落ちこぼれな俺と神聖精霊

ボラオ

交差する運命


「それでは、次の方どうぞ」

受付係の人がそう言うと、最前列の人がカウンターに向かった。周りを見渡せば人、人……。お陰で、またしてもアホみたいに長い列に並ぶ事3時間半!!発売前のゲームか!まぁ、何故こうなっているかと言えば、、人工島に着いた俺たちは、手続きを済ませる為に学校に向かった。そこまでは良かった。問題は、その受付をしている学校の敷地内にある訓練場が人に埋め尽くされていたからだ………。因みに、その中にレオルやキュリアもいた。まぁ、明日で休日は終わりだし、6つの学校が1つに統合すると言う事はかなりの人の量になるのは間違いないからしょうがないと思うが………。それから、ため息を1つしてフユカの文句を聞いていると、俺たちの番になった。

「おい、呼ばれたぞ」

親父の後をついて行ってカウンターに向かった。

「御名前とランクを此方の用紙に記入して下さい。また、ご希望があれば御伺いしますが……」

受付の人が親父にそう言った。俺とフユカは、用紙に記入しながらそのやりとりを耳に入れていた。

「そーだなぁ。あっ!この二人婚約者だから同じ部屋にしてくれると親としては助かるんだが、、できる?」

俺は、それを聞いて……

「「ちょっと待て!(待って下さい!)」」

意外にもフユカと被ってしまった。

「うん?何か問題でもあるか?」

そして、コイツはいつも通りアホ面だ。

「問題大アリだ!何考えてんだよ!俺らまだ未成年だぞ!」

「でも婚約してるだろ?なら、問題ないだろう!」

ダメか〜。コイツには何を言ってもいかないかのか!

「それに、この1ヶ月ほぼ同棲みたいなもんだらう?」

そうだった!?忘れてた!

「それを言われると……でも、フユカもいきなりは流石に……」

俺はそう言いながら、横にいるフユカに目を向けると……

「いえ、それは良いっていうか……寧ろ嬉しいんですが……その、やっぱりまだ心の準備が……先輩…その…優しくして下さいね?」

顔を少し紅く染め、恥じらいながら上目遣いでそう言った。全身から溢れる妖艶さというか、襲い……危なかった。これ以上はいかん!

「ふ、フユカ!!な、何を言ってんだ!俺たちはまだ、未成年だ。そんな事はしないからな!それに……結婚するまでお互い、清らかなままでいよう。」

その言葉にフユカは、、、

「け……けっ……結婚!?……そう言う事だったら……分かりました……じゃあ、先輩も浮気は、メッ!ですからね?」

そう言いながら、フユカは顔を少し膨らませながら近づけてきた。

「お……おう。分かった!絶対にしないから!!その…近い………。」

俺が、絞り出すような声でそう言と……。

「あっ…ごめんなさい先輩……」

「いや、別に……」

こんなやりとりをしていたら……。

「じゃあ、コイツら2人を同じ部屋で頼む」
   
「分かりました。婚約者でしたら、そちらの方が良いですからね」
     
そうニコッとしながら言った。

そこは普通できませんって言うだろ!
はぁー、ダメか………。

その後も、住民登録だとかいろんな手続きを済ませて、親父は人工島にある騎士団の施設へ、俺とフユカは学園敷地内にある寮へと向かった。

その向かう途中で、生徒と肩がぶつかった。身長は、150代後半か160代前半と俺より背は低く、髪型はソリッドショート。体型は普通な男子生徒だった。恐らく、歳は同い年くらいだろう。

「あ、悪い。大丈夫か?」

俺の問いにそいつは、、、

「いや、こっちこそ不注意だった。済まん。今は 、時間がないから忙してもらう。」

そう言うと、、、

「おーい!!壊軌くーん!早く早く!」

「壊軌!凄い列だぞ!」

「壊軌、早く済ませるぞ」

と、1人は大柄、1人は細身、1人はボンキュッボンの体の女子がそう言った。

「分かってる。今いく。」


壊軌と呼ばれる男子生徒は、友人であろう3人に呼ばれて受付へと向かっていった。その男子生徒の背中はまるで、何か邪悪なものが取り憑いているような感じがした。それと同時に…。

(何だ?あの感じ、肩に触れた時一瞬、ゾクってしたような…)

「なんだったんだ?今のは……」

少し考え事をしているとフユカが俺の腹を抓ってきた!

「!?痛って!!な、何すんだ!てか、痛い!痛い!どうしたんだ?」

俺は痛み耐えつつ、フユカの方を見た。

「さっき、あのボン、キュッ、ボンの女の人に見惚れてましたよね?覚悟して下さいね?せ・ん・ぱ・い・!」

めっちゃ怒ってる!

「見惚れてなんかいないよ!俺が好きなのはフユカだけなんだから!」

すると、俺の発言にフユカの顔が真っ赤になった。

「うっ…うぅぅ…。先輩のズル!惚れた弱味につけ込んで!なら、何を考えていたのか教えてください!」

惚れた弱味って…

「実はな、さっき肩がぶつかった時、なんか違和感がしてさ、何だろって考えてたんだよ」

「そうだったんですか!勘違いしてごめんなさい。でも、それは気になりますね!もしかしたら、破壊の神聖精霊の契約者だったりして!そんな事はないと思いますけどね」

破壊の神…か。確かに、今までとは違って6校から通っている人がいて、その中にはターゲットがいる。これからは、早急にしてバレないように同じ神聖精霊と破壊の神とその契約者を見つけなければならない。

「いや、取り敢えずは、その線で考えておこう。同じ神聖精霊の仲間も探さないといけないし、少しでも怪しかったら候補に入れておいた方がいいと思う。」

「わかりました!」

こうして、俺とフユカの当面の目的を大まかに決めて、寮へと向かった。

しかし、彼らはまだ知らない。この先、どれだけの地獄が待っているのかを……。

今日をもって、運命の歯車が大きく動いた。









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