにかあったら連絡ください」
 「かしこまりました」


 それだけ伝えると工房に行った。なにを作るのかというと、耕作機とビニールハウスだ。他にも時間があればなにか作ろうと思う。
 耕作機もビニールハウスも直ぐに完成した。しかし耕作機は深く掘ろうと考えて作ったためダンプカー並の大きさになってしまった。ビニールハウスはパイプに【常に命令した温度に】を付与しただけなので簡単だった。時間があったのでお掃除用マギアエルガレイオン"レレレ"を作った。ちなみに名前の由来は「おでかけですかれれれ○れ~」からだ。
 これらは耕作機が6台、ビニールハウスが10メートル×5メートルで6つ、レレレを3台作った。


 「クラークさん少しいいですか」


 近くにいたクラークさんに耕作機とビニールハウスの使い方とを教え、皆にも伝えてもらうようにいって、ビニールハウスを全て組み立てると家にもどった。




 「みんなどこだろう」


 "レレレ"について説明するためにメイドの誰かいないか探していたのだが新しい家のほうには誰もいなかった。そこで自分達で作った方の家に行った。


 「あ、ここにいたんですか、どうかしましたか」


 家に入るとなにやらみんなが固まっていたので聞いてみることにした。しかし聞こえてないようで何度か声をかけた。


 「は、なにか御用でございましょうか」
 「いや、声をかけてもみんな聞こえてないようで、ところでなにをみていたの」
 「それは失礼いたしました。いえこれがなにか気になってしまって」


 それをみてみるとトイレだった。


 (そうか、この世界には水洗式のトイレはないもんな)


 トイレの周りに集まるという地球ならあり得ない、少しおもしろい光景を眺めると説明してあげた。


 「これはトイレだよ。横のレバーを下げると水と一緒に排泄物を流せるんだ」


 そう言うと皆は感心したようで再度眺めていた。


 「ところでね少し付いてきて欲しいんだ」


 新しい家に付くと皆を廊下のすみに集めた。


 「これはレレレといって自動で廊下の掃除をしてくれるんだでも窓とか壁は無理なんだけどね。これで皆の仕事が楽になるといいんだけど・・・」
 「そんな、十分ですよ!むしろこれ以上私達の仕事をなくさないでもらいたいですよ」


 そう言って皆は仕事に戻って行った。そこで久しぶりに唯一の得意料理を作ることにした。たまたまカリウドリアの都で、似た食材を見つけたのだ。


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 「皆さ~ん少し遅いですけどお昼にしましょ」
 「気がつかなくて申し訳ございませんでした。今すぐ用意いたしますので暫しお待ちください」
 「ああ、いいよ皆忙しかったんだから。それにもう作ったしね。持っていくから食堂で待っていて」
 「しかし・・・」
 「しかしじゃないよ、これは命令だ」


 これぞ配下を黙らせる最強の一言だ。凄くべんりである。案の定ソフィアさん達は黙りこんでしまった。


 「ではせめてお運びだけでもさせてください」
 「・・・・・仕方ない、それだけだよ」


 自作の器に盛り付けると、蓋をする。そうして皆のところへ持っていった。


 「さぁアレスさんに、庭師の皆さんとメイドの皆さんも座ってください」
 「では、いただきます」
 「「「「「いただきます」」」」」


 不思議な顔をしながら皆も一緒に言ってくれた。そして蓋を開けるとまた不思議そうな顔をする。


 「竜次さんこれはなんですか」
 「これはね、親子丼っていうんだよ」
 「親子丼ですか?聞いたことない食べ物ですね、竜次さんの故郷のものですか」
 「そうだよ。出しにコルムと肉を入れて煮て、最後に溶き卵を流して作るんだ。とりあえず食べてみてよ」


 そう言うと皆スプーンを持って一口食べてみる。


 ズッドーッン


 まさにそんな音が聞こえて来そうな具合に皆が同じように固まった。そして立ち直るとものすごい勢いで完食した。


 「竜次さんとても美味しいかったですありがとうございます」
 「ホントだぜ、作んねぇからあたしゃてっきりできねぇのかと思ってたよ」
 「間宮さんがこれほどお料理がお上手だと私共では間宮さんを満足させられるような料理は作れないのですが・・・」


 ソフィアがそう言うと皆がこくこくとうなずいた。


 「いやいや、俺はこれしか作れないし。だから料理はできないよ」


 そう否定する。でもよろこんでもらえたことにはとても満足している竜次だった。


 「それに実はこの肉はハリウサギのものだし、卵もファイアーバードのモノだからね、そもそも素材がよかったんだよ」


 そう言うとまたしてもズッドーッンという音が聞こえてきそうな反応を見せる皆。




 「おい、竜次今のやついくらかかってんだよ」


 カリナは恐る恐る聞いてきた。たしかにどちらも高級食材だから当たり前の反応といえばそうなのだが。


 「ん~だいたい全員分で金貨2枚くらいなか?」
 「金貨に二枚~っ」


 ついに竜次とサクラとアレス以外の全員が倒れてしまった。よほどショックな金額だったんだろう。既に金銭感覚が狂い始めた竜次にはわからないことだった。


 「さっ午後からも頑張って下さい」


 そうゆうと竜次は作業にとりかかるべく工房に行った。

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