詩集 ツキアカリ
波
ウォンウォンウォンと音叉の音が鳴る
僕の耳を撫でたり払ったりしながら
そして僕の耳から僕の脳の奥へと波が伝わる
永遠と続くような波を僕は永遠に感じ続けたい
頭に響く音叉の音
どことない音だけど僕には響き続ける
なんてことない音だけど僕には語りかけ続ける
いつかの記憶を呼び覚ますかのように
波は僕の頭をかき回す
ぐるぐるぐると回っては
 
しゅゅんと落ち着いていき
また、ウォンウォンウォンと響けば
中心からゆっくり静まっていく
僕が流す涙をもぶるぶると震えさせ
早く落としてしまう
頼むから泣くときぐらいは静かに泣かせてくれ
そういっても音は聞こえ続ける
逃げようのない音を受け入れるのは勇気がいる
そんな勇気のない僕は永遠に音の響きを聞き続けるだろう
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