Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

73 手のひら返し




身体がふわふわする・・・

頭もふわふわする・・・

意識がはっきりしない・・・

ボーッとする・・・

周りが騒がしい・・・



「ロミーに何をした!!」

ドン!ドン!バリンッ!

銃を撃つ音?ガラスが割れた?

「黙れ!愚か者供が!」

オブザーバーさん、キレてる???

ドン!ドン!ドン!ガッシャーーーン!!

なになになに???

「キャ!観測者さん!どうなってるの!?まるで別人のようだわ!!ジャックも攻撃をやめて!」

攻撃!?なんで!?ジャックとオブザーバーさんが戦闘してるの!?
ちょっと!なんで身体が動かないの!?
動け!動けっ私の身体!!!!!














ーシルバーシティ リオン邸 上城サイドー

どうなっているんだ!?
ロミーさんは観測者さんに首を絞められて気を失った!?
しかもジャックが怒り狂って観測者さんに攻撃を始めて、部屋の中は破壊され、ボロボロだ!

「ジャック!ジャック!攻撃をやめろ!三日月!ロミーさんの治療を!」
「ち、近づけないわ!二人ともやめて!」

じ、地獄だ・・・
観測者さんって、あんな人だったか?

「ロミーに頼りっぱなしだったくせに、邪魔になったら排除するのかっ!!!くそっ!」
「橘の彼氏さん!や、やめろ!俺達まで殺す気か!」
「邪魔だ!どいてろ!」

ジャックの言う通りだ、あれ程ロミーさん頼りだったのに、急に手のひらを返すような事を・・・
この場をとにかく落ち着かせようと、谷口にジャックを魔法で眠らせるように指示を出した。

"berceuse"〈子守唄〉

「なにをっ!!!・・・」

ドサッとその場にジャックは倒れた。
それでも観測者さんは攻撃体制のままだった為
、バニラも観測者さんに噛み付いた。

「いい加減にしろっ!!!」
「っ・・・」

噛み付かれた観測者さんはバニラを振り払う事なく、優しくおろした。
俺達も攻撃されるかと思っていたけど、観測者さんから殺気が消えて、少しホッとした。

直ぐに、ロミーさんのもとへ駆け寄り、確認すると、首を絞められた痕が残っていた!!
三日月に治療をしてもらい、首のアザは消えたけど、目を覚まさなかった・・・

「観測者さん!ロミーさんは何故目を覚まさないんですか」
「・・・魔神が活動停止するまでは眠ったままだ」
「それは、どう言う事ですか!!?」

観測者さんはとても冷たい目で俺達を見下ろしている。

「数ヶ月か、一年か、それ以上きるかもな」

は!?ロミーさんがそんな長い間、目を覚まさないと言うのか!?

「ど、どうして、こんな事を!?」
「ロミーが存在すれば"イレギュラー"の思うツボだからだ・・・」

観測者さん、本当に別人みたいになってないか?とても優しそうなイメージだったのに、物凄く冷たい。

「お前達も大人しくしていれば"イレギュラー"も手を出すまい」

そう言うと、観測者さんは消えてしまった・・・


ロミーさんの部屋は銃を乱射した後や魔法で爆発をおこしたので、廃墟のような状態になっていた。
となりのジャックの部屋へ移動し、谷口にジャックを担がせソファに寝かせさせて、俺はロミーさんをベッドに寝かせた。


普通に眠っているようだけど・・・本当に目を覚まさないのか???

騒ぎで駆けつけたクラウドさん達、使用人数名は先程からロミーさんの部屋を魔法で修復していているみたいだ。


「ねぇ、上城君、これから、ど、どうしよう?」
「・・・ロミーさんがこのまま目を覚まさないとなるとジャックが荒れそうだな」
「俺嫌ですよー、さっきの怒り狂ったこの人、目がマジでイっちゃってましたもん!殺されるかと思ったんすからーーー」

騒ぎを聞きつけて、アカギ達も駆けつけた時ジャックが目を覚ました。

「んっ・・・ロミーは!?」
「ジャック!落ち着いて!ロミーさんなら眠ってるよ」

ベッドで眠るロミーさんのもとへ真っ先に駆け寄り、ロミーさんを抱き寄せてジャックは泣いていた・・・

「ジャック、観測者さんが言うには、ロミーさんは、半年後か一年は目を覚まさないのらしい・・・」
「・・・!?そ、そんなっ!!!ロミー、ロミー、俺だっ、目を覚ましてくれ、ロミー・・・やっと思い出してくれた矢先にまた君を失うのかっ!!!くそっ!」

ジャックは2度もロミーを失う悲しみで、心を閉ざしてしまった。





ーロミーサイドー

あ、アレ?何で、私の身体はベッドで寝てるの?私の浮いてる???
ジャックがずっと手を繋いで看病してくれてる???
あれ?あれ?ちょっと!身体が勝手に!引っ張られる!?
何で!?部屋の外にでちゃったよ???
私どこかに行くの!?
身体は浮いてるけど、自分の身体には戻れそうにない・・・
幽体離脱というやつなのかな・・・

あ!バニラ!私!ここだよ!バニラ!!
廊下を歩くバニラを見つけ、手を振った!

「ん???」

何か感じ取ったみたいだけど、私の姿はバニラには見えないみたいで、バニラはそのまま私の身体が眠る部屋に入っていった・・・

ど、どど、どうしよぉ!!!

身体は浮いてるし、透けてるし!
わ!わ!壁!そっちは壁だよ!?ぶっぶつかる!?

そう思った瞬間、身体は壁を通り抜け、外に出た。
屋敷の三階だけあってなかなかの高さだけど、また私の身体は壁を通り抜け気がつくと、そこは二階の誰かの部屋の中だった。

誰かのシャワーを浴びる音が聞こえる。
誰の部屋かな??
備え付けの家具以外は特に個人を匂わすような物は無く、誰の部屋なのかは特定できなかった。

ベッドの真上あたりで私の身体は浮いたまま止まった。

ジャックの部屋で寝てたっぽいなぁ・・・一体何があったんだっけ?
たしか、オブザーバーさんに首を絞められ・・・その後、ジャックとオブザーバーさんが戦闘していた???

私、死んだのかな・・・???

暗い部屋の中で、床に足をつけることもできず、ただ宙に浮いている状態で、半透明だし、自由に動けないし、参ったな。

シャワーを浴びている部屋の住人を待つしかないか。
気づいてもらえないかもしれないけどね・・・
手を伸ばすと天井に手が届くけど、指は突き抜け、なんだか気持ちが悪い。
この上の階に私とジャックの部屋があるけど、頭突っ込んだら覗けないかな??

試そうとジタバタしたみたけど、やはり自由に動くことができなかった・・・

無駄に疲れた・・・仕方がなない、歌でも歌って、時間を潰すか・・・

「・・・・・・・・・・・・」





ー上城サイドー

サーーーーー、キュッキュッ。

鏡に映った自分の顔を見て、ひどい顔をしていいることに気がついた・・・
前髪をかき上げて、タオルを腰から下に巻いて、扉を開けると、声が聞こえた。
真っ暗な部屋の中に誰かいる!?

「I have nothing particular to say
There's so much to know・・・」

この曲・・・以前ロミーさんがカラオケで歌ってた曲だ・・・ってかロミーさんの声???

「え?ロミーさんいるの!?」

急いで明かりをつけ部屋の中を見渡したてみても誰もいなかった・・・いるわけないか・・・

「か、上城さん、私、ココです!」

え?声はするけれど、どこを見てもやはり、いない?

「う、上です・・・」

上?声のする方を見ると、天井にロミーさんがへばりついていた!!!
エクソシストの映画のワンシーンを思い出し、驚いて尻餅をついた。

「わー!わー!わー!上城さん!見てません!見てませんからねっ!」
「え?ご、ごめん!まさか居ると思わないし!ってか、なんで天井にいるんだい?ホラーなんだけど!」

はだけたタオルを拾い、すぐに服を着た。

「い、いやぁ・・・私にもよくわからないんですけどぉ、気がついたらこの部屋にいて、しかも私自由に動けないんです・・・」

ロミーさんは、両手で顔を隠したままだ。

「もう、服着たから、後、何で、身体が透き通ってるのかな?ご、ごめん、やっぱりホラーなんだけど・・・」

俺が言うと、ロミーさんは手足をバタバタさせているけど、本当に動けないみたいだった。
触れるかわからないけど、俺はベッドの上に乗り、ロミーさんに手を伸ばしてみた。

「あ、手、掴めたっ!」

その瞬間ロミーさんが落ちてきた!!

「ぎゃー!!」
「どわっ」

ベッドの上だった為、怪我はなさそう?俺はロミーさんを受け止めた。

「す、すみません、」
「い、いや、僕の方こそごめん、あれ?さっきは手を掴めたけど、今は触れないみたいだね?」

俺の手がロミーさんの身体を突き抜けている。
ダメだ、非科学的な事が苦手な俺はこの状況を受け入れられず、頭痛がする。

でも、ロミーさんが宙に浮いて、だいぶ自由に動けるようになったようだ。
くるくる回って遊んでいる・・・

「ははは、楽しそうだね、ロミーさん」
「だって、少しだけどやっと動けるようになったんですもん!」
「あ、和んでる場合じゃなかった!ジャックに会っておいでよ!ってアレ?・・・ロミーさん???」

先ほどまで目の前にいたはずのロミーさんの姿が見えなくなった。


夢だったのだろうか・・・




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