落ちこぼれな俺と神聖精霊

ボラオ

出会いと始まり3

いつまでも眠っていたくなるような心地いい感じ。例えるなら、春の朝にベットから出たくなくなる感じと言った方が分かりやすいだろうか。
、、、、、そう、目が覚めた。が、周りに気配があるので目は瞑ったままだ。
その状態で、5分は経っただろうか、、、

(もういいかな?)

そう思ったので、ゆっくりと目を開ける。
最初に見えたもの、、、、それは、、、白い天井だった、、、その天井には見覚えはない。だが、おそらく保健室だろう。
俺は欠伸を一つしながら、上体を起こして周りを見た。そこには、精霊騎士が2人と教師が3人、それから生徒1人(制服についている校章が赤色なので、1年生)がそこにいた。
そして、俺が目を覚ましたことで視線が一気に集まった。ここで、一言。

「あっ、おはようございます!えーと、なんで、俺は此処に居るんですか?」

嘘である。『なんで、此処に居るのか』、それは、俺があの精霊に魔力を根こそぎ持っていかれて、気を失ったからだ。だが、あの精霊の話をしたら間違いなく自由な生活ができないし、めんどくさい。
だから、嘘をついた。
そして、周りの人たちの反応は驚きを隠せていないという感じで、精霊騎士でさえもまるで、せっかくお金を貯金して欲しかった物が買えると思ったのに、店に行ったらどこにもその商品が置いてないなくて店を出る頃には、涙が零れ落ちそうになっている子供みたいな顔になってしまっていた。少し申し訳無い気もするが無視をして、さっきからの疑問を聞いてみた。

「なぁ、君、一年生だろう?どうして此処にいるんだ?」

俺は、“彼女”にそう聞いた。彼女の特徴はなんと言っても、銀髪を二つの青のリボンで結んだ、ツインテールだ。結んだ髪は腰まで伸ばしている。背の高さも、だいたい145センチくらいだろうか。体型はやや、細すぎ?の様にも感じる。しかし、顔は整っていて、可愛い。胸は、、、まぁ、失礼な気がするので触れないでおこう!そんな事を思っていると、彼女が質問に答えてくれた。

「わ、私は、、、、その、えーと、試合中に現れた炎の塊を対処するはずだったんですが、その“ 気がついたら先輩が倒れていた”ので、、、、その、、先輩の“第1発見者として、事情聴取を先輩と一緒にするとの事だったので此処にいます。」

彼女は、そう言うと少し緊張したのか顔を紅く染めていた。
が、そんなことよりもあの薄れ行く意識の中で見た生徒が目の前にいる生徒とは、、これは下手なことはできない。それに、、、

(この子、まさか噂のSランク精霊騎士なのか、、、、俺より、一つ下なのに、、凄いな。そんなことよりも何故、この子は嘘をついて、、、)

俺は、一つ唾をゴクリと飲み込み嘘を続けることに、、、

「な、なぁ、、、炎の塊ってどうなったんだ?君の話だと、君が対処するはずだっけど、その間に何がどうなって俺は倒れたんだ?教えてくれ!」

そう言って、彼女の方を見る。すると、彼女と目が合うも恥ずかしそうに顔を紅く染め目を逸らされてしまった。が、一つ深呼吸をすると、此方を向いて話してくれた。

「えっと、先輩は覚えてないと思いますが先輩はあの炎の塊に近づいたんです。そして、先輩が手を出して炎に触れた瞬間に光って、気がついたら火事はなくなり、炎の塊も消えて、残ったのは倒れた先輩だけでした。以上が私の知っている事です。」

そう言うと彼女はニコッと笑顔になった。
その笑顔を軽くスルーして、考える。 
今ので確信、この子は俺の一部始終を見ている。しかも、どう言う訳か嘘をついている。一体何が目的なんだ?
とりあえず、この事は後に回して先に片付けなければならない事をする。
それは、、、、

「なるほど、ありがとう。じゃあ、事情聴取をお願いします。この子も俺も早く終わらせたいので」

そう言って、俺は早く面倒事を片付けたいので事情聴取をするようお願いした。が、精霊騎士の1人が俺に話しかけてきた。よりによってアイツが、、、、、

「おいおい、火聖!その右手の甲にある紋章はなんだ?見たことのない紋章だな鳥の羽と火ってところか?お前、精霊と契約できたのか?」

と、おれの親父キトラが余計な事を言って話しかけてきやがった!髪型は俺と同じベリーショートで背は180センチ。因みに俺は170前後だ。親父の顔は、良くモテていると聞くが、イケメンとは思わない。そんなことよりもどうやってその場をやり過すごす?一か八かやってみるか!

「な、何言ってんだよ!俺が精霊と契約?ないない!これは、タトゥーシールだから勘違いするなよ!あははははは!」

最後は、笑って誤魔化す作戦!そして、親父も一緒に笑っている!馬鹿で助かったぜ!

「アッハハハハハ、そうか!そうか!タトゥーシールか!なるほど!いやーよかった!お前が精霊と契約するなんて、この世の終わりだからなぁ!アーッハハハハハ!まぁ、あの炎の塊が精霊と同じ反応をしていたから、もしやと思ったんだがな!いやー、期待を裏切ってくれなくて良かった〜」

や、ヤベェ、今すぐにでもコイツをぶん殴りたくなってきた。どうしよう、、まぁ、とりあえず事情聴取が終わってからにしよう!

「そんなことよりも、早く事情聴取を!」

俺はいつまでも笑っている馬鹿をほっといて、もう1人の精霊騎士に言った。

「その事なんですが、、、、緋桜くんは炎の塊との記憶がないのと、そちらの生徒さんが先ほど説明していたので、その必要はありません。」

と、少し気難しい感じのする眼鏡をかけた女の精霊騎士が言った。

「そう言う訳だ火聖!俺たちは暇じゃないし、今ある情報だけで判断するしかないんでな!新しい情報が入り次第、事情聴取は御預けだな!まぁ、“ボロを”出さないように気をつけな!それじゃ、ナナミ行くぞ!」

そう言って、保健室を出て言った。
そして、親父とあのナナミという精霊騎士が俺の事について知っているという事が分かった。

(くそっ!うまく誤魔化したと思ったのになぁー)

そんな事を思っていると、気がつけば教師たちもいなくなっていて、この保険室には俺と彼女が残った。しばらく沈黙があったが、それを破ったのは俺だ。

「俺の名前は緋桜 火聖。なぁ、君の名前は何て言うんだ?」

俺はそう言いながら、ベットから降りて欠伸を一つする。彼女は頬を紅く染めらせながらも、可愛いらしい声で答えた。

「私の名前は、フユカ・アイヒスです。先輩の精霊の烈那さんとは先程からお話しさせていただいています。」

彼女の名前、フユカ・アイヒス。アイヒスとは、雪国にある貴族でその国には精霊騎士学校がなく留学したらしい。噂によれば、日本に用事があってわざわざ遠いに日本に留学したとか。そんな彼女が、今何て言った?烈那とさっきから話ていた?あまりの衝撃に、開いた口が塞がらない。そんな様子に彼女は心配したのか、俺の“近くまで来て”不安そうな表情を浮かべて、話しかけてきた。

「せ、先輩、大丈夫ですか?そんなに、驚きましたか?」

「まぁな。そうか、それで俺がいくら話しかけても応答がなかったのか。それと、君が嘘をついた事も納得する事ができる。」

彼女が、烈那を通じて協力してくれた事を話してくれてだおかげで、疑問がなくなったので保健室から出ようとしたが、彼女がいきなり後ろから俺の手を掴んで、大声で一言言った。

「待ってください!」

その一言と声の大きさ(可愛いさは変わらない)、そして手を女の子に掴まれた事にびっくりしが後ろを向いて用を尋ねた。

「ど、どうした?いきなり大声で、、、」

「い、いえ、、、そのすみません大声でいきなり、、、、」

「それはいいけど。俺に何か用か?」

「その、私が日本に留学した理由は噂なっているので知っていますよね?」

彼女は、そんな事を聞いてきた。

「お、おう。知っているがそれが関係しているのか?」

そう言うと、彼女の頬は少し紅くなり、俺の目を真っ直ぐ見て答えた。

「そ、その、、、、私が日本に留学した理由は、先輩の両親と私の両親が学生時代からの付き合いで、ある日のお酒の席で、、、言い難いのですが、、」

と、彼女は一旦切って俺に次の話しを聞くか目で訴えてきた。

(この流れ、、、、嫌な予感がしてきた。これは聞かない方が、、、、でも、この子の目。だめだ、逃げれない。)

「いいぜ。最後まで聞いてやる」

俺は、そう言って腕を組んでベットに座った。

「では、続きを。」

彼女はそう言って話しを続けた。

「ある日のお酒の席で先輩のお父様と私のお父様が、私と先輩が婚約する約束をしたんですが、、それから何年経っても連絡がつかないので、先輩との関係を進めるために、私は日本に留学しに来ました。」

彼女は、ニコッと笑って俺にそう言った。だが、俺はと言うと、、、

「はぁー、アイツ、、、、ぜってえ覚えてないな!しかも、その話し始めて聞いたしなぁ。君は、そんな約束のために人生を棒に振るつもりか?会ったことのない相手と勝手に結婚をする約束をされて、君は本当にそれでいいのか?正直に言うけど、俺は一生独身のつもりだから!それじゃ!」

俺は彼女にそう言うと、今度は俺が向かおうとしていたドアの前に立ち塞がった。

「お、おい。何のつもりだ?」

俺は彼女に聞いた。

「確かに、最初は嫌でした。けど、先輩のお父さんの事は知っていたので少し興味が湧いていました。でも、先輩の情報はどこを調べても出てこなくて、留学も両親は強制的にではなく自分の意思で決めました。だから、先輩がどんな存在だっか聞いたときはとてもがっかりしてしまいました。でも、精霊がいないのに、精霊使いを圧倒していると聞いたときに何か違う感情が湧き上がって、そして今日の出来事です。私は、初めて先輩とその戦い方を見て、、、その、、一目惚れをしてしまい、ですから、、、婚約とか関係ないです。全部抜きにして先輩の事が好きなんです!」

彼女は俺にそう言った途端に抱きついてきた。あまりにも突然なのと、さっきの告白のような事を聞いたせいか、反応ができなかった。俺は彼女を見ようとして下を向く、すると彼女も俺を見上げていた。目が合った。彼女の目の色はアイスブルーで、その目は今にも泣きそうになっていた。雫が溢れかけていた。上目遣い、涙、抱きつかれている。この状況において、俺は逃げられない。俺は心の中で溜息をすると、、、そっと、彼女の目元にある涙を右手の人差し指で拭き取り、彼女を抱きしめながら頭を撫でた。すると、彼女は、、、

「ふぇ?、、、、グスン、、、しぇ、、、しぇんぱい?ど、どうして?」

彼女は泣き出しそうになってしまった。

「え、えっと、、と、とりあえず泣かないでくれ!」

彼女が泣き出しそうになってしまったのであわわて何とかしようとしていると、彼女が笑顔になった。それを確認すると、彼女に言った。

「君が、本当に俺の事が好きだと言う事は分かった。だが、俺も君も互いの事は知らない、、、だから、友達からじゃ駄目か?」

彼女にそう言うと、彼女はポケットから紙一枚と、ペンを俺に出した。その紙に書かれた文字は、、、、

「精霊指導届け、、、あ、あのなぁ、Sランクの精霊騎士の君が精霊使いでもない俺に、一体何を教わると?」

俺は、呆れた声で聞いてた、、、

「それは、もちろん先輩の魔力を使った戦い方をです!それに、先輩は間違いなくSランク以上の精霊騎士になります!」

彼女は、さっきまで泣きそうだったのに笑顔で元気にそう言った後、ニコッと笑った。

「ま、魔力って、精霊の力が使えるんだからそれを使えよ!」

俺は彼女にそう言った!大声で!だが、彼女も負けじと俺に言い返してきた。

「せ、先輩は、移動が速いので詠唱を唱える隙がないので、その移動だけでも身につけたいんです!それに、人間は無い物ねだりですから!ほら、隣の芝生は青く見えるって言うじゃないですか!」

日本語もそうだが、ことわざまで知っているとは、少し感心した。

「はぁー、分かったよ。そこまで言うなら教えてやるけど、その代わりに何かしてくれ!」

俺は、溜息混じりに了承し、申請しようと彼女の名前が書かれている下の欄に自分の名前を書き、最後に許可と書かれた所に丸をつけて彼女に渡した。すると、彼女は不思議そうな顔をして、俺に聞いた、、、

「あ、あの、、、先輩、何かしろって、、何をすればいいんですか?」

彼女は、さっき言った条件の事を聞いてきた。

「うん?あー、そうだなぁ、、身の回りの世話とか?まぁ冗談だけd」

その次の言葉は、彼女の声によって消されてしまった。彼女は何と言ったか、、、、それは、、、

「それやります!」

そして、まだ続く。

「私にやらしてください!家事は得意ですので!それに、なんか夫婦ぽくっていいですね!えへへー」

彼女が、最後変なことを言った気がするが無視して、次に行く。

「そうか、家事が得意なのか!じゃあ、頼めるか?けど、会ったばかりなのに良いのか?」

俺は彼女に、聞いてみた。

「別に良いですよ!それに先輩の部屋に合法的に入れますし、しかも、好きな人の心を掴むにはまず胃袋からと言いますし!先輩の胃袋を、、、ゴクリ、、、」

最後の方、なんか怖い感じがしたが、まぁいいか、、、

「そうか、じゃあ頼む!」

「先輩、いつからですか?」

彼女がそう聞いてきた。

「あー、いつなら大丈夫だ?」

「いつも大丈夫ですよ?」

彼女の言葉に少し驚いた。何故って、だって女子高生がいつも空いてるって言う事に!友達いないのか?まぁ、キュリアやレオルに何とかしてもらえばいいだろう!そう結論がついて、俺は冗談混じりに言った、、、、

「じゃあ、今日からでいいか?まぁ、冗談だk」

また、彼女に掻き消された。

「じゃあ、今日行きますね!材料私の部屋から持ってきますね!今日は何を作ろうかなぁ?」

やってしまった、、、、まぁいいか。とりあえず夕飯は確保したので、保健室の時計を見て時刻を確認する、、、11時20分、おそらく教室には生徒がいて自習をしているだろうから、、、、行くか!

「ねぇ、君、、ねぇ!」

あれ?無視?こっちは向くのに何故直ぐに向き直る!しかも、独り言を言っているしどうすれば、、すると、頭の中に女の人の声が聞こえた。この声には覚えがある。

(火聖よ、彼女をこっちに向けさせて話しをする方法教えてあげようか?)

(れ、烈那か?そんな方法があるなら教えてくれ!それと、何で俺と話す前にあの子と話してるんだよ!てか、何話してたんだよ!)

俺は烈那に、彼女と話す方法と彼女と何を話していたのかを聞いた、すると、、

(何をって、君の事をバラされたくなければ、私に協力しろと脅されたんだ!彼女の契約精霊に!その、協力ってのが彼女と君の関係を上手く進めることだ。全くいい迷惑だが、案外面白いものだ」

烈那は俺にそう言った。

(そうか、、、てか何も面白くないぞ!それで、話す方法ってのは?)

(あぁ、簡単な事だよ。彼女を名前で呼んであげればいい。さっきから君は彼女のことを一回も名前で呼んでないからな。名前を呼び捨てで呼べばすぐ話しを聞いてくれると、彼女の契約精霊が言っているから問題はない!さぁ!叫べ!)

そう言って、叫べコールで煽ってきた、少しムカついたが無視して烈那に確認をした。

(本当に、それでいいのか?単純というか、拍子抜けしているというか、本当に大丈夫か?これで)

(安心しろ!彼女の契約精霊が言っているんだ!それで、失敗したら懲らしめればいい!そら言ってこーい!)

烈那がそう言ったので、俺は実行することにした。

「なぁ、フユカ?ちょっといいか?」

彼女に聞いてみた、反応は?

「!?えっ!?え、えと、そ、その、な、名前?やった!これはチャンス?」

独り言をぶつぶつ言っている。
もう一回やってみよう。

「ふ、フユカ?おーいフユカ?」

すると、

「は、はいっ!?な、ななな、どうしたんですか?」

良し!作戦成功!サンキュー烈那!

俺は心の中でそう言って、話しを進める。

「今から、俺はクラスに行くから、フユカもちゃんとサボらずに戻れよって言う話しをしようと思ったんだ」

俺は彼女にそう言うと、、、

「あっ、その話しでしたら私、先輩と同じクラスですよ?しかも席は隣です!これで、ずっと一緒ですね?」

「・・・・・」

俺は今日一番の驚きで、反応ができなかった。

「ふ、フユカその、じょ、冗談は流石に面白くないぞ!」

俺は一応、最後の可能性、『テッテレードッキリ大成功!!」と言う言葉を彼女の口から出る事を願った!そう願ったんだ!だが、今日嘘をついてしまったせいか俺の望んでいた言葉はなく、代わりに別の言葉が待っていた、、、、

「何を言ってるんですか?冗談な訳ないじゃないですかぁ〜もう〜!先輩ったら!照れ屋さんなんだからぁ〜!」

そうして、心がへし折れて意識はないまま彼女に“腕を組まれ”俺のクラスであるEクラスに向かった。



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