ドラゴンテイマーになった僕は鶏を育てて暮らす。

ノベルバユーザー313493

6話 僕と水族館

 「うぅぅ~」


 「お風呂でやるからのぼせるんだよ」


 夜も深まって部屋に戻った僕たちはベッドに転がり氷を舐めていた


 「だって~。まだじんじんする」


 「氷枕持ってくる?」


 「違う」


 「あぁーそれはごめん」


 さっきはいつもと違う環境だったこともありはっちゃけてやり過ぎてしまったのだ、具体的には特大のやつを使ってしまったのだ


 「いいわよ、私が頼んだんだし」


 「そうだけど元はというと作った僕が悪いから」


 「ならキスしてよ」


 マヤのリクエストに答えて深~くキスをした


 「どうするまだするの?」


 「いや、今日はやめておこう。明日動けなくなりそうだし」


 「それもそうね」


 「それじゃお休み」


 「えぇお休みなさい」
































 「じゃあ行こうか」


 「はいお願いします」


 今日は三人でお出かけだ。とは言っても午前中はサウラン様にあって以来達成の報告をしに行く。やっと都合がついたのだ。それが終わったら今度は誕生日なので三人でデートだ。今日のデートポイントはオーシェント領の海上都市オーシェントだ。ここは海の幸が多く何度か買い物に来たことがあるがなかなかに楽しい場所だ
 お城につくと直ぐにサウラン様の部屋に通される


 「久しぶりだな」


 「はい、お元気そうで何よりです」


 「生憎まだ死ねそうにない。それで依頼の方はどうだった?」


 「無事達成しました」


 蔵から溢れんばかりに鱗の入った箱を3つ出す


 「こんなにか。少し待っててくれ」


 手をパン、パンと叩くと扉からローブを着た人がやって来た


 「彼は今回査定してくれる人だ」


 「よろしくお願いいたします」


 「早速作業に入らせて頂きます」


 そう言うと一枚ずつ鱗の状態を確認していく。これは骨がおれそうだ
 

 「出ました」


 「合計は19万9871枚です。全て幼竜の物ですので合計金額は599億6130万クルシェンです」


 これまた途方もない額だな


 「これだけあれば式も盛大にあげられそうですね」


 「まぁ、そうだな」


 奥から5つのケースが運ばれてくる。中にはもちろん1万クルシェン硬貨が入っている


 「ありがとうございました」


 「せいぜい盛大な式を挙げるんだな」


 「はい」


 報酬を貰いお城を後にする


 「さて、行きますか」


 「はい!久しぶりで楽しみです」


 「そうね、じゃあ飛ぶわよ」


 海猫の鳴き声が聴こえ潮風が頬を撫でる。無事海上都市オーシェントに着いたみたいだ


 「いつみても綺麗ですよね」


 「あぁいいな」


 僕たちの目の前には太陽の光を反射させてキラキラと輝く海が見えている


 「泳ぐの?」


 「それもいいけど、今日は街をみて回りたいな」


 「わかったわ」


 「ココナもそれでいい?」


 「はい、私は泳げないのでそれでお願いします」


 「それじゃ行こ」


 門をくぐり中に入る。町は中央に行くほど高地になっていて家は白を基調としたサントリーニ島のような町並みだ


 「うぅ~やっぱりこの坂だけは嫌です」


 「確かに、ずっと坂だと辛いわよね」


 「そうかな?」 


 「女の子はか弱いのよ」


 「さいでっか」


 坂の頂上に目的地はある。これがなんとも凄い。坂がそこまでの道を邪魔するものの、地方から訪れる人が後を絶たない


 「着いた~オーシェント海洋博物館」


 お金を払って中に入る。オーシェント海洋博物館は地球では水族館と呼ばれる場所でこの国ては唯一水の中の生物を生きたままみられる場所だ。ちなみに一番高い所にあることからもわかる通りここはオーシェント領領主の屋敷でもある


 「うわ~凄い。魚がこんなに!」


 「こら、いい歳してはしゃがないの」


 「ココナ待っててくれ」


 一人先に行ってしまうココナを二人でのんびりと追いかける


 「ココナって結構子どもよね」


 「それ僕も考えてた」


 「ところで追いかけなくていいの?」


 「寂しくなったら帰ってくるでしょ」


 「それもそうね」


 二人で中を水槽を観ながら順繰りと回る。この世界には地球のようにガラスに対する技術が発達しているわけではないので風の防御魔法で水を防いでいる。そのおかげもあって中が良く見える気がする。水槽のなかでは小さな魚達が群れをつくって泳いでいる


 「みて!」


 マヤに袖を引かれて見るとその先にはクラゲの水槽があった


 「あれは何?」


 「クラゲだよ」


 「クラゲ?クラゲね。可愛いじゃないの」


 この世界でもクラゲは人気みたいだ見ている人が多い


 「確かにあののんびりとした感じは癒されるよね」


 「うん!」


 更に奥へ歩いていくと子ども達が集まっている場所があった。この水族館は子どもは無料で入れる。だからいつでも子どもだけは多い。ちなみにココナも最初入館料を無料にされそうで怒っていた


 「ってあれ・・・」


 「はぁ~」


 子どもに紛れてココナがいる。良くみないとわかならない流石ココナだ


 「なにやってるの?」  


 「あっ、司さん、マヤやっと来た。見てくださいこれ触れるんですよ!」


 見ると確かにそこの水槽は子供の腰の高さ程度になっていて触れるようになっているようだ


 「あんまりさわりすぎちゃダメだぞ、火傷するから」


 「え?そうなんですか」


 そう言ってあわてて手を引っ込める


 「魚にとっては人間の体温は灼熱なんだよ、僕らが沸騰したお湯を触るのと同じようなものだから」


 「なるほど、じゃあ手を冷やしてから触ります」


 まぁ確かにそれなら大丈夫だけどいやな予感が――――――やっぱりか


 「うわぁ~ねぇちゃんなにやってんだよ!」


 「ごめんなさ~い」


 ココナが手をいれた瞬間に水が全て凍る。カッチカチだ。直ぐに熱で僕が解凍する。官邸でみるも一瞬で凍ったことで死ななかったようで確りと少ししたら泳ぎ出した


 「にぃちゃんありがとう!」


 「あっ!僕この人知ってる!英雄ほうじょーだ!」 


 「「「え!英雄!?黒い剣と無限の魔法で敵を圧倒する神速の英雄!?」」」


 「英雄!英雄!英雄!英雄!「英雄!英雄!英雄!英雄!「英雄!英雄!英雄!英雄!」」」


 水族館に英雄コールが起こり回りの人も寄ってくる


 「ちょっとこれは――――――」


 その場から立ち去ろうとしたところでとんでもない人が来てしまった


 「これは北條殿、ようこそお越しくださいました」


 そういって歩いてきたのはこの水族館の主、オーシェント領領主ゼノ・オーシェントだ


 「これはオーシェント殿ご挨拶にも伺わず申し訳ない」


 「いえいえ、よろしいですよ。存分にお楽しみ下さいと言いたいところですが恐らくこの状況では無理でしょうな、こちらへお越し下さい」


 オーシェントさんについて奥へ進み螺旋階段を降りると綺麗な絨毯の上を歩いて進む。どれくらい進んだだろうか、かなり歩いたところでそれは見えた


 「うわぁ~」


 部屋一面が風の防壁で被われており外には魚が悠々と泳いでいる。そこには鮫や鯨なんかも見えた


 「北條殿は特別です。ここは我が屋敷の最下階になります」


 「もしかして島全体が屋敷なんですか」


 「流石は北條殿、良くお分かりになりましたね」


 やはりか、歩いた距離的にそうじゃないかと思ったのだ。ってかそうじゃなければ説明がつかないほどこの屋敷は広い。これはお城なんて比じゃない広さだ


 「このような素晴らしい場所に招待して頂いてありがとうございます。お礼と言ってはなんですがご家族で食べてみてください」


 試しで作った温泉卵を渡す。巷では英雄の卵とか言って人気だそうで偽物まで出回る始末らしいから十分だろう


 「これは!ありがとうございます。孫が食べたいとさんざん言っていてこれでようやく食べさせてあげられる」


 そう言うオーシェントさんの顔は好好爺とした孫を思って笑う優しいお爺ちゃんの表情だった


 「実はそれはまだどこにもない、今度お店で売ろうと思っているものなんですよ」


 「本当ですか!それは実に運がいい。本当にありがとうございます。存分にお楽しみ下さい」


 「はい、ありがとうございます」


 そう言うと部屋を出ていった

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