ドラゴンテイマーになった僕は鶏を育てて暮らす。

ノベルバユーザー313493

10話 僕とココナのいない暮らし。

 あっという間に一週間が過ぎ僕は街を出た。次に来るのは来月だ。昨日の夜コンポさんが領民証を持ってきてくれたお陰で正式に領民になり、これからは自由に街と家を行き来出る。まぁ片道1日以上かかるのでそんなに来ないが。


 「おはようございます」


 今朝は冒険者組合にきている。森にいる間でもできる仕事を探すためだ。


 「トト森の中でできる依頼はないですかね。できれば安全で」


 トト森とは僕が住んでる森のことだ。


 「そうですね、今は明後日までの薬草採取や、あ、これなんかいいと思います。長期ですが比較的安全で報酬もいいですよ」


 そう言ってみせてもらった紙にはトト森の監視とかかれていた。期間は無期限、内容は異常があれば直ぐに報せること、また一ヶ月後手紙で報告すること。と書いてある。しかも依頼人はシュトロフ様だ。報酬は32万クルシェンだ。
 一緒にいるココナをみてみるが知らないと首をふってる。どこで知ったのかは知らないが、まず間違いなく偶然ではないだろう。


 「これでお願いします」


 「では組合員証の提示をお願いします」


 組合員証の内容を性格に紙に書き写していくと一枚の紙を渡してきた。


 「これで、登録は完了です。そちらの紙は依頼終了時に報酬の引き換えに必要になりますのでなくさないようお願いいたします」


 紙を受けとるとココナと二人街壁までやって来た。


 「またこんど」


 「はい」


 それだけ告げると街を出た。取り敢えず依頼を受けて来月の収入の問題は解決された。これで今月さえどうにかすれば問題はない。まぁ森じゃお金は使わないからもう問題ないと言ってもいいのだけど。 
 身体強化を使いダッシュで家に帰る。お金の問題がなくなってもやりたいこととやるべき事は山積みなのだ。
 身体強化を使うこと10回程で家に着いた。


 「ただいまー」


 家につく頃には日が落ちていた。これからご飯をつくる気がおきる事もなく。風呂だけ入ると早々に布団に潜った。


 次の日、目を覚ますと久々の日課に出る。広くなった鶏舎の中を歩く。すると鶏舎の中に小さな小屋がある。ここは鶏達の家だ。家の中に家があるというのもおかしな話だが、そうしないと卵が散乱して回収が大変になるのだ。
 今日は一週間いなかった事もありかなりの数があった。


 「えーと1,2,3・・・180個か少ないな、どうしてだ?――――――あっ!」


 やってしまった。鶏といっても雄雌がいるんだ。そりゃこの数にもなる。しかしだとすると困った。約束の900個納品できない。
 取り敢えず今ある分を蔵の中にある卵ケースにしまう。するとおかしな声が聞こえてきた。いや、おかしいわけではない。しかし今までこの世界で聞いたことのない声だった。


 「いた!」


 端の方を黄色い、ひよこが歩いていたのだ。


 「うぉーめっちゃかわいい!!」


 予想はしていなかったがやろうとはしていた事だ。鶏を増やす!
 取り敢えず余ってる以前使っていた鶏舎をの中を4つの区画に分ける。そしてそこに鶏の雌と雄を入れていった。これで上手く行けば雛が産まれるだろう。餌をあげると鶏舎を出た。次はランニングだ。これは体力づくりと依頼の森の監視をかねているので森の中を時折ジャンプして辺りを確認しながらぐるっと大きく一周する。時折魔物を見かけたが街の方に行く気配はなくまた僕からも近くはなかったのでスルーした。
 家に帰ると朝食を食べる。そうそう、以前植えたお米だが見事芽を出して今では立派に育っている。もう少ししたら刈り取りが出来るだろう。朝食を済ますとこんどは塀の制作に入る。今日の朝見たら畑の野菜が動物に食べられた痕跡があったのだ。それがなくとも塀は作ろうと思って材料は買ってきていたのだが。


 「さて、始めるか」


 家と鶏舎の周りを歩き回り魔法で幅10センチ溝をつくる。そこに木の板を立てていく。それが終わると石膏や石灰石などを使ってコンクリートを作りそれを溝に流し込む。更に大気中から炭素を取りだし三角形のピラミッド状になるように組み合わせる。2分程で1カラット分、0.2グラムが出来上がったこれをあと約18万個つくる。まぁ1日でそんなにできるわけもなく、また魔力が持つわけでもなく。僕はのんびりとダイヤモンド作りに励んだ。
 今日の成果は1カラットのダイヤモンド50個だ。日本だったらこのダイヤモンドだけで大儲けできる。あとはジャガイモと人参を収穫した。


 「ふぁ~コンクリート明日には固まってるかな」


 ジャガイモと人参を角切りにして、街で買ってきた醤油に砂糖を入れて煮詰める。よく煮えたところで蓋をして風呂に入った。


 「あ~ええゆだ。いい湯だなあはは、いい湯だなあはは」


 思わず歌ってしまった。まぁ誰も聴いてないだろうしいいか、そのまま歌っていると少しのぼせてしまった。水を飲んで喉を潤すとお米を炊く。その間に手で扇いで体の火照りを冷ます。ちょうど火照りもとれたところでご飯が炊けたようだ。器にジャガイモと人参の煮物を移すと茶碗にご飯を盛る。


 「こりゃ作りすぎたな」


 煮物もご飯もまだ鍋いっぱいに残っている。この量だと煮物は3日コースになりそうだ。


 「いただきます」


 あ~美味しい。この味がたまらん。ご飯に合うのだ。ジャガイモ、ご飯、ジャガイモ、ご飯、人参、ご飯の順に掻き込んで行く。あっという間になくなるとご飯をよそいまた食べる。三杯ほどおかわりしたところで苦しくなった。ココナと暮らしているうちに胃袋が大きくなったのか凄く食べるようになったのだ。お陰で太りそうで、ランニングはこのためでもあったりする。
 食器を洗うと布団に潜った。1日を振り返ってみると凄く充実していたように思う。けれど、


 「なんか寂しいな」


 そう、今まではココナがいたから騒がしくて飽きなかったが、一人になると凄く寂しさを実感する。だいたいこの世界ではまだ知り合いは数人しかいないのだ。


 「村にでも行ってみるか」


 ちょうど森を出て直ぐの西側に村があるのだ。そこなら街に行くよりも近いので直ぐに行ける。


 「取り敢えず塀をつくったら村に行くか」


 これからの目標、予定が決まったところで眠りについた。


 次の日、日課をこなすとさっさとダイヤモンド制作に取りかかった。因みに今日も森に異常はなかった。お昼頃にはコンクリートが固まったのでモルタルを作りコンクリートをコーティングしていった。


 「ヤバイ、結構キツイ」


 現在一面を塗り終えたところで日がくれて日待ったので家にいる。因みに一面と言っても一番範囲の狭いところが終わっただけだ。またこれは副業に入らないらしく塗ったところは凸凹のガタガタだった。またこれはこれで味があっていいと思うが。塀は先に完成させないといけないので取り敢えず僕の村との交流が遠退いたとだけ記しておきたい。


 ―――――結果


 塗り終わるのに二週間かかりました。


 「あーやっと村に行ける」






 

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