ドラゴンテイマーになった僕は鶏を育てて暮らす。

ノベルバユーザー313493

15話 僕と盗賊と鶏の悲劇

 朝一で家を出ると身体強化の二重掛けをして家に向かった。ここまでよ度重なる無理のおかげで身体強化の二重掛けまでは大丈夫になった。それ以上に掛けると体が耐えられなくて倒れてしまうが、それでも掛けたぶんだけ持続時間も延びるのは利点だと思う。
 家に着くとまっさきに鶏舎に向かった。小さい方、大きい方両方の餌タンクに餌を入れる。


 「おまえら~元気にしてたか」


 撫でてやるとコケーと嬉しそうに返事をした。元気そうだ。家に入ると風呂に入る。久しぶりの風呂は格別だった。ゆっくりと風呂を堪能し夕飯を食べるとベッドに潜った。


 コケー


 コケッコケッ


 「ん!?」


 外のただならぬふいんきに飛び起きると急いで外に出る。
 外にはいかにも盗賊と言ったような服に剣を持った男達がいた。


 「お前たち何をしてるんだ!!」


 鶏舎に目を向けると横たわった鶏と血溜まりが幾つかあった。


 「お前たちよくも、よくも、よくも!!!楽に死ねると思うなよ!」


 【神経崩壊弾ナーブブレイクブリッド


 辺りに居る奴らに無差別に撃ち込んでいく。


 ぐぁぁぁぁぁ!!!


 ひゃぁぁぁぁぁ!!


 盗賊共は失禁したり失神したりとバタバタと倒れていく。触りたくなかったので念力で浮かすと一人ずつ樹に縛り付けていく。全て片付けると鶏のもとに行く。死んでるのは全て雄だった、もしかしたら雌を守ろうとしたのかもしれない。鶏たちを一羽づつ蔵に入れていく。


 「さて、盗賊どもの仲間は何処にいる?二度と手出しできないようにしてやろう」


 失神しているだけでまだましなやつに風弾エロブリッドを叩き込み無理やり起こす。


 ひっ!


 「今すぐアジトに案内しろ!さもなくばさっきよりも痛いのをぶちこむぞ!!」


 そういうと盗賊はコクコクと頷いて僕を案内する。


 「速くしろ!」


 そういうと盗賊は走り出した。暫くすると小さな山小屋が見えてきた。位置的には僕の家から北東に進んだところだった。前はここには誰も住んでなかった筈だが、なるほど空き家は盗賊のアジトになってしまうのか。今度から確実に潰しておこうと誓った。
 アジトに入ると盗賊達がざわめき出した。


 「お前は誰―――――」


 すかさず神経崩壊弾ナーブブレイクブリッドを撃ち込む。こいつらの声は聞きたくない。さて、こいつらはさっさと兵隊に渡すとして、どうやって運ぶか。
 こいつらに歩かせてもどれだけ時間がかかるかわかったものじゃない。辺りをみるがなにもない。そうだどうせこの家を壊すならこの家の木を使えばいいのか。
 山小屋から板を引き剥がし即席の箱を作った。確りと底は三重にしてる。かなり大きいが身体強化を使えば大丈夫だろう。ブタはいなかったし大丈夫だろう。とりあえず今いる奴らをぶちこむと、家に帰り残りの奴らもぶちこんだ。総勢14人。そこそこの重さだ。鶏舎を掃除すると箱を持って家を出た。今回は身体強化を5重、倒れるギリギリまでかけた。以外と重かったのだ。


 「おや、司さん。どうしたんですか?まだ納品まであると思うんですけど」


 「ちょうど良かった!家に盗賊が入って。それで捕まえてきたんですよ」


 「大丈夫でしたか!?」


 そう言いながら僕の体をペタペタと触る。ちょっと気持ち悪い。いや心配してくれているのはわかるのだが。するととうとうヤバイところまで触ろうとしてきたのでとりあえず逃げた。
 少しがっかりしているようにみえるのは気のせいだろうか?気のせいだろう。うん、そうだ。そうに決まっている。


 「なんともなくて、こいつらの処理お願いできますか」


 「あぁ、すまなかった。私たちの警備が甘かったようだ」


 「いえ、そのような事はないですよ。コンポさん達が悪いのではなく盗賊が悪いのですから」


 「それはそうなのだがな、為政者としては盗賊が生まれる環境をつくってしまうのも問題だから。とりあえずついてきてくれ」


 コンポさんについて行くとたまたまシュトロフ様にも会った。するとまた謝られ、更に一人辺り2万クルシェン、つまり28万クルシェン貰ってしまった。なんでも盗賊を捕まえると一人辺り1万、犯罪がわかっていると更にプラスで貰えるらしい。今回は全員前科があったため2万だったらしい。ちなみに彼らは全員斬首刑になるそうだ。


 「すまなかった。今度からは巡回を増やすから許して欲し」


 帰り際またシュトロフ様からそう言われてしまった。あまりしゃべらない人なのにここまで喋るとは凄く悔しかったんだと思う。
 しかし、最近妙にお金が入ってきて使いどころに困るな。


 残金:1,295,000クルシェン


 「ただいまです」


 「おかえりなさい!早かったですね」


 「はい、少し急いじゃってちょと疲れちゃいました」


 あ、やべ。気を抜いた瞬間に意識が遠退き始めた。


 「すいません」


 起きると見覚えのある部屋にいた。ここはココナの家のリビングだ。つまり僕は今リビングにいることになる。では後頭部に感じるこの柔らかい感覚は―――――いや、とぼけるつもりはない。これは膝だ。確実に膝枕をされてる。ヤバイ凄い気持ちいい。もう少しこうしてようかな。


 ダメだな。


 「ちょと重いです」


 「あれ?起きてるのばれてましたか?」


 「そりゃ呼吸のリズムが変わればわかりますよ。もう心配したんですからね」


 ぷりぷりと怒っている、いやこれは演技なのだが怒っているのはほんとなので謝っておく。最近ココナの反応などから本気かどうかわかるようになってきたのだ。


 「ごめんなさい。そうだ、すみません」


 そういって起き上がろうとすると上からおでこを押さえられた。重いって言っていたって事は退いてくれと言うことじゃないのか?こう言うところはまだよく分からない。
 ココナの顔を見ようと上を見上げると壁に邪魔されてみえなかった。今日は胸元がゆったりしたタイプのようだ。ココナは結構着痩せするタイプみたいでかなり普通の服だとわからないが、かなり立派なものを持っているのだ。


 「どうしたんですか?」


 そう下を向くと胸が当たるのだ。マジやめ、色々とヤバイ。


 「ドウモシマセンヨ」


 思わずカタコトになってしまった。


 「もう大丈夫なんで起きますね、重いでしょう。ありがとうございました」


 「いえ、大丈夫なのでもう少しこうしていて下さい」


 「でも」


 起き上がろうとすると壁が上から迫ってきて覆い被さった。


 (ん、息ができない!)


 ギブアップを宣言するためココナを軽く叩く。


 「ひゃっ!」


 ありゃ、またやっちまった?


 「そうゆう事はちゃんと手順を踏んでからにしてください!」


 そういいながら睨んできた。


 (いや手順もなにも)


 とりあえず起き上がりその場から逃げた。


 「ご飯作ってきます」


 僕が起きるとそう言ってキッチンへ行ってしまった。


 (僕なにかした?)


 ココナと夕食を取ると寝た。あれから1回もココナは口を聞いてくれなかった。


 目を覚まし下に行く。


 「おはようございます」


 まるで昨日の事は嘘のように挨拶をしてきた。


 「おはようございます」


 ぎこちなくないだろうか、なんか上手くやれていない気がする。


 「今日はどうする予定ですか?」


 「そうですね、特には決めていないです」


 「そしたら買い物に付き合って貰えませんか」


 「そんな事でしたらいいですよ」


 「じゃあ決定ですね」


 そういうとニコニコしながらキッチンへ戻って行った。





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