王子の僕には変態の姉がいる

ルルザムート

第3話 眼帯の男 part2

2012年 9月21日 16時00分
アルバシオン城内 吸血鬼専用集中治療室前
(日本時刻 9月22日 5時00分)


ガチャ

ハリス「…」
集中治療室から出てきたハリスを見つけると同時に俺は彼女に駆け寄る

アーサー「ハリス!姉ちゃんはーーー」
ハリス「命に別状はありません、輸血も致しましたので両目を含めた負傷もあと小一時間で完全に治癒するでしょう、吸血鬼だったのが幸いでした」
アーサー「…!良かった…」
ハリスの言葉に僕は胸を撫で下ろした

ハリス「さて、そろそろお聞きしてもよろしいでしょうか?アーサー様」
アーサー「…うん」
今までに見たことのないような切羽詰まった表情で僕を見るハリス

ハリス「一体向こうで何があったんですか…!?」
アーサー「それが…」
僕は人間界で遭遇した事実について包み隠さずハリスに話した



ハリス「…エレナ様を狙う眼帯の男『ガルシア・クラウン』…」
アーサー「彼の部下という人物が言っていたんだ、エレナが…大勢の人間を殺害したと…」
最初に僕に銃を突きつけた男…ジェルフ・シュナイダーという人間から聞いた話だ、交戦的ではなかったため話し合うことができた、少なくとも彼はまともだと僕は考えている

ハリス「はぁ…アーサー様?」
アーサー「分かってるよ…」
ハリスの言いたいことは分かる、エレナがそんなことをするハズが無いと…僕もそう思いたい、でもーーー

アーサー「ジェルフさんの言っていた少女の特徴を踏まえれば…エレナになるんだ」
ハリス「…」
…嫌な沈黙が流れる

アーサー「…」
ハリス「…このことは…エレナ様のことは内密にしましょう、事実がどうかに関わらずアルバシオンに混乱を招くことになります」
アーサー「…うん」
ハリスは落ち着いているように見えるが…手の震えから動揺しているのが分かる

言わないでおくべきだっただろうか?でも…
アーサー「…」
…話題を変えよう

アーサー「そういえばハリス、まだ助けてもらったお礼を言って無かったね」
あの時ハリスが次元の穴を開き、人間界へ来なかったら僕らは間違いなく殺されていただろうし…
ハリス「いえ、アルコット家を…皆さんをお守りするのは当然のことです、それにお二人が咄嗟に次元の穴を開いていなければ…」


え?
アーサー「ちょ、ちょっと待って、ハリス?次元の穴を開けたのはハリス…アルバシオン側からじゃないの?」
当然僕らがあの状況で次元の穴を開く余裕などあるわけが無い

ハリス「…?こちらの記録ではアルバシオン側で開かれた次元の穴はお二人を送ったものが最新のものとなっておりますが…?」
アーサー「じゃあ…」
あの次元の穴を開いたのは誰なんだ…!?

次元の穴は作るのにかなりの量の魔力が必要だ、魔力を扱える悪魔、吸血鬼が数十人か…もしくは僕ら王族やハリスのような天才がなんとか開けるようなーーー

アーサー「…!」
まさか…
脳内エレナ「お兄ちゃん?」
アーサー「エレナ…?」
メイド「メイド長!」

唐突に廊下の角から1人のメイドが走ってきた
かなり慌てた様子だが…あれ?そういえばこの人って…
ハリス「どうしたの?」
メイド「それがーーーわっ!アーサー様!?いつ戻られたのですか!?」
アーサー「ついさっきだよ、それよりかなり急いでいたようだけどどうしたんだい?」

思い出した、この人この前腰を痛めて掃除してた人だ、もう治ったのかな?
そんな呑気な事を考えていた、が
メイド「そ、そうでした!侵入者です!城内に人間の侵入者が現れたんです!」

アーサー&ハリス「っ!?」
次の瞬間僕はハリス共々凍りついた
アーサー「人間のーーー」
ハリス「ーーー侵入者?」
最悪の未来が頭に浮かぶ

一瞬しか眼帯の男…ガルシアを見ることはできなかったがあの男の全てを破壊するような憎悪の表情は目に焼き付いている
回想ガルシア「終わりだ!」


あいつがみんなを、アルバシオンのみんなを皆殺しにしていく場面が頭にーーー
アーサー「侵入者は今どこに?」
メイド「し、侵入者は今現在クラマ王の私室付近に、あとーーー」
っ父さん!

アーサー「…守らなくちゃ」
ハリス「アーサー様?」
道連れにしてでもあいつを倒して、みんなを守らなくちゃ…僕はアルバシオン王子なんだから…!

そう思ったとほぼ同時に体が動いていた
メイド「ちょっ、まだーーー」
ハリス「アーサー様っ!!!」
ハリスの制止を振り切って2階の階段へ走る

ハリス「ああっ、もう!昔から無茶ばかり…!アーサー様より先に眼帯の男を見つけます!すぐに索敵魔法を展開しなさい!」
メイド「…え?あの…眼帯の男って?」
ハリス「フラルド様に重傷を負わせた人間です!早く!」
メイド「あの…侵入者の痕跡から得た情報なんですけど」
ハリス「後にしなさい!今はーーー」
メイド「侵入者2名は…両方とも17、18歳の女性だそうなんですが…」

ハリス「…え?」



父さんの部屋の前に着いた!人間の気配は…今のところ無い、ひとまず大丈夫だろう、それによく考えてみたら侵入者発覚の時点で父さんが同じ場所にいるわけないか
アーサー「ひとまず周囲を確認しよう、近くには居ないようだしーーー」

そう小さく独り言を言って目の前の角を曲がった瞬間、
アーサー「え?」
???「ひょ?」
ゴヅッ!!
アーサー「んがっ!?」
???「ぅおいってっー!?」

何かと強くぶつかり転倒する
アーサー「め、めっちゃ痛い…!」
いや、そんな事を言ってる場合じゃない!侵入者はーーー
人間の少女「ぬおおっ…頭が割れそ…う?あ!ごめん!大丈夫!?」


結論から言えば侵入者は眼帯の男ではなく、人間界のどこにでもいそうな少女だったがーーー
アーサー「!?」
これは…どういうことだ!?
遥「やっと人に会えた!あたし影月 遥!あなたの名前は?」
その少女は僕がエレナにプレゼントしたハズの髪留めを付けていた


第4話 part1へ続く



↓プロフィール

ガルシア・クラウン(眼帯の男)
性別 男
年齢 ?
身長 160㎝
体重 51kg
血液型 ?
髪の色 銀
目の色 青
武器 銃火器(その他の武装も可能性あり)
好きなもの ?
嫌いなもの ?

人間界に降り立ったフラルド達の前に突如現れた眼帯の男
右眼に眼帯、右腕が義手となっており三つ編みの銀髪も人間の男性にしてはかなり異質であると捉えられる
だが最も異質なのはその戦闘能力であり、その能力ちからは魔界有数の実力者であるフラルドをはるかに凌駕した
ガルシアの詳しい目的は不明だがどうやら人間界に降り立ったエレナを追っているらしい、仲間の仇として…

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