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王子の僕には変態の姉がいる

ルルザムート

第2話 人間界へ part1

2012年 9月21日 12時45分
魔法実験室
(日本時間 9月22日 1時45分)


ハリス「そろそろ準備が完了します。あ、お皿をお下げしますね」
アーサー「うん、ありがとう」

ハリスさん…メイド長は軽く頭を下げた後、さっきまでクッキーが乗っていた空っぽの皿を持って部屋を出て行った

フラルド「…」
えーちゃん、大丈夫かな…えーちゃんと交換した水晶が壊れてないってことは無事なんだろうけど…いきなり音信不通になっちゃってるし…

フラ「ねえあーちゃん、やっぱり私の部屋の次元の穴ワールド・ホールで少しでも早く向かった方がよかったんじゃないかしら?」
アー「駄目だ、姉さんの作った次元の穴は往復分の2回分しか使えないんでしょ?僕らが使った後エレナと入れ違いになったら彼女が混乱する」
フラ「…」

実を言うとえーちゃんが人間界で行方不明になったのは私の作った次元の穴が原因なのだ、えーちゃんへの誕生日プレゼントととして人間界直通の次元の穴を開いたのだがこんなことになるなんて…

アー「それと姉さん、昨日ーーー正確には今日の朝のことだけどさ、エレナが行方不明だって分かったのなら真っ先に僕じゃなくお父様かお母様に知らせるべきじゃないの?」
フラ「それは…」
私はただ、父さん達に心配をかけたくなーーー

アー「王族として大事おおごとにしたくないと思うことには感心するけど僕らだけでは助けに行くのは不可能だし、何より王位継承権を持つ僕ら3人がいきなり消えたら国はどうなると思う?」
フラ「うん、ごめん…」

口に出しかけた言葉を飲み込み、代わりにーーー
アー「今、お父様が国民にこのことを発表してるからいいけどね、王政は何1つ国民に隠し事をしてはならないんだ」
フラ「あーちゃん、1つ聞いてもいい?」

あーちゃんにどうしても聞きたい質問をすることにした
アー「…なに?」
フラ「あーちゃんは、さ…」

国と妹、どっちが大切なの?
アー「なに?どうしたの?」
フラ「…なんでもない」
アー「…?そう、それで王政と国民というのはーーー」

怖くて言葉が続かなかった。聞く勇気が無かった。もし…例えば『家族が二の次で当たり前』なんて答えが返ってきたら…私はあーちゃんと今まで通り接せられる自信がない。そんな楽しくない生活なんて嫌…

アー「つまりね、国民あっての国なんだ、だから王政は…」
この子は…もし、もしも国を救うために家族を犠牲にしなければならないような状況になった時どうするのだろう?

アー「姉さん聞いてるの?」
フラ「え、あ、ごめん聞いてなかったわぁ」
アー「はぁ…全く姉さんは…」

この事を考えるのはやめよう…
いつか分かるであろうあーちゃんの中の答えを知るその時まで、私はあーちゃんとの時間をめいいっぱい楽しもうと決めた…もちろんえーちゃんを探すことも忘れてはいない

ハリス「アーサー様!フラルド様!準備が完了しました!」
アー「!」
ハリスさんから準備完了の報告を聞いたあーちゃんの表情が引き締まる

アー「ありがとう、それじゃ予定通り15時に帰還用の次元の穴を開いてくれ」
ハリス「はい、お気をつけて…」

ハリスが部屋の隅へ下がると同時に目の前に青く輝くトンネル…次元の穴が現れる
アー「よし、行くよ姉さん!」
フラ「ええ!」

私達は次元の穴を通って人間界へと向かった


2012年 9月21日 13時00分
アメリカ領海内 上空
日本時刻 9月22日 2時00分


アー「よし着いた、人間界だ」
フラ「着いたといってもこんな所じゃ魔界と変わらないけどね〜」

人間に見られることを警戒して海のはるか上空に次元の穴の出口を設定してもらったのはいいが…
アー「早く適当なところで地上に降りよう、空は疲れる…」

姉さんのように飛行できる翼を持っていたらそれを使えばいいんだけど…

フラ「疲れるならお姉ちゃんが抱っこしてあげようか〜?」
アー「ああハイハイ、また今度ね」
フラ「なるほど、後のお楽しみとしてとっておくと…」

僕のように翼が未発達で飛べないと魔法力による浮遊に頼るしかなくなる。結果…
アー「ふう…」
ただ浮遊しているだけで常に全力疾走しているように体力を消耗してしまう、なので早く降りたいのだが…
まずは雲の中から出ないと…周りが見えない

フラ「ねえあーちゃん、なんか音しない?」
アー「ん?」

さっきのように聞き流そうと思ったがよく聴くと確かにキーンという音がしている
アー「…?雷か何かか?」
雲の中だ…し…

音がどこからかわからないのでなんとなく振り返った時、なんの音かはっきりと理解した
アー「なっ!?」

姉ちゃんの首根っこを掴み、音の原因…飛行機という乗り物を避けるため横へ回避しようとするがーーー
アー「うっ!」

飛行機に翼があることを忘れていた俺は上に良ければよかったと一瞬だけ後悔し、衝撃に備えた

アー「…?」
だが偶然にも翼は僕らに当たらず、そのまま飛行機は通り過ぎていった

アー「…いや」
偶然だろうか?あの位置なら間違いなく翼の先端部分が当たっていたと思うが…まあ、助かったからよしとしよう

アー「空も安全じゃねぇな…」
フラ「ちょ、ちょっとあーちゃん!だから私は猫じゃないってば〜!」
アー「…」

黙って姉ちゃ…姉さんの首根っこから手を離す
フラ「もー、猫じゃないっていってるのにあーちゃんは…はっ!?まさかあーちゃんはそっち系…!?」
アー「…早く地上に降りるよ」

まったくもう…人間界に来てまだ10分も経っていないのにクタクタだ…
しかしタイムリミットがある以上休んでいる時間はない
アー「急がない…と…」グラッ…
フラ「あーちゃん?」

しかしそこまで言った直後、浮遊魔法に限界が来た
アー「…」
フラ「わっ!あーちゃん!?」

膨大な魔力消耗ですぐに限界が来た僕は浮遊状態を維持できずに海へとまっさかさまに落ちていった


2012年 9月21日 13時20分
アメリカ東部 鋳物工場 屋根の上
(日本時刻 9月22日 2時20分)


フラ「あーちゃん大丈夫?」
アー「うん、まあ…」

結局僕は海に叩きつけられるところを姉さんに助けてもらった、今は海の近くで人通りがほとんどない何かの工場の屋根の上で休んでいたのだが…
うん、体はもう大丈夫そうだ

アー「…ありがとう、姉さん」
フラ「そう、それはよかったわ〜」ギュー
アー「うん、だからその…」
フラ「なぁに?」ギュー


アー「…離れてくれない?」
僕の左腕に手を絡ませている姉さんにやんわりとお願いする

いや、浮遊魔法で魔力を消耗した僕に自分の魔力を分けてくれてるのは分かるし、ありがたいんだけど別にここまでガッツリ密着しなくてもそれはできる訳で…

フラ「えー」むにゅ
アー「もう大丈夫だから、エレナを探しに行こうよ」
フラ「そうねー」むにゅむにゅ

…故意だ、これは絶対に故意に胸を当てている、相変わらず姉さんは定期的に僕をおちょくらないと死ぬ病気にかかってらしい
アー「…」
てゆうか姉さんの、また大きくなってるような…って違う!そんなくだらないこと考えてる場合か!

フラ「あ〜!またあーちゃんが何かエッチなこと考えてる〜」
アー「誰のせいだよ!」
そう言い返した瞬間、僕は失敗に気付いた

フラ「考えてたことは否定しないのねぇ〜」
…こうなるから
アー「ぬがっ…!いいから離れてくれ!魔法使うから!」
フラ「はいはーい、もー…ワガママだなぁ」

そう言い、姉さんはやっとこさ離れてくれた
ああ…疲れる…

そう思いつつも口に出すのはやめ、剣を抜いてとある魔法を使うため、集中する
フラ「…」
僕が何をしようとしているのか察したのだろう、姉さんも口を閉じて静かに僕を見ている

よし、魔力は溜まった!
アー「カスタム『マジック・ソナー』…!」
魔法を唱えると、剣を媒介とした魔力が高周波に近いものへと変わり、広がっていく

アー「…」
この魔法は人間達が使う『ソナー』という探知機?を真似て作られた魔法の1つで使用者から一定範囲以内に存在する生物を探知できるものだ、ちなみに僕が今使ったのは特定の人物だけを探知するよう軽くいじったもので当然対象はエレナだ

アー「んー…」
まあ、人間界に来たばかりだしそうすぐには見つからないーーーん?

剣が少しだけ光り、反応を示す
フラ「あーちゃん?もしかして…」
アー「うん、エレナの魔力だ、場所は…」

剣を軽く左右へ振り、反応があった方向を確認する
…?
アー「あれ…」

ところが右へ向けても左へ向けても反応が変わらない、方向が合っていれば剣の光が強くなるはず…
フラ「ねぇ、もしかして…」

ボソッと言った姉さんの方を見ると真下の鋳物工場の屋根を見ている
…下?
そう思い剣を向けると
アー「!」

剣が強く光りだす
どうやら僕らの真下のこの建物らしい、正確な場所は分からないが…

アー「とりあえず中に入れそうな場所を探そう」
フラ「ええ、そうね」


↓プロフィール

ハリス・マニラーダ
性別 女
年齢 28歳
身長 164㎝
体重 49㎏
血液型 A
髪の色 黒
目の色 紫
胸 B
武器 ???
好きなもの 掃除、紅茶(特に誰かと飲む時)
嫌いなもの 埃

アルバシオン城にて10年以上メイドとして勤めているベテランのメイド長兼、アーサー達の世話係を担当している(もっとも彼らが成長した今はエレナ専属の世話係と言った方が正しいが)
何よりも掃除が好きで部屋が綺麗でもやることが無くなると掃除を始める
王女であるフラルドとは主と使用人という関係ではなく、友人として接することが多い、なんでもフラルドがそう望んだようだが…
また最近、部下のメイド達から合コンに誘われているが行くかどうか迷っているそうだ

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