Re-start 異世界生活って結構自分に合っている件

ロミにゃん

67 雪と星と男



ー30分後 エントラスー

みんな集まりだしていた。

「あれ?ジャック、ロミちゃんは?」

「・・・さぁ?」

「ん?・・・まぁいいわ、アレ?上城君もいないじゃない」




私は自室にこもりボーーーッとしていた。
みんながもう集まってる頃かな・・・

コンコン
「ロミーさーん?もうみんな集まっているよ?」

上城さんが迎えにきてくれたんだ。
扉を開け部屋の外に出ると上城さんが優しく笑っている。
久しぶりの"上城スマイル"になんだか安心した。

「ロミーさん?大丈夫?元気ないね?体調でも悪い??」
「体調は大丈夫なんですけど・・・」
「今日はやめておく?」

きっと、こうやって優しくして、数々の女性を落としてきたんだろうな・・・
でも上城さんは、これ計算じゃなくて素でやってるんだろうなぁ
だからモテるんだろうなぁ
ふふふ、今、これが社内だったら全女性社員さんから嫉妬の嵐だろう。



私は深呼吸して、気持ちを切り替えた。


「ふぅ、さぁお買い物行きましょう!外は雪積もってますよー!」
「うん、久しぶりだね。無理しないでよ?」

私達が外に出ると皆んなが雪を投げ合って遊んでいた。

「え!?なになに!?雪合戦!?わーい!やるやる!私もやる!」
「べふっ!ちょ、ちょ、ちょ、みんなしてなんで俺ばっかり狙うんだぁぁぁぁあああ」
「ソルト!逃げてばかりじゃ勝てないぞ!」
「ぎやーーーーー」
「あはは、ははは」

皆んな楽しそう!
私はその場に座り小さな雪だるまを作って遊んでいると、突然、バケツをひっくり返したような雪の塊が頭上に落ちてきて、両手を地面についた。
振り返ると、ニヤリと笑うジャックが立っていた!!!

「!?や、やったな!ジャックー!!ムキィイ!!!」
「はは、ははは、わ!待った!待った!魔法は卑怯だから!ロミーぃぁああ!!」

どかっ!!
と、魔法で先ほどの数十倍の量の雪をかき集めジャックの上に落とした。
完全に雪に埋もれ、軽く雪山の出来上がり♪

「ふぅ、ちょっとスッキリしたぁ」
「もご、もご、ぶはぁっっっ!!し、死ぬかと思った・・・」
「にゃっはっはっはっはっ、あははははは」



ー1時間後ー

「こ、腰が痛い・・・」

「指がしもやけでやばい」

「これ、絶対筋肉痛になるよね???」

「自分の歳を完全に忘れていたよ・・・一週間遅れで筋肉痛くるんだった・・・」

皆んなで、雪の上に寝転がって、お喋りを楽しんだ。

「はぁーーでもチョーーー楽しかったぁ!雪でこんなにはしゃいだの何年ぶりだろう!!!」
「子供の頃以来だなぁ」
「30年くらい前な気がするなぁ・・・」
「ジャック、さっきから一人だけ発言がおっさん過ぎだ!!」
「あはははは」
「ふにゃーーー、いーーっぱい、笑って、スッキリしたぁ」
「ロミーさんさっき元気無かったから、楽しそうで良かったよ」
「えへへ」

急に皆んな静かになって、寝転がったまま空から落ちてくる雪をボーッと眺めた
こーゆーなんでもない時間って凄く好き!

「ねぇねぇ、白バラさん、落ちてくる雪が、星空みたいで、素敵ですよね?」
「あー空が真っ暗で、星みたいだな」

雪が?星空・・・

「こっちの世界は本当に星が綺麗だね」
「うん!わかるわかるー」
「・・・そう言えば、誰かと星を見に行ったなぁ、懐かしいなぁ。あの時の星、ものすご〜く綺麗だったなぁ。また見たいなぁ」
「!?」

私の言葉にジャックが反応して身体を起こして、私を見ている

「ロミー、それは誰と行ったか場所とか覚えているか??」
「え?うーんと、アレは確か・・・あれ?誰と行ったっけ?あ、でも二人?ん?思い出せないや・・・」

思い出そうとしても、霧がかっている感じで、よくわからない。

「もしかして、例のロミちゃんが、忘れているかもしれない記憶について???」
「あぁ、恐らく思い出しかけてるんだろう・・・」

ジャックが私に近づいてきた。

「・・・もしかして、ジャックと行ったの???」
「ゆっくり、ゆっくりでいいから・・・」

ぎゅっと握られた手が熱い。
みんなに注目されるのは不本意である。
出来れば、少人数を所望します・・・
でも、思い出そうとすると思い出せない・・・

「ジャック、何か知ってるなら教えてください、その方が思い出せるかもしれないし」

ジャックは黙り込んで、何か考えているようだけど・・・

「・・・無理に思い出さなくてもいいから、また思い出したら教えてよ。さぁ、そろそろ腰から下が冷たくなってきた、立とう」

立ち上がると、そっと手を離された。
ジャックの表情は、とても寂しそうに笑っていた。
時々、見せるこの表情は、私が原因だったのかな・・・

今思えば、この世界に来てシルバーシティの市場で初めてジャックと会話をした時、私、"はじめまして"って言っちゃったんだよね・・・
あの時のジャックの顔、今思えば物凄くショックを受けてた顔だった・・・悲しそうに笑ってたから。

でも知っているのに何で、話してくれないのかな・・・今は、聞くのをやめておくことにしよう。







男性陣は少し前を歩いている。
桜子さんが男性達に聞こえない程度に話しかけてきた。

「さっきの、ジャックってロミーちゃんの事知ってるのに、何で話さないのかしら?」
「私もそれ思ったんですよねぇ・・・もう少し話してくれればもっと思い出せるかもかもしれないのに・・・」
「何か私から聞いてみようか?」
「うーん、あ、それより、明日、リオンと2人でディナー食べに行くことになりました」
「え!?」

みんな驚いてる。

「ロミーさん、シルバーズさんとデートされるんですか!!素敵!でもジャックさんと輝さんがヤキモチやくんじゃないでしょうか?」

何で、ヤキモチ?あ、でもさっきのジャックはヤキモチだったのかな?

「いや、ないでしょー」
「いやいや、男と2人きりで、しかもディナーと言ったら、その後も、無いわけじゃないんだろう?」
「その後って?」
「ロミちゃん、そのデートはエミリオン氏が本気を出したって事じゃないかしら?」
「本気?」

確かにプロポーズされたし、本気って事になるのか・・・

「ロミちゃん、いい?2人きりで食事をするって事は、男は女を本気で口説きにかかってるって事なのよ!?」

桜子さんの顔がマジだ。グイグイくる。私は仰け反って、苦笑いだよ・・・

「気持ちに答える気が無いのに、2人でお会いになるのはお相手に失礼な気もしますよ?」
「・・・みんな男友達と2人で遊んだりしないの?」
「それとこれとは別だな」
「男友達かぁ、でも相手が好きだって、意思表示した後なら、失礼でしか無いわよ」
「・・・でも、答えを出す前に2人で食事したい。と言われたし、食事は断る理由特になかったし、早く返事しないと、ジャックと喧嘩になりそうだったし・・・」
「ロミーさん、それって・・・」
「それは・・・・・・」
「ロミちゃん、ちょっとそれ、く わ し く!!!!」




皆んなに肩を捕まれ、マジな顔で、グイグイこられたので、さっきのリオンの部屋での事を3人に話した。






「・・・プロポーズするなんてやるわね!」
「きゃー!素敵ですー!」
「うん、男だなシルバーズさん」

・・・三人共、目がキラキラしてる。

「ただ、ジャックの反応が気になるわねぇ・・・本当にロミちゃんといると退屈しないわ!」







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