詩集 ツキアカリ

四ノ宮雪子


瞳はなんでもうつす

写して映して移して撮してうつす

たとえそれが人の気持ちでも

たとえそれが目に見えないものでも

瞳をこらせばしっかりとみえてくる

どんなものでもみえてくる

気持ちのいいこと、不快なこと、面白いことに怖いこと

なんでもうつしてしまう

みたくないものでもすこしでもみれば瞳はうつし、脳にその烙印を押し付ける

だからそんな瞳はいらない

怖いものをみるくらいならこんな瞳はいらない

君は何度も僕にそう言った

でも僕はいつも、いつも君に、同じようにこう言ったよね

君の未来はまだみてないだろ?

我ながらよく分からない

だけどその言葉は暗く、冷たい深海のように深く、親鳥のように暖かいものな気がする

根拠はないけどこれも瞳をこらしてみてみて

きっとなにかうつるはずだよ

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