スキル盗んで何が悪い!

大都督

第6話

6話

 ゴブリンとの戦闘を終えて洞窟に連れて行かれたエリリーを無事に連れ帰ることができた。
 だが、マーサや村人を病から救うための洞窟にある魔水は汚染されており、それを持ち帰ることはできなかった。
 バンとトムの足取りが後ろから見て少し重そうに見える。

 村近くに近づくと入り口に立つギーラたちの姿が見えたのか、バンは三人の無事を知らせるためと槍を大きく振り、それに続いてトムと自分もそれに合わせて手を振った。

 村に帰ってきた三人の無事を伝え、ギーラは労いの言葉をかけてくれた。


「おお! 無事に戻ったかい」

「ただ今戻りました」

「村長! この通りエリリーも無事だぜ」

「そ〜かいそ〜かい、それは良かった。ほんま皆ご苦労だったね、怪我とかしてないかい?」

「おう、二人じゃ怪我どころじゃ済まなかったかもしれないけどな、ミツ君がいてくれてホントに助かったよ」


「いえいえ、自分は隠れてサポートしただけですから。ゴブリンを倒したのはほとんどお二人じゃないとすか」

 お互いの賞賛を讃えて感謝を言い合う三人にギーラは安堵の笑みをこぼしていた。


「ところでミツ坊、魔水は持って来れたかい?」

 ギーラの一言で三人は口を閉ざしてしまった。
 バンが洞窟の状況を説明をするもその表情は暗い。


「おふくろ、洞窟の魔水なんだが……。汚染されてて暫く使える状態じゃなかった」

「そうか、やはり汚染されとったか。魔物が住みついた時点でそうだろうとは思ってたよ……」

 バンの報告にギーラだけではなく村人達も希望が無くなったかのように泣き崩れていた。


「なんて事だ、このままじゃ村が……」

「やはり街から治療士に来てもらったほうが……」

「金はどうするんだよ! 村の金全部集めても子供一人分にもならねんだぞ!」

 村人の突然の激しい話し合いに驚きながらも少し距離をおいて後ろに待機しておくことに。
 この世界に疎い自分が何かを言えるわけじゃないから仕方ない。

 少し手持ち無沙汰になったので今のうちにステータスを確認しておこう。



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名前 『ミツ』     人族/15歳

ノービス Lv4。

HP ______:16。

MP______ :6。

攻撃力___:14。

守備力___ :9。

魔力_____ :4。

素早さ___ :12。

運 _______:17。

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 おっ、何度かの戦闘でレベルが上がってる。
 魔力も上がったからMPが増えてる、これで魔法も使えるようになった、スキルもモンスターとの戦闘で増えるシステムは本当にありがたい。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※

フクロウの目___:Lv2/10 LevelUp。

潜伏___________: Lv2/10 LevelUp。

スティール_____:Lv2/10 LevelUp。

不意打ち_______:Lv2/10 LevelUp_new。

威圧___________:Lv1/10 new。

ヒール_________:Lv1/10 new。

キュアクリア__:Lv1/10 new。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 通常スキル3つまでの他のプレイヤーと比べたら3倍近く持ってるからな、これでランカーになった後に何か言われないか少し不安だ。
 まぁ、同じ様なプレイヤーもいるだろうし大丈夫だろ。文句はゲーム運営に言ってもらおう。

 スキル一覧を見ながら色々と考えていると横からアイシャが声をかけてきた。


「ミツさん、チョット来てもらえる? お母さんが呼んでるの」

「あっ、うん解った」


 バンにその場を離れることを告げるように軽く頭を下げてアイシャの家に向かった。



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 家に入るとマーサは我が子の無事を思うかのような顔で出迎えてくれた。


「ミツさん無事で良かったわ」

「はい! お借りしてた弓のおかげでバンさん達のサポートができました、ありがとうございます」

 借りていた弓をマーサに返し感謝を伝えると、笑顔でバンのお礼を言ってきた。


「そう、義兄さんを助けてくれてありがとう」

「ミツさんありがとう!」

 しかし、嬉しい情報はここまで。
 マーサにとっても村人にとっても大事なことをまだ伝えなければ行けないのだ、気が重いよ。


「実は洞窟の魔水なんですが、バンさんが言うには汚染されていて暫くは使えないそうです……」

「そう……」

「お母さん……」

 魔水の汚染を伝えると二人とも今にも倒れそうな表情をして落ち込んでしまった。
 それはそうだろう、せっかく洞窟のモンスターを退けたと言うのに肝心な物が使えないだなんて。
 このままじゃマーサは体力どころか気力で参ってしまう。

 一か八か、前回手に入れたスキルを試してみよう。
 NPCに通用するか解らないがやらずに後悔はしたくない。


「マーサさん、少し身体に触れますけどよろしいですか」

「え?」

「ミツさん?」

 いきなりの申し出にキョトンとした顔のマーサ。
 拒否されることは無かったので掌を心臓上においた。
 アイシャそんなふくれっ面の怖い顔しないで、下心はないからさ。


「キュアクリア」

「え!」


 スキルを唱えたと同時にマーサの体が緑色の光に包まれてパッと光が消えた。
 光が消えた時にはマーサの青白かった顔は血色を戻し、アイシャと変わらないほどの顔色になっていた。

 多分これで大丈夫、鑑定をして確認してみよう。



名前  『マーサ』   人族/30歳

狩人  Lv7。

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探索________:Lv6/10。

狙い撃ち ___:Lv7/10。

潜伏________:Lv5/10。

家事________:Lv6/10。


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 ステータスを確認すると状態異常が無くなり、マーサのスキルもスティールできない状態になっている。
 状態異常の弱体状態から抜けたことの証でもある。


「体調の方はどうですか、マーサさんの病状を回復できたと思いますけど?」

「えっ? えっ?」

 いきなりのことにアイシャは自分と母親を交互に見ても言葉はでてない。
 マーサは自身の首から胸を触りゆっくりと深呼吸をしたあと、薄っすらと目に涙を浮かべ始めた。


「えぇ……。息苦しさも無くなって、体が軽いわ」

「お母さん!」

「アイシャ」

「お母さん! おかあさん! おかぁ……あさん……」

 マーサの突然の言葉に驚きながらも母親の胸に飛び込み泣きじゃくるアイシャ。 
 母親を何度も呼び続け、それに応えるかの様にとマーサはそっとアイシャの頭を撫でている

 お互い肉親は失いたくは無いのだから嬉しいのは当たり前だろう。

 良かった回復することができて。
 二人を見ていると自分まで少し涙が出そうになってしまう。

 マーサはゆっくりとアイシャを放し、目の涙を軽く拭うと自身の病が治ったことに質問をしてきた。


「ミツさんあなたは治療士だったの?」

「いえ、旅の者ですよ」

 実際はまだノージョブ(ノービス)だからこの答えが正しいと思う、多分。


「ミツさん!」

「ん? ぐふぇ!」

「ありがとう! お母さんを助けてくれて!」

「うん……良かったよ……イテテ」

「あっ! ごめんなさい」

「大丈夫だよ」

 感謝の気持ちがあったのであろう、油断してたところにアイシャの全体重を乗せた体当たりが腹に来た。

 その分マーサの回復を喜んでいると思えばなんてことは無いのだが。


「ミツさんお願いがあるの」

「村の人かい?」


 アイシャの言いたいことは解る。
 貧困している村に助かる手立てが目の前にあるのだ、助けを求めるのが当然だろう。


「うん、無理言ってるのは解ってる。でも、今村の皆を助けれるのはミツさんだけなの」

「私からもお願いします。治して頂いたばかりでお願いするのは申し訳ないですけど。どうか、よろしくお願いします」

 頭を下げてくる二人のお願いを聞き入れ村人を治すことに対しては別に問題はない。
 しかし、問題は自分のMPだ。

 ステータス画面で残りのMPを確認してみる。

 MP______ :4/6。


 1回使う事に2の消耗か……。
 MPMAXで3回しか使えないみたいだ。

 いや、レベルを上げればまたMPが上がるかもしれない、そうすれば回復できる回数も増える。


「わかりました。でも、自分の魔力にも限界はありますから少しずつ治療となりますがよろしいですか?」

「ホントに! ありがとう!」

「ミツさん本当にありがとう」

「わっふっ!」

 あっさりと承諾したことに二人は喜びで自分を挟むような形で抱きついてきた。


「ん? ちょっと! お母さん胸! 胸!」

「あらあら、ごめんなさい」

 なるほど、アイシャの喜びの時の抱きつきの癖は母親譲りか。
 離れたマーサの方を見ながら考えてしまった。


「コホン、取り敢えずお母様がいらっしゃるところに行きましょうか」

「しっかりしてよミツさん! お母さんの元気になったことも伝えないと、お婆ちゃんだけじゃなくて皆もきっと驚くわ!」

「はっ、はい! 解りました行きましょう」

 病から治ったマーサとまた何故かふくれっ面のアイシャ、二人に手を取られ早速ギーラへと報告に行くことにした。


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 ギーラ達は頭を抱えながら今後村の事を村人たちと話し合っていた。

 しかし、話し合っても内容は堂々巡り、村人も絶望に口数も減ってきている。


「やはり領主様にかけよってみるのが1番ではないか」

「そだな、おら達がひっくり返っても治療費が出せる訳じゃなしに」

「しかも村の半数の村人が病に落ちとる、このままじゃ今年渡す年貢もままならない、それどころか村が滅んじまうぜよ」

「確かにそれは領主様もわかってることだと思うがの。実際村人皆の治療費だけで年貢を軽く超えてしまうぞ」

「賊から村を守るだけが領主じゃねだっぺよ!」

 村人の行き場のない苦しみと怒りは少しずつ領主の方へと向かっていた。
 しかし、ギーラの一言に村人の心は落ち着きを取り戻した。

「みなのもの! 領主様も我々を見放しているわけではない。戦後より村人が減り、街々に出稼ぎを出してる事を知った途端、領主様は年貢の量も明らかに減らしてくれたじゃないか」

「そうだな、領主様はこの村が食料不足の時は年貢を食料から材木に変えたり、我々の生活の苦にはならないように配慮して下さった御方じゃ」

「これ以上はこの村自体が領主様の負担となってしまう」

 
 ここの村を治める領主は税金を徴収するだけの人ではない。
 貴族でありながらも平民と貴族、又は人種差別を嫌い。人々からは慕われた人物である。

 自身の住まいである屋敷も最低限の大きさに。
 宝石などは妻と娘がつける程度に、資産となる装飾品などは身内からの貰い物や自作品が殆である。

 また治める村に災害がある時には災害地に馬を走らせるほど領主としては珍しいお人だ。


「取り敢えず、洞窟の汚染が収まるまで待つしかない。それまでに別のモンスターが住み着かないように見張りをつけなければ」

「おふくろ、俺ができるだけ洞窟を見張ろう」

「そうじゃな、バンなら大丈夫じゃな」

「儂らもできることは手伝うぞい」

「すまんの……。皆でこの苦しみから乗りこえようじゃないか」

 結局、洞窟の汚染を自然と待つ結論となった。
 しかし、それまでに病に犯された村人の体力が持つのかわからない。
 病で衰弱し、免疫の弱い子供と老人の命が危ないのは解っていた。
 しかし、誰もそれを口にしないのは覚悟のうえでだろうか。


「……っ……うっ……うっ……」

「ドン……できるだけ薬はお前の家に優先するからな」

「すっ……すまねぇ……」

 ドンと呼ばれたバンの隣で声を殺しながらすすり泣く男。
 親はもちろん、妻と子供が病に犯されて絶望状態。
 洞窟をモンスターから開放されたと知った時に1番喜んだのは彼であろう。

 だが、今魔水が汚染されたと解った今としては1番の絶望も彼である。
 そこに来たミツの存在は彼を絶望から救い出す仏の糸の様な存在になったであろう。


「お婆ちゃん!!」

「コラッ! アイシャ今大切な話をしてるところだよ、そんなバタバタと入ってきてどうしたんだい」

「いいよいいよ、村長話は終わったんだから」

「そうじゃそうじゃ、アイシャちゃんが儂らに会いに来てくれたんじゃから怒る事なかろうに」

 アイシャを我が孫の様に可愛がる爺さんグループ。
 いつものことながら何故か子供に、特にアイシャに対しては甘いのでギーラも呆れるしかなかった。


「はぁ……。爺共が甘いと婆が叱る立場になっちまうんだよ。あんたたちもアイシャを大切に思うなら叱るときは叱りな!」

「……怖」

「……鬼がおるぞい」

「ははっ……。でっ、どうしたんだアイシャ、いつも以上に慌ててるじゃないか」

「もう! バンおじさん私いつもそんなに騒がしい子みたいに言わないでよ……。たまにだもん」

「皆様、お話中に失礼いたします」

 アイシャがギーラ達がいる集会所に入った後に自分とマーサが入る。
 勿論マーサが病に苦しんでいたことは村人皆が知っていること、ベッドから起き上がり動き回るなんてありえないのだ。
 集会所にいた皆が驚きの表情を浮かべていた。


「っ! マーサ!」

「マーサちゃん!」

「お話中に失礼しますお母様。どうしてもお話をしなければいけないことがありまして、皆様のお話中に申し訳ございません」

 深々と頭を下げギーラの言葉を待つマーサ。


「そんな事よりどうしたんだい。あんた駄目じゃないかちゃんと寝てないと、治るものも治らなくなっちまうよ」

「お婆ちゃん大丈夫、お母さんの病気は治っちゃったよ」

「なんだって! そんなはずあるかい、マーサの病気はアース病、この大地にある魔力に当てられてしまってるからね、治すには黄色ポーションで体に溜まった魔力を流すしかないんだよ」

「でも本当だよ、お母さん見てみたら?」

「お母様お願いします、皆様の前でハッキリとさせたいのです」

 いきなり入ってきたと思ったら媳婦と孫が驚くことを言ってきた。
 勿論この二人が人を騙すような嘘をつくはずはないと知っているギーラではある。
 だが、病の恐ろしさを理解してるギーラには二人の言葉は半信半疑であった。


「解った、マーサこっちおいで。爺共はあっち向いてな」

「ケチ臭いのぉ」

「老い先短い年寄りは大切にするもんじゃぞい」

「まぁまぁ、おふくろマーサは本当に回復したのか?」

 ギーラの言葉に文句を言いながらも男は後ろを向き、アイシャも自分をジト目で見ていたので回れ右とした。

 触診しながらギーラは驚いた。
 確かに目の前にいる媳婦のマーサは病に蝕まれていた。
 体の手足は筋肉を減らし、以前と比べたら張りを失ってしまっている。だが今は血と魔力の流れが正常の者と変わらない状態、血色もよく体温も低くない。
 ギーラは突然の回復に驚かされていた。


「いいよ皆、こちらを向きな。結論から言うと間違いない、マーサの魔力の流れも穏やかになって顔色も戻ってる、マーサは確かにアース病から治っておる」

 ギーラの診断結果に皆声を揃えで驚いた。


「しかし、いきなり治るものでは無いんじゃろ?
村長の今貰ってる薬でも治すのは無理だと言っておったし。マーサちゃん何かやったのかい」

「いえ、私は治療をして頂いただけです」

「治療! ギーラ婆さん以外に治療ができる者が村の中おったのか!」

「村の人ではありません」

 そう言葉を残すとマーサとアイシャは自分の方に笑顔を向けて笑っていた。

 それだけで皆はわかるのだろう、周りの人達も自分に注目し始めた。


「えっ……えっ! まさか!」

「ミツ坊、まさかお前さんが治したのかい!?」

「はい、魔水が駄目になってしまったので変わりに。自分の魔力の制限がありますが、マーサさんを見ていただいた通りに病から治すことができます」


「「「「おおぉ!」」」」

 治療できる人が目の前にいる、それだけで歓声のような声があがり、早速治療の申し出がきた。


「ミツ坊、魔水も汚れ浄化に何日何ヶ月とかかる、村の半数がアース病と言う魔力の病に犯されておる」

 ギーラは村長として自分の前に座り頭を下げながら村の状態を細かく教えてくれた。


「そこにいるドンの家族。この者の家族は特にアース病に犯されておる、実を言うと明日を迎えるのも恐ろしい程の状態が続いておったのじゃ。村には金も食料もほとんど無い、じゃがお主が求めるものなら村人皆で捧げることをここに誓う。どうかお主の力を我々の村に。アース病から村を救ってくれんか」

 皆は頭を下げながらも啜り泣く声が聞こえる。

 あまり人から頭を下げられる事が無いので戸惑ってしまった。
 いつもは使う側より使われる側だったしな。


「解りました。皆さん頭を上げてください、元より治すつもりでしたからそんなことしなくても気にしないですから」

 その言葉を聞いた人達は目が熱くなったのか、手で目を抑え溢れる涙が止まらなくなっている。

 本当にヤバイ状態だったのだろう、改めてこの村の危機だった事が皆を見てわかる。
 ちょっとゲーム設定重すぎないかいと内心思わ。


「ミツ君、さっき言ってたけど君の魔力的には、何人くらいアース病から治すことができるんだい?」

「まだ魔力が高いわけでは無いので残念ですが全回で三人までです。先程マーサさんを直したので後二人ですね」

「そうか……」

「ごめんなさい……」

「マーサ、何あんたが謝ってんだい! あんたが治ってくれたから確信も取れて希望が出てるんだからね、謝るのはミツ坊にも失礼なことだよ」

「はい……お母様」

「そうですよマーサさん、それに今は三人しか治せませんが少し待っててください、今よりは多く治せるようになると思いますから」

「ミツさん? それは……」

 少しモンスターを狩ってレベルを上げれば魔力が上がるかもしれない。
 魔力値はMPに反映してるから増えるかもしれないからね。
 コブリン4〜5匹で数個レベルが上がったんだ、まだレベルが低い今なら直ぐにあがるだろうし。


「村長! 頼む! 俺の家族を先に見てくれ!」

「ドンわかっておる、落ち着きなさい。ミツ坊、すまんが先にこのドンの家族を治してやっておくれ」

「わかりました早速行きましょう」

「すまねぇ……すまねぇ……」

「いえ、でもご家族皆とおっしゃってましたが自分後二人しか治すことができませんけど」

「……うっ……うっ」

 いや、気持ちはわかるけどMP無きゃ何にもできないからね。
 そんな捨てられた様な顔はやめてよ。


「なら、せめて先に子供を頼む、衰弱して飯も食わねぇんだ」

「わかりました、後はその場判断でいいですね」

「ああ、かまわねぇ」

「ミツ坊の魔力が回復すればすぐにでもまた治療してもらえばええ、バン動ける人手を集めて蓮色草を集めてきなさい」

「ああ、解った青ポーション作るんだな。しかし、咲く時期は終わってるし残ってるか解らないし、滅多なことじゃ見つからない品物だぞ」

「ええから探しくるんじゃ! 少しでも見つかればその分ミツ坊の魔力も回復できる!」

「儂らも手伝うぞい」

「待ってるだけじゃ落ち着かんからの」

「私も行く!」

「アイシャはお留守番じゃ」

「えー何で何で! お婆ちゃん私が探し物得意なの知ってるでしょ」

「しかしの〜」

 先程ゴブリンに孫が襲われそうになったばかり、祖母としては心配するのは当たり前の言葉だろう。


「おふくろ、アイシャは俺が見てるから安心しな」

「そうかい? アイシャ! バンからあんまり離れるんじゃないぞ」

「はいはい、お婆ちゃんも心配症だなー」

「アイシャ」

 コツンとマーサからの頭のひとつきで反省? アイシャは舌を出しながら笑ってるけど。


「ごめんなさい」

「マーサ、すまんがミツ坊についてドンの家に向かっておくれ。私は青ポーションの準備をしとくよ」

「はい、ミツさん行きましょう」

「皆、頼んだよ」

「「「「「おう!」」」」」」


 ギーラの一声で一斉に行動を起こす村人。
 自分もできることはやらないと、早くドムの家に向おう。   

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