最強賢者の異世界無双 〜不遇とされた転生賢者はチートと現代知識で世界最強〜
プロローグ:最強賢者は異世界に転生する
カタカタカタカタ……。カチカチカチカチ。
狭く暗い部屋でPCの光だけが俺の顔を差している。部屋に響く音はキーボードとマウスのクリック音だけ。
「よし、クリアっと」
俺はこの日、いつも通りに水曜日の定期メンテナンスが明ける10時ごろにファンタジーRPG『Last Legend Online』通称LLOにログインし、今日実装の新イベントを消化していた。
初実装の爆絶難易度ダンジョンはソロでしか受けることを許されない。キャラクターの性能と、高度なプレイヤースキルが求められるダンジョンだった。
しかし、LLOの廃人プレイヤーである俺にかかればこの程度のことはどういうことはない。いつも通り新イベントはサーバー内で最速クリアを果たした。
最速クリアを目指して動画配信する輩にとってはさぞ迷惑なことだろうが、俺には関係ない。それに最速クリア者には特別な報酬が毎回与えられる。
今回は何だろうな。
《宝箱を獲得しました》
俺はクリア報酬の宝箱をクリックし、確かめる。
《『転生の笛:賢者』を獲得しました》
すかさず説明を確認する。
この世界の神により作られた天界の笛。使用すると、新職業『賢者』として転生することができる。[注意]使用したプレイヤーは一度死亡する。
……これは凄いな。
新職業『賢者』。前回の大型アップデートで追加された職業だ。初期ステータスこそ低いものの、レベルアップ時の伸び幅がとてつもない。覚えられる魔法も優秀なものが多い。ゲームバランスが崩壊しかねないほどのキャラクターだ。
新規勢が俺のような古参に追いつくための工夫だったのだろう。
俺も『賢者』には危機感を覚えている。今はまだ新実装されたキャラクターのレベルが上がり切っていない。だから俺はサーバー内で最速クリアを果たせた。
だが、いずれ『賢者』もレベル最大にしてしまうプレイヤーが現れるだろう。……その時は――。
しかし、このアイテムを使うと、一度死ぬだけで賢者に転生することができるらしい。
死亡ペナルティとして経験値が減る。おそらく一日分の経験値が減るのだろうが、俺は既にカンストしているので関係ない。
俺は小躍りして『転生の笛:賢者』のアイコンをダブルクリックで使用する。
『本当に使用しますか? はい/いいえ』
鬱陶しいダイアログが出てきたので、迷わず『はい』をクリックする。
『プレイヤーは死亡します。本当によろしいですか? はい/いいえ』
「あーうぜー。確認は一回にしろよ!」
俺はシステムにツッコミを入れ、『はい』をクリック。
その直後、とてつもない不快感に見舞われる。
なんだ? ……胸が苦しい……。
俺は胸を押さえた。
息苦しいんじゃない。胸が締め付けられるような、そんな苦しみだ。
10秒ほどが経ったとき、俺の意識は完全に途絶えた。
☆
……ここはどこだ?
知らない天井が見える。木目調の天井だ。
かなり不摂生な生活をしていたから倒れたのかもしれない。ここは病院か? いや、それはない。俺の部屋を訪ねてくるやつがいるはずがないのだ。なぜなら俺には友達や彼女がいないからだ。
「サーシャ、ユーヤが起きたぞ!」
「あら本当!」
こいつらカップルか?
めちゃくちゃ幸せそうに眼が覚めた俺を見守っている。
サーシャという女は金髪の西洋美女という顔立ちで、バストは大きめ、お尻と太ももがムチムチしているがデブではない。可愛いというより綺麗な人だった。
男の方の名前はわからないが、黒髪黒目で東洋風だ。日本人と似ていると言えなくもないが、少し違う。ダンディな感じだ。
いや、待てよ。
なんでカップルが俺を見ているんだ?
疑問が募る。
くそ、何か喋らなければ。
「おぎゃあ……おぎゃあ!」
……あ、これはまさか。
気づけば、俺の口には歯がなかった。首も動かないしおかしいとは思っていたんだ。
まさか、信じられないが……。
転生したのか?
しかし、確か俺はさっきまでLLOで『転生の笛』を使って……いや、まさか。
あの注意事項。……無駄にしつこい確認ダイアログ。
死亡するのはキャラクターではなくプレイヤーと書いてあった。普通に考えればゲームシステムが直接人間に干渉することなど不可能。
だが、これはどう考えても……。
いや、そうとしか思えない。
だって、ここは狭くて暗かった部屋じゃない。広くて日の光が差し込む部屋。
カップラーメンの使用済み容器やスナック菓子の袋は散らばっていない。零れたままの放っておいたせいでついたコーラのシミもない。パソコンもなさそうだし、なにより……。
目の前のカップルが外国人だ。そして、このカップルは俺の親じゃないとおかしい。そうじゃなければ誘拐犯だ。
カップルの言葉は自然と理解することはできるが、明らかに日本語ではない。
「ここは一体……どこなんだ?」
とは言っても、そこから考えられることなど多くはない。
夢を見ているのだとする。いや、ないな。リアルすぎるし、夢だと気づいたときに起きてしまってもおかしくないはずだ。
だとすれば、信じられないが……異世界なのか?
狭く暗い部屋でPCの光だけが俺の顔を差している。部屋に響く音はキーボードとマウスのクリック音だけ。
「よし、クリアっと」
俺はこの日、いつも通りに水曜日の定期メンテナンスが明ける10時ごろにファンタジーRPG『Last Legend Online』通称LLOにログインし、今日実装の新イベントを消化していた。
初実装の爆絶難易度ダンジョンはソロでしか受けることを許されない。キャラクターの性能と、高度なプレイヤースキルが求められるダンジョンだった。
しかし、LLOの廃人プレイヤーである俺にかかればこの程度のことはどういうことはない。いつも通り新イベントはサーバー内で最速クリアを果たした。
最速クリアを目指して動画配信する輩にとってはさぞ迷惑なことだろうが、俺には関係ない。それに最速クリア者には特別な報酬が毎回与えられる。
今回は何だろうな。
《宝箱を獲得しました》
俺はクリア報酬の宝箱をクリックし、確かめる。
《『転生の笛:賢者』を獲得しました》
すかさず説明を確認する。
この世界の神により作られた天界の笛。使用すると、新職業『賢者』として転生することができる。[注意]使用したプレイヤーは一度死亡する。
……これは凄いな。
新職業『賢者』。前回の大型アップデートで追加された職業だ。初期ステータスこそ低いものの、レベルアップ時の伸び幅がとてつもない。覚えられる魔法も優秀なものが多い。ゲームバランスが崩壊しかねないほどのキャラクターだ。
新規勢が俺のような古参に追いつくための工夫だったのだろう。
俺も『賢者』には危機感を覚えている。今はまだ新実装されたキャラクターのレベルが上がり切っていない。だから俺はサーバー内で最速クリアを果たせた。
だが、いずれ『賢者』もレベル最大にしてしまうプレイヤーが現れるだろう。……その時は――。
しかし、このアイテムを使うと、一度死ぬだけで賢者に転生することができるらしい。
死亡ペナルティとして経験値が減る。おそらく一日分の経験値が減るのだろうが、俺は既にカンストしているので関係ない。
俺は小躍りして『転生の笛:賢者』のアイコンをダブルクリックで使用する。
『本当に使用しますか? はい/いいえ』
鬱陶しいダイアログが出てきたので、迷わず『はい』をクリックする。
『プレイヤーは死亡します。本当によろしいですか? はい/いいえ』
「あーうぜー。確認は一回にしろよ!」
俺はシステムにツッコミを入れ、『はい』をクリック。
その直後、とてつもない不快感に見舞われる。
なんだ? ……胸が苦しい……。
俺は胸を押さえた。
息苦しいんじゃない。胸が締め付けられるような、そんな苦しみだ。
10秒ほどが経ったとき、俺の意識は完全に途絶えた。
☆
……ここはどこだ?
知らない天井が見える。木目調の天井だ。
かなり不摂生な生活をしていたから倒れたのかもしれない。ここは病院か? いや、それはない。俺の部屋を訪ねてくるやつがいるはずがないのだ。なぜなら俺には友達や彼女がいないからだ。
「サーシャ、ユーヤが起きたぞ!」
「あら本当!」
こいつらカップルか?
めちゃくちゃ幸せそうに眼が覚めた俺を見守っている。
サーシャという女は金髪の西洋美女という顔立ちで、バストは大きめ、お尻と太ももがムチムチしているがデブではない。可愛いというより綺麗な人だった。
男の方の名前はわからないが、黒髪黒目で東洋風だ。日本人と似ていると言えなくもないが、少し違う。ダンディな感じだ。
いや、待てよ。
なんでカップルが俺を見ているんだ?
疑問が募る。
くそ、何か喋らなければ。
「おぎゃあ……おぎゃあ!」
……あ、これはまさか。
気づけば、俺の口には歯がなかった。首も動かないしおかしいとは思っていたんだ。
まさか、信じられないが……。
転生したのか?
しかし、確か俺はさっきまでLLOで『転生の笛』を使って……いや、まさか。
あの注意事項。……無駄にしつこい確認ダイアログ。
死亡するのはキャラクターではなくプレイヤーと書いてあった。普通に考えればゲームシステムが直接人間に干渉することなど不可能。
だが、これはどう考えても……。
いや、そうとしか思えない。
だって、ここは狭くて暗かった部屋じゃない。広くて日の光が差し込む部屋。
カップラーメンの使用済み容器やスナック菓子の袋は散らばっていない。零れたままの放っておいたせいでついたコーラのシミもない。パソコンもなさそうだし、なにより……。
目の前のカップルが外国人だ。そして、このカップルは俺の親じゃないとおかしい。そうじゃなければ誘拐犯だ。
カップルの言葉は自然と理解することはできるが、明らかに日本語ではない。
「ここは一体……どこなんだ?」
とは言っても、そこから考えられることなど多くはない。
夢を見ているのだとする。いや、ないな。リアルすぎるし、夢だと気づいたときに起きてしまってもおかしくないはずだ。
だとすれば、信じられないが……異世界なのか?
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